江戸前ずし、そば…江戸の食文化を支えていたのは愛知だった?

8月5日は語呂合わせで発酵の日。納豆やチーズ、味噌などさまざまな発酵食品がありますが、実は愛知県は「発酵王国」とも言える土地柄なのです。この日に東海エリアで放送された『つボイノリオの聞けば聞くほど』(CBCラジオ)では、名城大学農学部教授の加藤雅士先生が発酵食品の歴史について解説しました。聞き手はパーソナリティのつボイノリオと小高直子アナウンサーです。
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発酵食について「米や豆を主体として、微生物を使ってよりおいしくしたもの」とする加藤先生。微生物の働きで健康に良くなるものもあります。
愛知県産として知られるのは、味噌やしょう油、酒、みりんといった発酵調味料。また納豆などの食品もあります。
愛知では八丁味噌に代表される豆味噌が独自の文化として浸透していますが、特に地元の味噌を愛したひとりが、あの徳川家康。
「中部地方の武将が強かったのは、八丁味噌や豆味噌のおかげではないか」と推測する加藤先生。
くだらない物の逆は「くだる物」!?
実は愛知県は豆味噌のみならず、他の地方の食文化も支えています。
例えば県内には酢の老舗がありますが、そのおかげで江戸前ずしができたという説があります。
そもそもなぜ愛知で醸造が盛んだったのか。
農作物がたくさん獲れた、経済基盤が安定していて気候も温暖といった、さまざまな良い条件が愛知県には揃っていましたが、一番は江戸に物がたくさん売れたということ。
特に酒に関しては、江戸時代末期に知多半島だけでも200もの蔵がありました。
当時は廻船問屋が栄えていたため、江戸にどんどん酒を運び、やがて酢やみりんなども運ぶようになったことから、江戸の食文化は愛知が支えていたといっても過言ではありません。
よくつまらないことを「くだらない」といいますが、逆に考えると「くだるものは良いもの」ということになります。
昔は「下りもの」といって、西から江戸に向かって下ってくる物は良いものとされていました。
今は逆に上京というように東京の方が上という表現になっています。
また東海地方ならではの調味料には、「たまり醤油」や「白醤油」があります。
たまり醤油は料理にコクを出すために、白醤油は濃い色をつけたくない卵焼きや茶碗蒸しといった料理に使われます。
関西では、色の淡いうす口醤油がありますが、ルーツは碧南市生まれの白醤油といえます。
微生物の取り扱い
発酵に必要なのは微生物ですが、最初は取り扱い危険とされていたという加藤先生。
例えば麹には1000年もの歴史がありますが、いい加減に扱うと毒性を持つことになるため、やがて専門の業者が現れました。
種麹屋、もやし屋とも呼ばれ、京都で発展しましたが、現在はなぜか豊橋に日本一大きな麹を扱う会社があるそうで、今も昔も愛知は発酵大国といえそうです。
(岡本)
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