なぜ?世界的アーティストのバンクシーが正体を明かさない理由
正体不明の芸術家「バンクシー」について、ロイター通信から驚きの報道がありました。30年近く謎のままだったその正体を特定したというものです。3月16日放送のCBCラジオ『つボイノリオの聞けば聞くほど』ではそのニュースに触れながら、なぜバンクシーが覆面アーティストとして活動してきたのかを、つボイノリオと小高直子アナウンサーが推察します。
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バンクシーはイギリスを拠点に活動する素性不明の覆面アーティストです。アートの世界ではもっとも有名なアーティストのひとりですが、正体も謎、さらに神出鬼没で世界中の壁に作品を残していくという、ミステリアスな人物です。
その作風は、ステンシルを用いたスプレーアートで政治や社会問題を鋭く風刺したものが多く、ストリートアートの巨匠だとも言われています。彼の作品は、複製されてさまざまなオークションで数百万ドルという高値で取引されているのだとか。
これだけ有名なのにもかかわらず、それが誰なのかは世界で誰も知らないという事実が、一層彼を魅力的に思わせる要因でもあるのかもしれません。
しかしその正体が、ついに明かされたと報じられたのです。
謎のアーティスト
ロイター通信によると、「バンクシー」の正体はイギリス南西部のブリストル出身で、50代前半の男性であるロビン・ガニンガム氏であることを独自調査で特定したと報じました。
これまでにも「バンクシーの候補」として名前が上がっていた人物ですが、今回初めてメディアが断定的に報じたのは、とある捜査資料が裏付けとなったからです。
ガニンガム氏は以前、広告看板に絵を描いたとしてアメリカで逮捕されています。その際の捜査資料を入手したことで、人物の特定に繋げたのだとか。
報道によると捜査資料にはガニンガム氏の自筆サインがあり、「看板にユーモアを加えようと決めた」など、現在の作風を連想させる供述をしていたことも書かれていたそう。
一方でバンクシーの弁護士は正体について否定も肯定もせず、ロイター通信の報道の多くを「正しいとは認めない」と回答しました。それと同時に「正体を明かさないことで迫害を恐れず権力に対して真実を語れるようになり、表現の自由を守ることができる」とも訴えたようです。
謎は謎のままで
世界的アーティストの素性がわかって大騒ぎかと思いきや、「正体は謎のままの方がよいのでは?」との意見も多いようです。
というのも、彼が1990年代から今日に至るまで、匿名で活動し続けられたその理由を考えるとよくわかります。
バンクシーのスタイルは街中の壁にスプレーでアートを施すというもの。中には高さ8mにも及ぶ作品もあり、とてもダイナミックなのです。そんな大掛かりな作品を、果たしてたったひとりで誰にも目撃されることなく描き上げられるのでしょうか。
小高「彼の正体を分かっていながら援助している人たちが何人かいるからこそ、匿名のままあれだけの活動ができていた。つまり多くの人が正体を明かさない方がいいと思っているんじゃないでしょうか」
彼の秘匿性を守ろうという人々が多かったため、これまでその名前が挙がりつつも、特定には至っていなかったのだと考える小高。
名乗り出ない理由
つボイ「それに風刺画も多いので、ワーワー言う人もいますよね。それを自由に描くためには、正体が明かされていない方がいいのかもしれませんね」
小高「特にイスラエルとパレスチナ問題の批判なんかは、かなり痛烈にやっていますよね」
素性を明かしていないからこそ、弾圧や統制を恐れることなく政治や社会問題に対する批判的メッセージを表現できていたとも言えます。さらに秘匿的に活動していたのは、バンクシーの行為自体が非合法なものだからです。
つボイ「確かに、壁にアートって厳密に言えば器物破損ですよね」
小高「そういう部分もあって匿名になっているんでしょうね」
バンクシーの知名度や、彼の作品にかなりの高値がついていることは事実ですが、それはそれとして彼がやっていることは違法とされている行為です。
それでもなおアートによって、人々に社会問題や政治について考えるきっかけを投げかけ続けるバンクシー。それが誰なのかよりも、何を訴えているのかに注目していきたいですね。
(吉村)
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