CBC web | 中部日本放送株式会社 / CBCテレビ / CBCラジオ

MENU

川上憲伸が語るドラフト1位の重圧と同期・井端弘和との絆

川上憲伸が語るドラフト1位の重圧と同期・井端弘和との絆

CBCラジオ『ドラ魂キング』、「川上憲伸、挑戦のキセキ」は、野球解説者の川上憲伸さんが、自身のプロ野球人生を「挑戦」という視点から振り返るコーナーです。10月22日の放送では、1997年のドラフト会議で同期入団となった現・侍ジャパン監督の井端弘和さんとの関係について伺いました。川上さんが逆指名制度を活用して1位指名で入団したのに対し、井端さんは5位での入団。そこに生まれた独特の距離感と、それを超えて築かれた絆とは?聞き手は宮部和裕アナウンサーです。

関連リンク

この記事をradiko(ラジコ)で聴く

順位が生む見えない壁

1997年のドラフトで中日に入団したのは、1位の川上さんをはじめ、鈴木郁洋捕手、高橋光信選手、白坂勝史投手、そして5位の井端弘和選手。合計5人の大学生が同期となりました。

川上さんは、ドラフト順位による選手同士の関係について率直に語ります。

「ドラフト4位や5位の人たちは、ドラフト1位の人にやっぱり気を遣うとか、接しづらいというのがあるんです。お互いが」

川上さんは、ドラフト1位には「VIP感」があると表現します。メディアの扱いや球団の対応も明らかに違っていたそうです。

VIP扱いがもたらす孤独と重圧

「4位や5位くらいになると、同級生なのに『頑張れよ』『プロは厳しいぞ』みたいな感じになってくるじゃないですか。僕らも何となくその雰囲気が伝わってくるので」

1位と2位なら食事に誘いやすくても、順位が離れると空気感が違って、お互いに声をかけづらかったといいます。

下位指名の選手には「絶対、上位指名の選手には負けたくない」という思いがある一方、上位指名の選手には別のプレッシャーがありました。

「逆に変なプライドを持ちすぎてる自分も感じるので、これで失敗したらどうしようかってプレッシャーも入ってくる。だからプレッシャーが多くなるのは上位だと思います」

プライドはプレッシャーにもなります。川上さんはやりづらさを感じていました。

井端弘和という存在

しかし、井端さんは違いました。5位指名でありながら、川上さんに普通に接してくる稀有な存在だったのです。

「オフだったらゴルフ行こうよとか、ご飯行かないとか、お前も誘えよ俺をとか。そんな感じの普通に言ってくるタイプだったんでね」

当時2軍にいた井端さんは、明治大学出身で川上さんの1年後輩にあたる小笠原孝投手(現・福岡ソフトバンクホークスコーチ)についても、川上さんを通じてアドバイスを送ろうとしていました。

「小笠原はもう少しこうした方がいいぞ、憲伸、言った方がいいんじゃないのか。もっとこうした方がいいはずだとか、小笠原本人には言えないことを、川上には言おうか、というのも井端はありました」

井端さんは当時からチーム力を上げる大切さを考えていたのです。

普通なら「知ったこっちゃない」となるところを、井端さんはファームからでも選手が活躍して1軍に上がってほしいという思いを持っていたといいます。

特別な関係性

井端さんは話しかけるのが大好きな性格でしたが、誰にでも声をかけているわけではなかったと川上さんは振り返ります。

川上さんには必要以上に声をかけてくるほどで、1軍と2軍で接点は少ないものの、会った時にはとても積極的だったといいます。

「そういう意味では、僕は普通に接することもできました」

ドラフト1位、しかも逆指名という期待値の高さ。その反面にあるプレッシャー。その中で、物怖じせずにコミュニケーションを取り続けてくれた井端さんの存在は、川上さんにとって大きな支えとなっていたようです。

グラウンド上での勝負勘やマウンドへの一声など、後の井端さんの活躍の原点は、こうしたドラフト同期同士のやり取りの中にもあったのかもしれません。
(minto)
 

この記事の画像を見る

オススメ関連コンテンツ

PAGE TOP