三重県の特殊詐欺被害額が“約14億円”に「相手にしないことが一番」ニセ警察詐欺の巧妙な手口を演劇で啓発
三重県内では10月末時点で408件、被害額約14億円という過去最多ペースで推移する特殊詐欺に対し、演劇集団「青の会」が三重県警と共同制作した啓発演劇が大きな注目を集めています。20代、30代の被害も多発している中、実際の事例を元にしたリアルな演劇で対策を学ぶ取り組みが、県内100箇所以上で上演されています。
100公演以上の実績!三重県警共同制作の啓発演劇

三重県鈴鹿市にある演劇集団「青の会」は、演劇や舞台上演を行いながら俳優養成を手がける劇団です。この劇団が手がける特殊詐欺被害防止演劇は、三重県警との共同制作による本格的な啓発活動として展開されています。
(演劇集団 青の会・小林聖祥さん)
「去年から特殊詐欺の被害防止について、三重県内で老人ホームや公共施設などで100公演以上行っています」
劇団の練習場では、実際の詐欺事例を忠実に再現した演劇が上演されており、観客は身近に起こりうる犯罪の手口を具体的に学ぶことができます。
急増する「ニセ警察詐欺」の巧妙な手口とは?

番組で紹介された演劇のシナリオは、実際に発生した事例を元に作成されており、特に被害が急増している「ニセ警察詐欺」の手口が詳細に再現されています。劇中では、福岡県警を名乗る偽警察官が登場し、被害者を巧妙に騙していく過程が描かれました。
(偽警察官役)
「あなたが犯罪に関わっているという証言がありまして。今すぐ福岡県警に出頭していただいて、取り調べを受けていただく必要があるのですが」
さらに、遠方にいることを告げた被害者に対して、ビデオ通話を提案します。顔を出すことで信頼感を与え、さらに逮捕状まで見せて本物の警察官であることを信じ込ませる手法が明らかになりました。

さらに東京地検を名乗る別の人物も登場。
(ボス役)
「身の潔白が証明されるまでの間、こちらで用意する口座に入金していただきます。1000万円を入力して振込完了を押してください」
複数の人物を出すことで相手を混乱状態に追い込む、極めて巧妙な犯罪手口が再現されています。
効果的な対策と撃退法を専門家が解説

(三重県警察本部・松崎好浩さん)
「三重県内で特殊詐欺被害は10月末時点で408件被害が出ています。被害額が約14億円となっており、過去最多のペースで推移しているところです。20代、30代の方も被害に多く遭われているという状況になっています」

番組では、よしお兄さんが実際にオレオレ詐欺の電話を受けた際の対応も紹介されました。「突然ですがクイズです。私はよしお兄さんですが、よしおという名前だからよしお兄さんである、まるかバツか」という独自の撃退法で詐欺師を退散させる様子が放映されると、専門家からも高い評価を得ました。
(三重県警察本部・松崎好浩さん)
「合言葉のようなクイズを使うのは、非常に有効な手段。相手にしないことが一番です。警察からテレビ電話を通じて取り調べをしたり、逮捕状を見せたりするのは絶対にしないです」

さらに、通話録音機能付きの電話機や、固定電話の国際電話休止サービス、スマートフォン専用のブロックアプリなど、具体的な防犯対策も紹介されました。この演劇は三重県警公式YouTubeでも配信されており、公式Xでは日々の詐欺対策情報も発信されています。
(よしお兄さん)
「本日のキャッチコピー!『皆で防ごう 特殊サギは 演劇の世界だけに』」
実際の詐欺事例を忠実に再現した演劇から、年々巧妙化する手口を知ることができます。正しい知識と日々の対策で、詐欺電話を未然に防ぎましょう。
CBCテレビ「チャント!」2025年12月17日放送より


