知覚過敏は歯周病のシグナル!?専門家が原因と対策を解説

2022年6月19日(日)放送 【第511回】
知覚過敏は歯周病のシグナル!?専門家が原因と対策を解説

サマリーSummary

ゲスト:西野未姫
ドクター:鶴見大学歯学部附属病院 歯学博士 大森かをる
虫歯がないのに歯がしみる「知覚過敏」。しみるだけだから…、と放置していませんか?実は、知覚過敏は歯周病のシグナル。放置していると歯周病が進み、そこから思わぬ別の病を招く危険性もあるのだとか。そこで今回は、知覚過敏の原因と対策法を専門医に教えてもらいました。

身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。

今回のテーマは「~“しみる”は歯周病のシグナル!?~知覚過敏の原因と対策

虫歯がないのに歯がしみる「知覚過敏」。しみるだけだから…、と放置していませんか?実は、知覚過敏は歯周病のシグナル。放置していると歯周病が進み、そこから思わぬ別の病を招く危険性もあるのだとか。そこで今回は、知覚過敏の原因と対策法を専門医に教えてもらいました。

知覚過敏の基礎知識

・知覚過敏とは?
知覚過敏とは、虫歯がないのにも関わらず歯がしみる状況をいいます。冷たいもの、熱いもの、甘いもの、酸っぱいものなどを食べるとしみたり、冷たい風に当たってしみたりする事もあるのだとか。虫歯でもしみる場合がありますが、「痛みが一時的である」「歯に穴が開いていない」場合は知覚過敏が考えられるそうです。

・なぜ歯がしみる?
歯の表面には痛みを感じる神経がないので、本来は冷たいものや酸っぱいものを食べただけで刺激を受ける事はありません。しかし、歯の表面のエナメル質が何らかの原因で傷つき、その下にある象牙質が表面に現れると、刺激が象牙細管から歯の神経に伝わり、歯がしみる症状へとつながってしまうのだとか。象牙質はエナメル質より黄色く、目でも確認できるそうですが、象牙質が目で見えない程度でも症状が出る場合もあるそうです。

知覚過敏の原因(1)「就寝中の歯ぎしり」

就寝中に歯ぎしりをしていると、歯がすり減って知覚過敏の原因になる可能性があるそうです。歯ぎしりは、100kgもの力がかかっているといわれており、表面のエナメル質が削られひどくなると、多くの歯で象牙質がむき出しになる事もあるのだとか。歯ぎしりで噛む面に強い力がかかる事によって、歯肉に近い歯の根元が削れる事もあるそうです。

知覚過敏の原因(2)「酸性度の高い食生活」

炭酸飲料やジュース、パイナップル、グレープフルーツ、ヨーグルトなどの酸性度の高い飲み物や、酸っぱい飲み物・食べ物を頻繁にかつ長時間摂取するような習慣があると、歯のエナメル質が溶けて知覚過敏になりやすいそうです。十分なケアをしないでいると、酸性度の高い食生活が原因で多くの歯が溶けてしまう事もあるのだとか。この現象を「歯の酸蝕」といい、酸蝕によって歯が病的に痛んでしまった事を「酸蝕症」と呼ぶそうです。

知覚過敏の原因(3)「上下の歯が無意識に接触(TCH)」

TCHとは、上下の歯を「持続的に接触させる癖」の事。舌の側面に歯の跡が付いて凹んでいる場合は、TCHの可能性が考えられるそうです。本来、上下の歯が接触している時間は1日20分程度といわれていますが、TCHの人は長時間に渡って歯を接触させているのだとか。また、知覚過敏だけでなく、顎関節への負担が増えるため顎関節症になる可能性もあるとの事。対策法としては、“リラックス”などのメモを目に留まるところに張り紙して、見るたびに歯を離すようにするのがオススメだそうです。

知覚過敏の原因(4)「歯周病」

歯周病とは、細菌の集まりであるプラークが原因で歯茎に炎症が起こる事。進行していくと、歯と歯茎の間に「歯周ポケット」と呼ばれる溝が形成され、放置するとさらに炎症が進行します。炎症が進行すると、強い免疫作用のある「サイトカイン」を作り出して対抗しますが、サイトカインは骨を溶かす細胞を刺激するため、歯を支えている「歯槽骨」という骨も溶かしてしまい、歯茎が下がってしまう事もあるそうです。たかが歯周病と侮って放置していると、弱った歯茎から毒素が身体の中に入り、糖尿病や脳梗塞、心筋梗塞など全身に悪影響を及ぼす恐れもあるのだとか。歯茎が下がると象牙質がむき出しになるため、知覚過敏にもつながってしまうそうです。

あなたは大丈夫!?知覚過敏危険度チェック

下記の項目に1つでも当てはまる場合は、知覚過敏になりやすいそうです。
□歯ぎしりを指摘されたことがある
□酸っぱいものや炭酸飲料を頻繁に摂取する
□歯肉が下がってきた

名医直伝!知覚過敏改善法

3つのステップに分けて知覚過敏の改善法をご紹介します。

▼ステップ(1)歯磨きをして様子を見る
知覚過敏に悩む人は、歯がしみて歯磨きが疎かになることが多いので口内環境を整えることが第一歩。口内環境をきれいにしていると唾液に含まれるカルシウムが象牙細管を塞ぎ、知覚過敏の症状が治る場合があるそうです。さらに、先生のオススメは、歯と歯の間を掃除するデンタルフロスを歯磨きの後に行う事。実際に、歯磨きだけよりも歯磨きの後にデンタルフロスを使った方が、プラークがより除去されているという実験データもあります。

<デンタルフロスの使い方>
歯の隙間にノコギリを引く要領で糸を通していき、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯茎の溝まで入れて汚れをとっていきます。ホルダー型フロス、手巻き型フロスともに要領は同じで、全ての歯と歯の間を優しく掃除していくと効果が期待できるそうです。

<歯周病の人も歯磨きで様子見を>
歯周病の人は、たとえ血が出ていても正しい方法で歯を掃除していけば、歯茎が引き締まって血が止まる場合もあるそうです。

▼ステップ(2)歯にお薬を塗る
こちらは、歯医者さんで行うやり方で「知覚過敏抑制剤」という薬を塗る方法。露出した象牙質を薬で覆い外部からの刺激を緩和するものや、神経の感覚を麻痺させるものなどさまざまな種類があるそうです。

▼ステップ(3)樹脂を流し象牙細管を塞ぐ
この改善法も歯医者さんで行う改善法。歯茎が下がって歯の根元がむき出しになった部分に樹脂を流す事で、むき出した部分が塞がり知覚過敏の症状緩和が期待できるそうです。

歯ぎしりの改善法

(1)マウスピース
先生によると、知覚過敏の原因の1つである歯ぎしりが気になる方は、マウスピースを作るのがオススメだそうです。素材は柔らかいものより硬いものの方が、修理が容易で噛み合わせの調整もしやすいのだとか。歯ぎしり用のマウスピースは、保険適用で3000~6000円程度で作る事ができるそうです。

(2)ストレスを溜めずに心地の良い睡眠をとる
歯ぎしりの原因で最も多いのはストレスだといわれているそうです。そのため、できるだけストレスを溜め込まない事が大切。さらに、就寝中の歯ぎしりはその80%が睡眠の浅いときに起こるので、心地の良い眠りで歯ぎしりを減らすのもオススメ。お酒はほどほどにして、散歩などでストレスを解消すると効果が出やすく、睡眠時無呼吸症候群の治療にも有効だそうです。

(3)超簡単!歯ぎしり改善体操
軽く拳を握り、頬の筋肉を優しくほぐしてください。お風呂に入った時などに行うと、気持ちがリラックスするので良いそうです。

~定期検診を受けましょう~
知覚過敏だけでなく、口の中で気になる症状がある場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。先生曰く、普段から歯科医院で定期検診を受けるのがオススメだそうです。

(2022年6月19日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)

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