ウクライナ戦争はどうなる?欧州首脳らも会談に参加へ

8月15日、ウクライナ戦争の和平交渉を目指して、アメリカのドナルド・トランプ大統領とロシアのプーチン大統領による首脳会談が行われました。今回の会談では結果として和平合意には至らず、トランプ大統領の対応については各国からは非難や懸念の声が上がっています。8月18日放送のCBCラジオ『つボイノリオの聞けば聞くほど』では、この会談と、それを発端とした各国の動きについて、つボイノリオと小高直子アナウンサーが、リスナーからの意見を交えて紹介します。
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今回行なわれた米ロ首脳会談での大きな問題点は、当事者であるウクライナ抜きで領土割譲に関する話し合いがされたことです。
これを受けて、8月17日に日本やフランスはウクライナに関する有志連合会合を開き、ウクライナの領土の一体性を尊重する立場を確認し合いました。
会合に出席した石破茂総理は「ウクライナを含める形で議論されなければならない」と述べ、ロシアに前向きな対応を改めて求めたとのこと。フランスのマクロン大統領も「領土問題はウクライナ人抜きでは行なえない」と強調したようです。
8月18日に行なわれる予定のトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領による会談に向けて、ロシアが要求しているとされるウクライナ東部の領土割譲案に釘を刺した形です。
さらにこの会談には、フランス、イギリス、ドイツなどヨーロッパの首脳も同席し、ウクライナの領土問題について結束して対応する構えを見せています。
実質「ロシアの勝ち」?
ウクライナ戦争の停戦確約は叶わずアメリカからの追加関税も受け入れられず、それどころかウクライナの領土割譲を追認するように持っていかされたともとれる今回の米ロ会談。「ロシアのシナリオ通り」という声も聞こえるようなこの出来事に対して、リスナーからはこんな意見が寄せられました。
「結局ウクライナの利権をめぐって、ロシアとアメリカが戦争しているだけだという現実が浮き彫りになったような気がします」(Aさん)
「米ロが勝手に他国の領土問題を決めるなんておかしいと思います。武力で領土変更ができるなんて、過去の大戦による反省が全くないのではないでしょうか。プーチンもトランプも独裁者そのものにしか見えません」(Bさん)
つボイ「ゼレンスキー大統領抜きで米ロが勝手に話し合っているんですよ。過去を振り返ると、ヤルタ会談とかポツダム会議とかでも当事者抜きで勝利国が勝手に話を進めていたことがありましたけどね」
小高「だけど今はそういうことやっちゃ駄目でしょ、という話ですよね」
ゼレンスキー大統領は領土割譲に関しては一貫して拒否の姿勢を示しており、ほとんどのヨーロッパ諸国もその立場を支持してきたという背景があります。
仲介役であるはずが
小高「一時期トランプさんはプーチンさんと対立するかに思えていましたが、ここに来てまたぐっとタッグを組んでいるような感じがしますね」
つボイ「トランプさんはノーベル平和賞を狙ってるから。それをやるためにはプーチンと上手くやりたいんでしょうね」
小高「ロシアがなかなか手綱通りに進んでくれないので、ちょっとロシア側に寄り添ってみて解決に持っていこうとしてるみたいですけど、そう簡単にはいかないでしょうね」
そういったトランプ大統領の一連の対応は、「トランプ大統領はプーチン側である」と見られ批判を受けている状態です。本来であればロシアとウクライナとの間に入って仲介すべき立場であるはずなのに、なかなかうまく機能していないようです。
小高「それによってプーチン、トランプに対してヨーロッパ各国や日本も『それは駄目なんじゃないですか』って話が出て、18日の首脳会談に私たちも出席させてもらいます、ってことになったんですよね」
トランプ大統領だけではプーチン大統領にブレーキをかけるどころか加速させかねないため、ヨーロッパ各国も黙ってはいられない状況となったのです。
地続きの国
武力によって領土を侵略するという行為は当然あってはなりませんが、ヨーロッパの国々がその問題に対してより敏感に反応しているのには、理由がありました。
小高「ヨーロッパ各国のトップの人達は『武力で国境を書き換えられてはならない』ということを言っているわけですが、ヨーロッパの国々って全部繋がってますから。武力で国境が変えられるという事態になってしまうと、大変なことになるんです」
「島国である日本に住んでいる我々には、少し分かりにくい脅威ですが」と付け加えつつ解説する小高。
戦後80年の終戦記念日を迎え、一層平和に対しての意識が高まっている現在、ウクライナの和平問題に人々の注目が集まります。
国際社会の中で、日本という国がどう関わっていくべきかについて、いま一度よく考えなければならない段階に来ています。
(吉村)
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