日本最古の現役駅舎で一杯!亀崎の酒蔵が仕掛けるイベント「おとなり酒場」

9月17日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリ』、「松岡亜矢子の地元に聞いちゃうぞ」のコーナーでは、愛知県半田市亀崎で開催される醸造文化を味わうイベント「おとなり酒場」を紹介しました。200年以上の歴史を持つ酒蔵が一度閉じて復活するまでの経緯と、地域活性化への熱い思いを伊東合資会社兼株式会社亀崎Kamosの代表・伊東優さんに伺いました。
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亀崎地区は江戸時代から明治・大正にかけて多くの酒蔵があった地域で、海運業を生かして江戸の町に醸す文化を浸透させていきました。そのおいしさと品質が江戸で評判になり、一目置かれる地域になったそうです。
その中のひとつに亀崎の酒蔵・伊東合資会社が作る「敷嶋」というお酒がありました。200年以上続く酒蔵ですが、近年は日本酒の需要が少なくなったということで、一時期酒造りをやめていたのです。
しかし2020年に復活を遂げ、現在は酒造りだけでなく地域の食文化発信やイベントを通じた地域活性化にも力を入れています。
「おとなり酒場」は今回で4回目となる期間限定の立ち飲みイベント。今月20日から来月19日までの金・土・日・祝日に開催され、会場は日本で最も古い現役駅舎といわれるJR武豊線の亀崎駅のすぐ隣です。
金曜日は夕方4時から、土日祝日はお昼1時から夜9時まで営業しています。
醸造文化が息づくおつまみ
この「敷嶋」を作る伊東合資会社は、かつて酒蔵番付で横綱にランクされたこともある名門酒蔵でした。
会場では、敷嶋に合うこだわりのおつまみも用意されています。味噌の町らしい土手煮をはじめ、醤油やみりんのローストナッツ、みりんと酒粕をクリームチーズのようにクラッカーに付けて食べる珍しいおつまみもあるそうです。
会場では昔ながらの「いらっしゃい!」という声で店員さんが迎えてくれます。帰り際にも「行ってらっしゃい!」と声をかけてもらえるという、駅の横という立地ならではの演出も。
ノンアルコールドリンクも用意されているため、お昼から営業している時間帯にはこども連れの家族も多く訪れるそうです。
駅を残したいという熱い思い
伊東さんによると、亀崎駅の隣という立地は単なる利便性だけで選んだわけではなく、亀崎駅を残したいという思いが出発点だったそうです。
明治22年に東海道線開通のための貨物線として武豊線ができ、その当時の駅舎が亀崎に現存しています。しかし老朽化が進む中、安全のために新しい駅舎を建てるのがJRの基本方針でした。
伊東さん「あえてその木造建築物を残す理由を作っていかなきゃいけないと思って。この古い雰囲気に価値があるんだということを証明するために、JRさんの協力のもと、隣の一角を借りました」
「おとなり酒場」という名前には、「駅のおとなり」という意味と、「電車の音が鳴る」という二重の意味が込められているそうです。
酒蔵が地域を支える役割
伊東さんは「おとなり酒場」に限らず、地域の文化を体感して考えてもらうイベントをたくさん開催しています。その背景には、200年余りの歴史を持つ酒蔵が一旦閉じて、それを自身で復活させたという経験から生まれた思いがあるそうです。
酒蔵の役割について、伊東さんはこのように考えています。
伊東さん「この地域における酒蔵というのは、海運業も含めて経済の基盤になっていた産業なんですね。文化や経済と切っても切れないものだったと認識しています」
しかし現在は、地域と酒蔵企業との繋がりが昔ほど強くないと感じることが多いそうです。それは地域の衰退にも繋がっていくと、地域の皆さんも感じているといいます。
伊東さん「亀崎の山車は文化財になっているんですが、お金を出す存在がいないと豪華な山車は作れません。地域の経済の下支えをしていたのが間違いなく醸造業でした」
伊東さんは、昔のような規模ではできないにしても、地域を盛り上げる手段として酒蔵の存在意義があると考えています。
伊東さん「地域を盛り上げるひとつの手段として酒蔵があるっていうのは間違ってはいないと思っております」
レトロな雰囲気を楽しむ秋のひととき
もちろん訪れる人は、ただ美味しいお酒を飲んでレトロな雰囲気を楽しむだけでも十分です。電車好きの方なら、電車の音を聞きながら一杯飲むという楽しみ方もあります。ただ、こうした背景を知っておくと、より面白く感じられるかもしれません。
おとなり酒場の情報は、ひらがなで「おとなり」、漢字で「酒場」で検索すると出てきます。ただし、いろいろな「おとなり酒場」という店があるため、「半田市」や「亀崎駅」を追加して検索するとより詳しい情報が見つかるそうです。
亀崎駅のレトロな雰囲気と、歴史ある酒蔵の味わいを楽しめる「おとなり酒場」。秋の週末にふらりと立ち寄ってみるのも良さそうです。
(minto)
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