CBC web | 中部日本放送株式会社 / CBCテレビ / CBCラジオ

MENU

中日OB・川上憲伸が解説。打者ではなくランナーにやられる時とは?

中日OB・川上憲伸が解説。打者ではなくランナーにやられる時とは?

11月29日放送のCBCラジオ『若狭敬一のスポ音』には、元中日ドラゴンズ投手で野球解説者の川上憲伸さんが出演し、「2025年中日ドラゴンズ反省会」として、今季の守備と走塁について語りました。聞き手は若狭敬一アナウンサーです。

関連リンク

この記事をradiko(ラジコ)で聴く

二遊間に問題あり

まず今季のドラゴンズの守備について指摘する川上さん。

川上「二遊間が固定されないことで記録には出ない、見えないミスが出てるんじゃないかな」

固定しないことで、ダブルプレーの連携や、ライトからサードへ投げる時のカットプレーの位置など、細かいところまで安定しないと指摘しました。
ドラゴンズの失策数は65。今シーズン、セ・リーグで2番目に少ない数です。

若狭「だから評価が高いのかなと思いきや、簡単なエラーの数だけではなく、野球にはもっと細かい守備の奥深さがあるんですね」

川上「ダブルプレーが取れたはずが取れなかったら、どこかでミスが起こってると思うんです」

捕球した後の送球が緩い、セカンドのトスが緩い、セカンドへの入り方がまずいなど「何か細かい部分がある」と川上さん。

日本の細かい野球

川上「日本がWBCで優勝する理由って、守備力が大きいと思うんですよ。細かい野球ができるからだと思うんですね」

若狭「そこ盲点ですね。2023年は大谷(翔平選手)が打ったとか、村上(宗隆選手)、吉田(正尚選手)が打ったっていう印象ですもんね」

「日本の野球にはほとんどミスがない」と川上さん。確かに、国際大会では大きなミスはありません。

川上「日本はパワフルさと守備力の細かさを兼ね備えたチームを目指してるのかな。だからWBCでも差が出るのかもしれません」

ランナーが出てピッチャー交代。日本の場合はワイルドピッチでセカンドへ、という失策はそうありません。

しかし海外は良いピッチャーに交代しても、簡単にワイルドピッチでセカンドを許すこともあるそうです。しかも変化球が切れてるから仕方がない、という解説で終わらせるとか。

一塁ランナーの効果

川上「走るふりして走らないとか 、日本は盗塁も細かいじゃないですか」

ドラゴンズは今シーズン、盗塁が80でリーグ2位。成功率に至ってはリーグトップです。

若狭「盗塁いっぱい走って良かったとは思うんですが、これも本当にしびれる場面での盗塁なのか?」

それとも試合結果があらかたわかっていながらの盗塁なのか?

川上「もしくは脚の速いランナーが出て、次のバッターがヒットを打ってる率が増えてるか?です」

ランナーが一塁にいることで、ピッチャーがプレッシャーを感じ、配球が変わって、次のバッターに甘い球が行きやすいこともあるそうです。

川上「走るぞ走るぞ…走らない、みたいな感じで」

若狭「脚の速い選手が一塁ランナーだった場合の打率はどこにも出ないですけど、面白いですね」

投手のプレッシャー

不器用で、一騎打ちしたらなんてことないバッターでも、一塁に脚の速いランナーがいると状況は違うとピッチャー目線で語る川上さん。

川上「本来ならシュートで行きたいんだけど、次走りそうやし、やっぱりキャッチャーは外のサインだよな。言ってもストレートにちょっと毛が生えたぐらいのカットだよなってなってくるんですよ」

若狭「リアルだなあ(笑)」

自分の投げたい球でなくても、走ってくるかもしれないので仕方ないと川上さん。

川上「ランナーなしなら自分の好きなパターンのフルコースで行くけど、駆け引きがあって、走らないタイミングでインコース行こうかってなってくるんですよね」

ランナーにやられた

川上さんの現役時代、一塁に出すと一番厄介だと思っていた選手は、当時阪神タイガースの赤星憲広選手だったそう。

外国人のパワーヒッターが打席に入ると、本来ならインコースをえぐりにえぐって、最後はアウトコースのカーブで打ち取りたいと考えます。ところが…

川上「赤星君がおると、キャッチャーがインコースおったら走りやすくなるし」

キャッチャーがセカンドへの送球がしにくくなります。
またカーブのサインが出て、厳しめに投げてもワンバウンド気味になると走られてしまいます。

川上「となると、やっぱそこじゃないか。アウトコース中心で、気持ち曲げとこうかなとか。速いスライダーになるでしょ。こういうのって配球を変えられてるわけなんですよ」

ちょっと甘くなって長打が出ると最悪です。

川上「打たれたって言うよりランナーにやられたわってことが何度もあるんですよ」

数字が全てではない

現在のドラゴンズには投手にプレッシャーをかけられるランナーがいるのでしょうか?

川上さんはこんな場面を想定。ツーアウトで足の速い選手が一塁。バッターは長打が期待できる細川成也選手。

川上「二塁へ盗塁されたら次、細川選手を歩かせてツーアウト、一塁、二塁。次のバッターを抑えればいいわけですから、全てで走ればいいってわけでもないんです」

カウントが悪くなれば申告敬遠をして、ランナーを一、二塁にしてフォースプレーでアウトを狙うこともあるとか。

「相手ピッチャーに嫌がられるランナーになれる選手がどこまでいるかが重要」と川上さん。

若狭「これ奥深いですね」

川上「ドラゴンズは、数字だけが全てじゃなくて、何か問題があるんじゃないかって気がするんですよね」

来年のドラゴンズ、数字が順位と結びつくことを期待しましょう。 
(尾関)
 

この記事の画像を見る

オススメ関連コンテンツ

PAGE TOP