7連勝の後まさかの4連敗、井上ドラゴンズがぶち当たる“真夏の正念場”

竜党を歓喜させた7連勝の熱が冷めていこうとしている。オールスターゲームの小休止をはさんで中日ドラゴンズは4連敗。このままずるずると負け続けるわけにはいかない。(敬称略)
痛かった神宮での連敗
後半戦最初のカードとなった神宮球場での東京ヤクルトスワローズ2連戦。相手は連勝中と好調だったが、2連戦だからこそ、最低でも1勝1敗でいかなければならなかった。高橋宏斗(※「高」は「はしごだか」)そして松葉貴大が先発して、それぞれのゲームで一時はリードを奪った。しかし、結果はいずれも1点差での2連敗。僅差であれ負けは負け。ペナントレースちょうど90試合を終えて、40勝48敗2分と、借金は再び8にまで増えてしまった。そして、4連敗中である。(成績は7月27日現在)
守備ミスから始まった連敗
福島で行われた7月9日の讀賣ジャイアンツ戦から、ドラゴンズは7連勝した。「破竹の勢い」という言葉があるが、まさに一気に連勝を重ねていった。最多11もあった負け越し数も4まで減った。しかし、本拠地バンテリンドームでの横浜DeNAベイスターズ2戦目、9回表に守備固めで出場した外野手が打球を後逸するというミスを冒したこともあって、連勝はストップした。この試合で取り損ねたボールと共に、チームの勢いも外野を転々とした。そこからの4連敗である。「蟻の一穴」という言葉がある。強い堤も一匹の蟻が空けた穴から崩れるという戒めだが、こうしたミスこそ「蟻の一穴」なのである。
与田時代の8連勝と8連敗
スポーツには、流れと波がある。野球とて同じ、どんなチームにも連勝する力があり、逆に連敗する可能性もある。それがプロ野球である。立浪和義監督の3年目だった2024年(令和6年)も4月に6連勝した。「今年は違うと言ったでしょう」と立浪前監督も自信を見せたものの、連勝が止まると、一拍置いて5連敗が待っていた。3年連続の最下位が待っていた。
その前の与田剛監督時代、2019年(令和元年)には8連勝があった。しかし、その直後にまさかの8連敗。真の力が伴っていないチームは、大勝するけれど大敗もする。だからこそ「蟻の一穴」さらに「築城10年落城1日」という教訓を噛みしめて、戦わねばならないのだ。貯金はあっという間になくなってしまうが、ドラゴンズはまだ負け越していて、その貯金すらできていないのだ。
待っているぞ!チェイビス

まもなく8月を迎え、“真夏の陣”が本格的に始まる。この暑さの中で“加速”できるのが強いチームであり、キャンプから鍛えてきた成果が試される。井上ドラゴンズには、マイケル・チェイビスという、新たな助っ人が加わった。ウエスタン・リーグで見せた力強いスイングに期待は高まる。まだ来日したばかりで、2軍戦でも守備についていないが、早く1軍の舞台で見たい。ただ、外国人選手は「ふたを開けてみなければ分からない」という過去の苦い経験もあるので、ここは過度の期待を抑えて見守りたい。
ルーキー金丸こそキーマン

過度の期待をしたいのは、ドラフト1位ルーキーの金丸夢斗である。ここまで8試合に先発し、成績は0勝4敗。しかし、その投球には目を見張るものがある。オールスターゲーム直前の7月21日のゲームでは8イニングを投げて1失点、見事なピッチングだった。素晴らしい投手である。待望のプロ初勝利を手にすれば、その後は一気に勝ち続ける可能性も大きい。まもなくやって来るであろう“吉報”を、大いなる期待を込めて待っている。そして、右ひじを傷めて調整中のクローザー、松山晋也も夏の間にはマウンドに戻ってくるだろう。まだまだチームに“伸びしろ”は多い。
とにかく連敗を止めること。そのためにも、本拠地で2位ジャイアンンツを迎える3連戦は、大きなヤマ場でもある。攻撃も守備も、そして何より采配も、決してスキを見せないように。連敗中の「蟻の一穴」は、大洪水を引き起こす“致命傷”になることを肝に銘じて戦ってほしい。
【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。