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いま読んでおきたい!12年前の名著『クマにあったらどうするか』

いま読んでおきたい!12年前の名著『クマにあったらどうするか』

現在は冬眠状態にあるクマですが、まだまだ目撃情報なども報じられます。2月1日放送のCBCラジオ『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』では、北海道出身のパーソナリティ・小堀勝啓が、書籍『クマにあったらどうするか―アイヌ民族最後の狩人 姉崎等』(ちくま文庫)を紹介しました。

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クマ被害増加

小堀「家族で山道を歩くことが多い我が家。アメリカやカナダの国立公園森林レンジャー御用達の強力なクマ避けスプレーも用意しています」

昨年はクマによる被害が多発しました。年を跨いで、雪が降る季節になり、もう立春も近いというのに、今も人里を歩くクマのニュースを目にします。

かつてクマに関しては「冬眠するから出てこない」「真正面から出くわさない限り大丈夫」などの定説がありました。
しかし近年は歩く人の背後からいきなり襲ってくるなど、常識が通じないニュースが続いています。

小堀が山歩きで携帯するスプレーの取扱説明の最後には、最高のクマ対策として「クマに出会わないことです」とあるそうです。

買わなきゃいかん

そんな中、小堀が見つけた文庫本が『クマにあったらどうするか』です。
初版は今から12年ほど前、2014年3月に刊行されています。

小堀「古くて新しい本と言えるかもしれません。以前出ていたんですが、最近クマの被害が多くなったので装いも新たに出ました」

文庫本の帯には「アイヌ最強のクマ撃ちが残した最高のクマの教科書。遭遇しないための注意から、組み伏せられても生き延びる手段まで、この一冊で分かる!」とあるそうです。

小堀「こりゃあ読まなきゃいかん。買わなきゃいかんと思って手に取りました」

アイヌ文化を客観視

この本はドキュメンタリー番組ディレクターの片山龍峯さんが、アイヌ民族最後の狩人と言われた姉崎等さんの語りから綴った、聞き書きスタイルのノンフィクション。

姉崎さんは狩人として、アイヌ民族が持つ独特の宗教観、自然観、哲学でクマと向き合ってきた人物。

生涯で60頭のヒグマを狩り、ヒグマ防除隊や北海道大学のヒグマ調査にも協力し、この書籍が刊行される前年(2013年)に亡くなりました。
姉崎さんの母親はアイヌでした。

小堀「それゆえに、アイヌの大人たちが語るアイヌ文化を聞いて、アイヌ民族の持つカムイという感覚を一歩外から客観的に理解していったようです」

カムイとは?

小堀「カムイとは平たく言うと神、神がかったもの。アイヌの文化の中には山には山のカムイ、川には川のカムイが宿っていて全てを崇め、感謝して暮らす感覚があるんです」

また、カムイは自然に存在するだけではなく、例えば自分たちが使っている道具、狩猟用の鉄砲や刀にもカムイが宿っていると考えていたとか。
カムイとは、人と物とを繋ぐ霊的な存在全てを表す言葉のようです。

アイヌの人たちが、そのカムイの中で最も上位に位置する超絶的存在と捉えていたのがヒグマでした。

クマを狩るとは?

ヒグマを狩るアイヌの人たちには、「イオマンテ」というクマを祀る儀式があります。ヒグマのこどもを弓矢で射殺して、それを祀って魂を山に帰す祭りだそうです。

小堀「神様と思っているものをわざわざ狩って祀って山に帰す。我々から見ると矛盾した風習ですよね」

姉崎さんはじめアイヌの狩猟は単にクマを狩るのではなく、最後にそれを敬って儀式にのっとって葬る。ここまでやってはじめてクマの狩猟が終わったと考えるようです。

小堀「この本は読み物としても興味深い。民俗学としても面白い読み物でした」

自然を知るアイヌの知恵

書籍に置いて、姉崎さんは、あるアイヌの老婆がクマに出会った時の話をしています。

彼女が山を歩く時は、黒いゴム紐を常備していたそうです。
このゴムは車のワイパーのように弾力が強く、ある程度の太さと長さがあります。
クマに遭遇すると、クマを拝んでから、このゴム紐を投げつけたそうです。

クマはヘビが大嫌いで、一生懸命ゴム紐と格闘。彼女はその隙に静かに場を逃れて助かったとか。

この女性がクマに敬意を持って接し、決して大声で騒いだりせず、平常心で行動に出たのが良かったんだろうと、姉崎さんは振り返ったそうです。

ぜひ一読を

著者の姉崎さん自身、クマに組み伏せられそうになった経験があるとか。

その時の息遣い、アウッアウッと言う声、ガチガチと言う歯噛みの音、これは一生忘れることができない恐ろしいものだそうです。

山では最高のカムイであるクマ。
山に入る際は、その領分に足を踏み入れていることを自覚し、荒らさずに過ごさなければならないと姉崎さんは書いています。

小堀「アイヌ最後の狩人、姉崎等さんの話は実に蘊蓄が深く、実に壮大な自然観と精神性に富んでいて、時にはユーモラスな表現もあり、のほほんとした笑いもあり、本当に味わい深いものがありました」
(尾関)
 

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