川上憲伸が語る主砲の影響力。タイロン・ウッズへの警戒から生まれる好機

CBCラジオ『ドラ魂キング』「川上憲伸、挑戦のキセキ」は、野球解説者の川上憲伸さんが、自身のプロ野球人生を「挑戦」という視点から振り返るコーナーです。10月15日の放送では、2009年のメジャー挑戦時にタイロン・ウッズ選手が訪ねてきたエピソードや、主砲の存在が打線全体に与える影響について、ピッチャー目線での実体験を伺いました。聞き手は宮部和裕アナウンサーです。
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2007年の日本一の翌年、シーズンを終えて川上さんは海外FAでアトランタ・ブレーブスに入団しました。
同時にタイロン・ウッズ選手も退団という形になりましたが、川上さんはタイロン選手について「まだまだ全然パワーもありました。できてたと思うんですけどね」と振り返ります。
2009年のスプリングキャンプはフロリダで行なわれていました。ある日、川上さんは日本領事館主催のパーティーに出席するため1泊アトランタへ。翌日フロリダに戻ると、思いがけない来客があったことを知らされます。
スタッフから「昨日、日本で一緒にプレーしてたアメリカ人が来てくれていました」と言われ、誰だろうと考えていると「ウッズ」という名前が。さらに身体がすごく大きな人だったという特徴を聞いて、川上さんはピンときました。
タイロン選手がフロリダに住んでいることを、この時初めて知ったのです。
東京-福岡間の距離を車で
しかし、フロリダとひと言で言ってもその広さは想像以上。フロリダ半島は、日本の本州がすっぽり入るぐらいの大きさだといいます。
川上さんがいたのはフロリダのオーランド、半島の真ん中よりやや上側。一方、タイロン選手は南側の高級住宅街に住んでいたようで、距離にすると東京と福岡ぐらい離れていたのではないかと川上さんは推測します。
それでも車で駆けつけてくれたということは、相当な距離を走ってきてくれたことになります。
タイロン選手は電話番号と「何かあったら連絡をくれ」というメッセージ、そして住所も書き残していきました。
川上さんは後日電話をかけてみましたが、どこかが間違っていたのか繋がらず、結局会うことはできなかったのです。
それでも、あれだけの距離があるにもかかわらず車で駆けつけてきてくれたことが、川上さんにとってはとても嬉しい出来事だったといいます。
タイロン効果の威力
川上さんが特に印象的だったのは、タイロン選手の存在が打線全体に与える影響でした。
「相手ピッチャーはタイロンを意識するので、その前後のバッターに対してもアップアップになってるんですよ」
タイロン選手を警戒するあまり、福留孝介選手にスリーボール・ワンストライクになったり、和田一浩選手や中村紀洋選手、森野将彦選手を出塁させてしまい、結局満塁になってしまうことも。
「ピッチャー心理はよくわかるんですけど。タイロンひとりの存在で、相手ピッチャーがすごく負担を負いながら投げてるなという感じがしましたよね」
好打者が生む連鎖反応
川上さんは、こうした打線の相乗効果についてさらに語ります。
「例えば、(ジェイソン・)ボスラーが3番、細川(成也)選手が4番、(マイケル・)チェイビスが5番にいたとする。ボスラーが最近やたら打つなとなってる時は、その背景に細川が打っているということがあるんです」
ひとりの好打者が調子を上げると、相手投手はその選手を意識。すると前後の打者にもチャンスが生まれ、打線全体が活性化するという理論です。
「その中でドラゴンズには、メジャーでも活躍できる福留孝介選手がおったりとかね。これはもう、尚更だったなっていう感じはしますよね」
あの頃の中心にタイロン・ウッズがいたように、今の打線にも核となる選手たちがいます。川上さんが語る打線の相乗効果の話は、来季への期待を感じさせるものとなりました。
(minto)
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