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トランプ大統領に手渡されたノーベル平和賞の“メダル”は何を思うのか?

トランプ大統領に手渡されたノーベル平和賞の“メダル”は何を思うのか?
イメージ画像:「ホワイトハウス」(写真ACより)

そういうことをするんだ、そんなこともあるんだ、と驚くしかなかった。ノーベル平和賞のメダルが、その受賞者からアメリカ大統領に対して、思いもよらぬ形で贈られた。

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トランプ氏に平和賞メダル

ベネズエラの野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏が、2025年(令和7年)のノーベル平和賞を受賞した。当時のニコラス・マドゥロ政権による出国禁止措置の中、国を“脱出”してのノルウェー入りだった。そんな思いをして手にした平和賞のメダルが、年が明けた2026年1月15日、マチャド氏本人からドナルド・トランプ米大統領へ、直接手渡された。力による平和の推進を讃える言葉と共に。

日本の「被団協」も受賞

イメージ画像:「広島・原爆ドーム」(写真ACより)

ノーベル平和賞は、国際紛争の解決や人権を守る活動などに尽くした人や団体に送られる賞で、1901年に自然科学賞や文学賞と共に、ノーベル賞では最初に始まった伝統ある分野だ。ここまで125年の長い歴史を持つ。マザー・テレサさん、中東和平に尽力したPLO(パレスチナ解放機構)のヤセル・アラファト議長やイスラエルのイツハク・ラビン首相、核廃絶を訴えたバラク・オバマ大統領らが受賞してきた。

2024年には、日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)が受賞し、「核兵器の廃絶」へ国内外に対する大きなアピールとなった。そんなノーベル平和賞に、トランプ氏は「自分は8つの戦争を終わらせた」などと主張し、受賞に対していたくご執心だった。

ノーベル委員会の声明

授賞を選定するノーベル委員会は「他者へ謙譲はできない」としている。しかし、メダルは過去に競売で売却されたり、戦争孤児のためにと寄付されたりしたこともある。トランプ氏にメダルが渡ったことについて、ノーベル委員会では「賞と受賞者は切り離すことはできない」と早々に声明を出した。メダルは“モノ”だから、と簡単に割り切れない事態であろう。

米国による軍事攻撃

そのトランプ政権は、ベネズエラに対する軍事攻撃によってマドゥロ大統領を拘束し、米国へ移管して裁判にかけるという、新年早々に世界を驚かせる事態を招いた。しかし、今回マチャド氏から平和賞のメダルを手渡されたからと言って、トランプ政権は、次なるベネズエラのリーダーとして、マチャド氏ではなく副大統領を選んでいる。“平和賞メダルの寄贈”が、両者の関係上どこまで効果があるのか、現時点では不透明だ。

66の国際機関などから脱退

トランプ大統領は、多くの国連機関、国際機関、そして条約などからの脱退も決めた。その数は実に66にも及ぶ。この内、国連関係は、日本に本部がある国連大学など31機関である。まさに“国連を重要視しない”トランプ政権の姿勢が表れている。また「国連気候変動枠組み条約」からの脱退は、気候変動という地球規模で取り組む重要テーマについて、米国が各国とスクラムを組む気がないということを、国際社会に宣言したとも言える。

グリーンランドへも触手

イメージ画像:「欧州旗」(写真ACより)

ベネズエラへの軍事攻撃に続いて、トランプ氏は、デンマークの自治領でもあるグリーンランドに触手を伸ばす。その所有権を手にするためには、武力行使も辞さないとした上で、反対を表明しているヨーロッパの8か国に対し、輸入関税を引き上げることを表明した。関税はグリーンランドを購入するまで続けるという。これに対抗してEU(ヨーロッパ連合)も米国に対する追加関税を検討している。そこに“平和”な空気はない。マチャド氏から額に入れてトランプ氏に贈られたノーベル平和賞のメダルは、今、とても立派な大きな額の中で、何を思っているのだろうか。

第二次トランプ政権は、1月20日に発足1周年を迎えた。政権はまだ3年続く。その間に、世界の構図、そして風景はどう変わっていくのだろうか。そんな国際情勢の混沌(カオス)の中、日本では、議員の任期を3分の2も残したまま衆議院が解散されることになった。およそ1か月の政治的な空白が、とても長く感じられる。
         

【東西南北論説風(662)  by CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】

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