亡くなった母の預金を兄が生前に使い込み…取り戻せる?
身近な疑問・質問・お悩みを解決するCBCラジオ『北野誠のズバリ』、「ズバリ法律相談室」のコーナー。2月4日の放送では、亡くなった母親の遺産相続をめぐるリスナーからの質問に、オリンピア法律事務所の原武之弁護士が回答しました。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く兄がうろたえた理由
「母の遺産相続でごたごたしています。母は昨年5月に80歳で亡くなったのですが、その2年前に倒れた時に、兄と姉が病院で今後のことについて話し合いをしていたのが事の発端です」(Aさん)
兄は姉に「母の預金はこれしかない」と言って、300万円の預金通帳を見せました。しかし姉は、母から1500万円の定期があることを伝えられていたため、兄に反論したところ、うろたえてそのあと何も言い返さなかったそうです。
昨年母が亡くなった後、姉は母の銀行口座の過去10年分の取引明細を取り寄せて調べてみると、明らかにおかしい出金が多数見つかりました。
10年分の取引明細で発覚
「母はATMでも預金通帳を使って現金を引き出し、残高を確認しないと信用できない古い人です。しかし、その取引明細にはキャッシュカードで定期的に10万円から50万円がATMで引き出されていました」(Aさん)
兄は十数年前から母のカードを自分で管理し、自由に使っていたのです。その金額は年間100万円から、多い年は300万円ほど。合計すると軽く1000万円を超えていました。
結果として1500万円の定期と母名義の株も見つかり、合計2000万円を超える資産があることが判明。兄はこれらの資産を隠していたのです。
使い込みも「遺産」
母親の口座から息子が勝手にATMでお金を引き出していた行為は、犯罪に当たるのでしょうか。
原弁護士「客観的には窃盗なので犯罪は犯罪なんですけど、親子関係ということで『親族相盗例』で処罰されないということになります」
また、母親が兄にお金をあげると言っていた可能性もあり、真相はわかりません。
では、生前に引き出されたお金は遺産相続の対象にならないのでしょうか。
原弁護士「遺産は遺産です。持ち出していても、実質の預金者はお母さんということなので。不当利得返還請求権とか不法行為による損害賠償請求権の権利になったという理解でいいと思います」
つまり、兄からお金を取り戻す方法はあります。亡くなった後にこうしたことが発覚するケースは多く、遺産分割の2、3割はこういう案件だそうです。
ただし、返還請求には期限があります。不法行為なら3年、不当利得返還請求なら事実を知った時から5年です。Aさんの場合、最近発覚したばかりなので、ここから5年の猶予があります。
兄が使い込んだ分も合算して、そこから回収する形で調整することになります。
通帳履歴の重要性
Aさんが10年分の取引明細を調べたことについて、原弁護士は「本当に大切なこと」と評価しました。
履歴を見れば、証券口座や生命保険の存在、他の口座への振替や定期預金など、いろいろな情報がわかります。きちんと調べてお金の流れを掴まないと、今回のように隠されていた場合、気づかずに分割してしまうこともあります。
遺産相続でトラブルになった場合は、まず通帳履歴を調べてお金の流れを把握すること。使い込みが発覚したら、遺産分割の中で相殺して解決するのがスムーズとのことでした。
(minto)
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