日焼け止めの正しい使い方は?…「紫外線」肌が“赤くなりやすい人”リスクも!紫外線の恐怖と対策

身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは、東海大学 医学部付属病院 健診センター長 医学博士 西﨑泰弘先生です。
今回のテーマは「〜夏バテ・失明の原因にも!?〜紫外線の恐怖と対策」
強い日差しがジリジリと照りつける夏本番、そんな時、気になるのが「紫外線」。紫外線はシミ・シワなど肌への影響だけでなく、疲労・免疫力低下・老化・失明・がんなど全身にさまざまなダメージを与える恐ろしい存在だそうです。しかも、気象庁によると日本に降り注ぐ紫外線量は増加傾向にあり、外出自粛レベルが約35年で倍増。昨年は63日もあったのだとか。そこで今回は、紫外線の恐怖と対策について専門医に教えてもらいました。
紫外線ってどんなもの?

目に見える可視光線は、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の7色。その紫よりも波長が短く、目に見えない光が紫外線。紫外線を指す「UV」は、紫を超えたということを意味するUltraVioletの略称だそうです。紫外線は、ヒトの目には見えませんが色々なものを変化させてしまう力を持つ光で、例えばゴムやプラスチックの劣化にも紫外線が影響しているのだとか。そして、紫外線はヒトの身体にもさまざまな影響を及ぼすそうです。
紫外線トラブル「皮ふ」
<紫外線の種類>
紫外線は、光の波長の長さによって「UV-A」「UV-B」「UV-C」までの3種類に分けられています。その中で、地上まで届き人体に影響を与えるのは「UV-A」「UV-B」の2種類。種類によって皮ふへの影響が異なるそうです。
<「UV-B」が皮ふに与える影響>
UV-Bは、皮ふの表面を攻撃し炎症を引き起こします。炎症が繰り返されると防御反応でメラニンという黒い色素が生成され、シミやそばかすの原因になるそうです。
<「UV-A」が皮ふに与える影響>
UV-Aは、皮ふの奥にある真皮層まで届き、肌を支えるコラーゲンなどを破壊します。結
果、シワやたるみの原因になるそうです。
<日焼けの仕方に差がでる理由は?>
日焼けの仕方は、細胞の中にあるメラニン色素の量によって差が出るそうです。紫外線を浴びた時に肌が黒くなりやすい人は、メラニン色素が多く細胞へのダメージが抑えられるため、紫外線への守備力が高いのだとか。一方、紫外線を浴びた際に赤くなりやすい人は、メラニン色素の量が少なく、やけどや皮ふがんのリスクが高くなるため、日焼け対策は特に入念に行いましょう。
<紫外線による皮ふの変化「脂漏性角化症」>
「脂漏性角化症」とは、シミの部分に紫外線が当たり続けることで、皮ふの細胞が異常に増殖する腫瘍のこと。通称「老人性イボ」とも言います。紫外線が当たりやすい顔の側面や首筋などにできる場合が多く、海外では60歳までに約7割もの人が発症していると報告されているそうです。脂漏性角化症は良性の腫瘍ですが、似たような見た目で「メラノーマ」と呼ばれる皮ふがんもあるので、気になる場合は皮ふ科に相談してください。
<紫外線による皮ふの変化「日光角化症」>
「日光角化症」とは、日光を浴び続けてきたことにより発症する皮膚疾患。長年蓄積した紫外線のダメージにより皮ふのDNAに異常が生じている状態で、放置するとがんへと移行してしまう危険な病気なのだとか。赤くて消えない隆起する腫瘍がある場合は、皮ふ科を受診しましょう。
<紫外線の肌への影響「免疫力の低下」>
紫外線による肌への影響には、免疫力の低下もあるそうです。肌の「ランゲルハンス細胞」は免疫を司る細胞ですが、紫外線を過剰に受けると壊れてしまい働けなくなってしまうのだとか。すると、肌の免疫力が低下しヘルペスが出やすくなってしまうそうです。ヘルペスとは、ヘルペスウイルスによって小さな水ぶくれが集まってできる皮ふ疾患。一度感染するとウイルスが残り続け、免疫力が低下すると症状を繰り返すそうです。
<紫外線から皮ふを守る!日焼け止めの効果>
紫外線量が非常に強い日は、約15分で日焼けを起こし始めると言われているそうです。皮ふトラブルを防ぐためにも重要なのが日焼け止めクリーム。日焼け止めクリームに書かれているSPFは「Sun Protection Factor」の略で、紫外線のB波(UV-B)の防御効果。PAは「Protection Grade of UV-A」の略で紫外線のA波(UV-A)の防御効果を示します。SPFは数値が大きいほど紫外線を防御する時間が長くなり、PAは+の数が多いほど紫外線への防御効果が高いそうです。
<日焼け止めの正しい使い方>
日焼け止めクリームは、紫外線への防御効果が高いほど肌への負担が大きくなり、肌荒れや乾燥の原因となる場合もあるそうです。そのため、日常生活や屋外での軽いレジャー、炎天下での海水浴など、紫外線を浴びやすいシーンに合わせて使い分けることが大切。日焼け止めクリームを顔に塗る際は、1円玉サイズの量を顔全体になじませたあと、さらに1円玉サイズの量で2度塗りします。肌が露出する腕や首なども忘れずに塗るようにしましょう。
紫外線トラブル 「目」

<目に入った紫外線が全身の日焼けに繋がる!?>
耳だけに紫外線を当てたマウスと目だけに紫外線を当てたマウスを実験したところ、耳だけ紫外線を当てたマウスは耳だけ日焼けし、目だけに紫外線を当てたマウスは全身が日焼けしたという実験結果があるそうです。そもそも日焼けによって肌の色が黒くなるのは、紫外線から肌を守るための防御反応。紫外線ダメージが皮ふに与えられると、黒い色素であるメラニンが分泌されることで起こります。ところが、目から紫外線が入ってきた場合、脳が全身に紫外線を浴びていると勘違いし、全身に紫外線から身を守るように指示を送信。すると、皮ふに紫外線が当たっていなくても、メラニン色素が生成されてしまい全身が黒く日焼けしてしまう可能性があるそうです。(※マウスの実験結果のためヒトで確認されたものではありません)。
<紫外線が影響する目の病気「白内障」>
紫外線により進行している可能性がある病気の1つが「白内障」。白内障は、目の中の透明なレンズである水晶体が濁り、視界がぼやけたり眩しさを感じたりするなど視力が低下する病気。水晶体のたんぱく質に紫外線などのダメージが加わることで変化し、白く濁っていくそうです。
<紫外線が影響する目の病気「加齢黄斑変性」>
加齢黄斑変性とは、カメラのフィルムの役割に当たる網膜の中心にある黄斑が、加齢や紫外線のダメージによって出血などを起こし、視力が低下してしまう病気。一度起こしてしまうと視力の回復がほぼ不可能と言われており、失明のリスクも高くなってしまうそうです。
<紫外線から目を守る!サングラス選びのポイント>
先生によると、紫外線対策に適しているのは薄い色のサングラス。目には、夜間など少ない光量の時は瞳孔を開き、光を取り込む量を増やし見えやすくする働きがあります。そのため、濃い色のサングラスをかけると瞳孔が開いて、見えない光である紫外線も取り込みやすくなるのだとか。紫外線対策の際には、瞳孔が開かない程度の薄い色のサングラスを使うように心がけましょう。
紫外線がもたらす「全身疲労」
<全身疲労の原因「活性酸素」>
夏場に感じる強い疲労感は、紫外線が目から入り、脳内に「活性酸素」が作られることで生まれているそうです。活性酸素とは、体内で作られる疲労物質で身体を酸化させる原因となるもの。紫外線の影響で活性酸素が過剰に作られると、身体の酸化により自律神経を乱し、強い倦怠感や夏バテを引き起こしてしまうそうです。
<活性酸素を抑えるオススメの栄養素「ビタミンC」>
先生によると、紫外線対策として一番手軽に取れて効果的なのは「ビタミンC」。フルーツなどに多く含まれるビタミンCには、抗酸化作用という体内の活性酸素の働きを抑制する効果があり、紫外線によるダメージを防ぐ働きがあるそうです。なかでもオススメのフルーツが「キウイ」。キウイは、手軽に摂取できてフルーツの中でもトップクラスのビタミンC量を誇るそうです。
<代表的な果物のビタミンC量(100g当たり)>
・キウイ(黄):約140mg
・キウイ(緑):約71mg
・柿:約70mg
・イチゴ:約62mg
・オレンジ(ネーブル):約60mg
<他にもある!紫外線ケア食材>
サケ・エビ・カニなどに含まれている赤い色素となる成分「アスタキサンチン」は、強い抗酸化力によって活性酸素の働きを特に抑えてくれるそうです。他にも、ビタミンA・Eも抗酸力が高く、上記で紹介したビタミンCと合わせて「ビタミンACE(エース)」と呼ぶのだとか。ビタミンAを多く含む食材は、ニンジン・ホウレン草・カボチャなど。ビタミンEを多く含む食材には、アーモンド・ピーナッツ・大豆などがあります。
(2025年7月20日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)
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