全身が痒くてたまらない!乾燥肌のケアはどうする?
乾燥が激しくなるこの時期。掻くのがいけないとわかっていても、我慢できないのがかゆみ。時には寝られないことやひっかいて傷跡が残ってしまうことも。どうすればいいのでしょうか?12月19日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリ』では、リスナーからの「乾燥肌で全身がかゆい」との相談に心療内科本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生が回答します。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く冬の肌はカサカサ
36歳、Aさん(男性)からの相談です。
「自分は乾燥肌で冬の乾燥シーズンには毎年カッサカサになります。特に今年はひどく、夜中に寝ぼけながら掻いていしまうようで、朝起きるとひっかき傷ができて痛くなっています。
かゆい部位はほぼ全身で、なぜか昼間より夜寝ているときの方がかゆく感じます。保湿クリームもなかなか合うものがなく、化粧水を塗るとかゆくはないのですが、保湿にはなっていません。
今はとりあえず市販のかゆみ止めの薬を塗っていますが、最近はあまり効かないような気もします。どうしたらいいのでしょうか?」
乾燥するとかゆくなる
まず、空気が乾燥するとかゆくなるのはなぜでしょうか?
吉田「皮膚の最も外側は角層というわずか0.02mmの薄いバリアで守られています。これ、構造はレンガの壁にとてもよく似ています。
敷き詰められているレンガとレンガの間はモルタルというセメントみたいなものでくっつけています。皮膚の角層もよく似ていて、レンガに相当する部分が角質細胞で、その間を脂質が埋めています。
ところが、角質細胞は水を含んだ細胞なので乾燥すると干からびて縮んでしまいます。それで細胞と細胞の間に目には見えない小さな隙間ができてしまって、そこから汗、わずかに残った洗剤の成分、ハウスダストといわれるダニの死骸やフン、あるいはカビなどの壊れた断片が入り込んできて、その刺激で炎症を起こしかゆくなるわけです」
夜かゆくなるんのはなぜ?
とりわけ夜にかゆくなるのはなぜですか?
吉田「昼は活発に活動するために、皮膚を守る角層は頑張ってバリア機能を高めていますが、夜になったら昼間ほど頑張らなくていいとバリア機能が低下して、その結果皮膚の乾燥自体が進みやすいということです。
さらに寝床に入ると皮膚の血管が拡張して、循環する血液の量が増えます。本来これはいいことで寝ている間に皮膚がメンテナンスされます。
ただ、血液の流れがよくなると皮膚の温度が上がって感覚神経も働きやすくなるので、同じ刺激であってもより強くかゆみを感じやすいということもあります」
なぜ、かゆみ止めが効かない?
Aさんは市販のかゆみ止めの効き目が弱まっていると書いていますが。
吉田「これはよくあることです。皮膚のかゆみは花粉症と似ていて、ヒスタミンという成分が媒介して炎症をおこすことが多いです。
市販のかゆみ止めも花粉症の薬と同じようなヒスタミンを抑える成分を主成分にしているものが多いです。これは実際、かゆみの初期にはこの成分がよく効くことが多いです。
ただ乾燥が進んで角質のバリアが完全に壊れてしまうと、ヒスタミン以外のルートでも炎症が起きるようになるので、ヒスタミンを抑える成分だけではかゆみはなくなりません。
さらに市販のかゆみ止めには爽快感を与えるメントールのようないろんな成分が入っていて、よかれと思って配合してくれていますが、敏感になった皮膚にはそれさえも刺激になって炎症を悪化させる要因になることもあります」
かゆみ止めをリセットする
では、Aさんはどうしたらいいでしょうか?
吉田「まず寝るときに手袋をしてかかないようにする。あと、やるべきは発想の転換です。多くの人は皮膚が乾燥するといろいろなものを塗り足していこうとします。方向性としてはいったんリセットすることが必要です。
たとえば市販のかゆみどめを毎日広範囲に使っている場合は、試しに数日から一週間ほどやめてみます。かゆみ止めの成分が刺激になっているときは、それだけで夜間のかゆみが軽減します。これは結構多いです。
あと化粧水も塗っているそうですが、必要なのは保湿です。それに絞った方がいいです。
また、ここまで症状が激しいと皮膚科の診察が不可欠で、何を塗るか、何を塗らないか、これは診察した皮膚科医の判断におまかせしたいです」
単なるかゆみだと思っていても、身体のどこかが悪い場合もありますから、病院に行くことは必須ですね。
吉田「かゆみは人体からの貴重なSOSサインなので、病気を見逃さないためにも皮膚科で診察をうけていただきたいです」
ただのかゆみと思わないで、ひどい場合は皮膚科を受診することが大事です。
(みず)
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