貸金庫に預けた100万円が半分に…泣き寝入りしかない?

身近な疑問・質問・お悩みを解決する『北野誠のズバリ』(CBCラジオ)の「ズバリ法律相談室」のコーナー。7月23日の放送には、「銀行の貸金庫に預けた現金が減っていた」という相談が寄せられました。80代女性が貸金庫に入れていた100万円が50万円になっていたのに、警察にも銀行にも対応してもらえないという深刻な問題について、オリンピア法律事務所の原武之弁護士が解説しました。
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リスナーAさんからの相談は、「知人の80代女性が銀行の貸金庫に預けていた現金100万円入りの紙袋が、50万円しか入っていない別の袋にすり替わっていた」というもの。
警察に相談しても「思い違いだろう」と言われ対応してもらえず、銀行にも「証拠がない」と言われ、泣き寝入り状態になっているといいます。
「彼女は元気でしっかりひとり暮らしをされている方なので、そのような扱いを受けている現状に納得がいきません。金庫に入れておいたものの写真など、証拠になるものはないのですが、防犯カメラの映像の開示など請求できないのでしょうか」(Aさん)
原弁護士によると、現在貸金庫に保管できるのは株券や有価証券、宝石、遺言書、権利書、記念コインなど。
従来は現金の保管も可能でしたが、今年6月から利用規約が改正され、現金は保管できないことになりました。この変更の背景には、貸金庫をめぐる大きな不祥事があったことが影響しているといいます。
厳重管理でも不正発生
貸金庫には大きく分けて2つのタイプがあります。一般型は名簿に登録し、銀行職員による身分確認を経て開けてもらうタイプ。自動型はカードキーや指紋認証などで自動的に開くタイプです。
いずれも本人以外は原則として開けることができず、配偶者や親子でも事前に代理人登録などの特別な許可申請が必要となります。原弁護士も銀行に同行することはあるものの、中には入れないそうです。
銀行側は貸金庫の管理には細心の注意を払っています。スペアキーは専用の封筒に入れて割印をし、ふたりの承認がないと開けられないようにするなど、厳重な管理体制を敷いていました。
それでも不正事件が発生してしまったため、現金の保管禁止という措置が取られることになったのです。
防犯カメラの限界
Aさんからは防犯カメラの映像開示についての質問がありましたが、原弁護士によると、貸金庫の入口には防犯カメラがあるものの、中は映していないとのことです。プライバシー保護の観点から、貸金庫の中にカメラを設置することはできません。
原弁護士は「中が映されないから、みんないろんなものを入れるわけで」と、秘密性が貸金庫の大きな利点であることを指摘しました。
仮に入口の防犯カメラ映像を開示してもらったとしても、何を持ち込んだかまでは確認できません。
立証できない貸金庫の現実
原弁護士は、以前の不祥事を受けて銀行側は調査をしてくれるだろうが、実際に現金が減ったことを証明するのは難しいと述べました。
例外的なケースとして、「窓口で100万円をおろして、それを貸金庫に持って行ったことを行員が覚えている」といった特殊な事情があれば話は別ですが、通常は何を入れたかまで銀行は把握していません。
また、仮に写真などの証拠があったとしても、その後持ち出された可能性もあるため、現金が減ったことを立証できないのが、貸金庫の難点だといいます。
最後に原弁護士は「貸金庫というのは、そういうリスクもあるけど秘密にできるという利点もあるということを理解して使うしかない」と結論付けました。
貸金庫が持つ秘密性の利点と、それゆえの立証の困難さが浮き彫りになった相談でした。
(minto)
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