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ひとりの力では限界?「士業」がM&Aに挑む困難

ひとりの力では限界?「士業」がM&Aに挑む困難

少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者難が大きな経営課題となっています。そして、元気なうちに資産の管理や、次世代へのスムーズな承継について考えていく必要性も高まっています。CBCラジオ『北野誠のズバリ』「シサンのシュウカツにズバリ」では、事業承継と資産承継について専門家をゲストに学んでいきます。6月11日の放送では、個人事業主である税理士事務所のM&Aについて北野誠と松岡亜矢子が三井住友トラストグループ株式会社 経営承継支援 植田駿一郎さんに伺いました。

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「生涯現役!」を望む士業の代表

今回植田さんが紹介したのは、関東にある税理士事務所のM&A事例。どのような事務所だったのでしょう?

植田「売上は 5000万円ほどで、従業員さんは5名。代表の方は、脱サラをしてご自身で税理士事務所を開業されました」

代表は、持ち前の営業力を活かして顧客を増やし、小規模ながら30年以上続けて経営してきました。なぜM&Aをすることにしたのでしょうか?

植田「『お客さんより先にくたばるわけにはいかない』と生涯現役を掲げて業務を続けてこられた代表でしたが、70歳を迎え自分の身に何かあったことを考えて、M&Aを検討され始めました」

また個人の税理士事務所では従業員の採用も難しく、このままでは事務所の運営が厳しくなると考えたとのこと。

北野「税理士さんとか個人でやられますよね。やはり個人経営となると将来の不安は出てくるでしょうね」

植田「考えた結果、自分が元気なうちはどこかの税理士法人の一支店として機能していけば、お客さんにも迷惑をかけず、自分が掲げている『生涯現役』を達成できるのでは、と考えられたそうです」

見つかりづらい「士業」の買い手

買い手はどのような会社なのでしょうか?

植田「近隣の税理士法人で、従業員は50名ほど」

税理士法人内においても、他の企業と同じように承継の問題を抱えていて、この買い手会社も先生自ら社内で2代目を選び継承していました。人員の増強も順調に進み、ちょうど売り手会社のエリアに支店を構えようとしていたとのこと。

M&Aはスムーズに進んだのでしょうか?

植田「最初、売り手さんは仲介会社を通さずに自分で動いていらっしゃいました。ご自身で買い手を探して交渉ができると思っておられたようです」

しかし、買い手会社はなかなか見つからず、相手が出てきても思うような交渉ができずに悶々していたそうです。
そんな中、士業M&Aの実績がある植田さんの会社に問合せがあり、依頼を受けることになりました。

北野「それで先程の会社とマッチングを?」

植田「そうなんです。最初、弊社から3社候補先を紹介し、引き合わせを実施して、その中で一番相性が良かったのが、今回の買い手さんだった」

北野「よかったですね」

個人の限界を知っておく

植田さんは、今回のM&Aのポイントをまとめました。

植田「税理士の先生といえども、ひとりの力では限界があり、仲介会社の候補先探しのネットワークや、間に入って交渉をサポートがすることが大事」

北野「交渉も直接やるのと代理人がやるのと違いますよね」

植田「当事者だけだとうまくいかないって、身をもって先生が実感されていたんじゃないかな」

税理士のような個人事業主だと相談する相手が少ないのではないかと懸念する北野に、植田さんも「いないケースが多い」と同意。
独立採算が多い士業だからこそ「自分のことは後回しにせず、早めの準備をしてほしい」と促しました。
(野村)
 

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