「すべてのこどもにはどこに生まれても成長する権利がある」

9月15日放送のCBCラジオ『つボイノリオの聞けば聞くほど』の休日特集では「こども食堂」を取り上げました。そこで「賢者の言葉」のコーナーもこどもにまつわるものを取り上げました。「すべてのこどもにはどこに生まれても成長する権利がある」これは国際的なこども支援団体セーブ・ザ・チルドレンの創設者の女性・エグランティン・ジェップの言葉です。どういう意味でしょうか?また、セーブ・ザ・チルドレンとはどんな団体なのでしょうか?つボイノリオと小高直子アナウンサーが解説します。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴くジェップ氏の生い立ち
セーブ・ザ・チルドレンは紛争地域や貧困地域のこどもへの医療、栄養支援、教育支援、または虐待や搾取からこどもを守るこどもの権利の保護を行なっている団体です。
ジェップ氏は1876年イギリスの裕福な家庭に生まれ、しっかりとした教育を受け育ち、オックスフォード大学で歴史を学び、教師となりました。こどもたちと触れ合う中で、経済的に困難な状況にあるこどもたちや、支援を必要としているこどもたちの生活を変えるにはどうしたらいいかとの思いを強くしました。
1912年に起こったバルカン戦争や、1914年からはじまった第一次世界大戦で多くのこどもたちが孤児になり、栄養失調や病気に苦しむ姿を見て、戦争でもっとも影響を受けるのはこどもだという思いを強くしたジェップ氏。
組織的にこどもを救済することを決意し、1919年にセーブ・ザ・チルドレン基金を創設したのです。
裁判で無罪に
敵味方に関係なく、どのこどもも生きる権利があるという信念で活動していたジェップ氏は、翌年に逮捕されてしまいます。
その理由は、戦争で苦しむこどもたちの写真や資料をイギリス国内で配布したとき、敵国であるドイツやオーストリアのこどもたちの写真も含まれていたからです。
「これは敵国を支持するプロパガンダだ」「違法な募金活動だ」と見なされてしまったのです。
裁判ではジェップ氏の行為が慈善目的であることが認められて無罪となりました。
この逮捕と裁判は社会的に大きな注目を集め、 セーブ・ザ・チルドレンの活動が国際的に広がるきっかけとなります。
世界児童憲章から「子どもの権利条約」へ
その後も「こどもは守られるべき存在」という理念を掲げて活動は続けられ、戦争や貧困による苦しみからこどもを救うことを生涯の使命としました。
現在国連では「子どもの権利条約」が採択されていますが、この基本理念は1922年に彼女が草案を提案した世界児童憲章が基となっています。
理念を持つとともに基金を管理する、組織をビジネスライクに運営するためのスタッフを新聞で募集するなど斬新な手法で集め、活動資金を増やし管理することにも尽力しました。
世界の安定に
セーブ・ザ・チルドレンは今もこどもへのワクチン接種や紛争地での食糧支援などの人道支援を行なっています。
こどもが保護されて、教育を受けること、こどもの心が安定することは、その後の世界の安定にもつながっていきます。どの子も助ける、どこのこどもでも支援するという活動を通じて助けられた子が、無事に成長して勉強したり、技術を獲得したりすることで、新しい活動やビジネスを切り開くこともあります。
「すべてのこどもにはどこに生まれても成長する権利がある」。
今回、「こども食堂」の特集をしましたが、ジェップ氏の理念と通じるところがあるようです。
(みず)
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