金丸夢斗のプロ初勝利は一体いつ?援護なき竜打線にファンは地団駄を踏む

背番号「21」のプロ初勝利が遠い。ゴールデンルーキーである金丸夢斗投手は、ここまで4試合に先発登板、好投を見せているものの、本人もファンも待ち望む1勝になかなか手が届かない。チームはセ・パ交流戦で3連敗の後、本拠地で3連勝と勢いが出てきた。次はいよいよ金丸の“吉報”である。(敬称略)
素晴らしいプロ第1球

ドラフト会議で4球団競合の末、ドラゴンズに入団した金丸のプロ初登板は、2025年(令和7年)5月5日「こどもの日」、本拠地バンテリンドームでの横浜DeNAベイスターズ戦だった。昨季の日本一チーム相手のプロでの第1球は、球速152キロのストレート。この球道は周囲に衝撃を与える素晴らしいものだった。しかし、それから1か月経っても、待望のプロ初勝利は実現できていない。
強力な打線だったなら・・・
初戦は6イニングを投げて5本のヒットを許したものの8つの三振を奪った。失点は2、しかし負け投手になった。2戦目は5月16日の東京ドーム、讀賣ジャイアンツ相手に6イニング1失点、同点のまま交代して勝敗はつかなかった。3戦目も登板間隔は中10日の5月27日、神宮球場での東京ヤクルトスワローズ戦。やはり6イニングを投げて、自責点は0だったが勝てなかった。もし強力打線を持つチームならば、3勝0敗でもおかしくない好投だった。
交流戦で“プロの洗礼”
セ・パ交流戦に入って、6月5日に初めての中8日で登板した相手は、パ・リーグの覇者である福岡ソフトバンクホークスだった。先頭打者のヒットから始まり、3ランホームランも浴びて、初回に4失点だった。ルーキーにとっては、初めてとも言える“プロの洗礼”だろう。それでも2回以降はしっかりと立ち直った。この試合も、過去3試合と同じように6イニングを投げて、追加点は取られなかった。しかし負け投手になり、デビュー以来ここまでの成績は0勝2敗となった。
援護点は4試合で合計2点

もちろん、初回に大量得点を許したことの責任はある。しかし、ファンとして苛立つのは、ドラゴンズ打線に対してである。信じられない現実なのだが、金丸が投げた合計4試合の24イニング、ドラゴンズの得点はわずか2点である。「得点力不足」「あと1本が出ない」これは、今季に始まったことではなく、ここ数年チームの大きな課題である。しかし、鳴り物入りで入団してきた大切なルーキーがこんなに好投しているのに、竜打線の情けなさを痛感してしまう。
竜打線が情けなさ過ぎ
「4点ぐらい何のその、俺たちがすぐに取り返す」そんな気概と、もちろん結果を、打者たちはなぜ見せられないのだろうか。こんな気持ちになるのは、過去に初勝利のチャンスを逃したことによって、どこかで歯車が狂い、プロ野球人生で開花できなかった数多(あまた)の投手たちを見ているからである。金丸の場合、そんな柔な投手ではないと信じているが、ファンとしてやきもきする気持ちは続いている。
夢斗と宏斗の黄金時代へ

ここまで4試合の登板で、はっきり分かったことがある。それは、金丸夢斗という22歳の新人投手が、今の段階でも、先発ローテーションをしっかり守っていける投手だということだ。そして、おそらく大きく羽ばたいてくれるだろう。かつて長い低迷を続けていたオリックス・バファローズは、山本由伸という投手が登場して(現・ロサンゼルス・ドジャース)、その後一気に日本一のチームに駆け上がった。その山本に匹敵する投手の人材は、金丸そして同い年の高橋宏斗(※「高」は「はしごだか」)と、ドラゴンズには2人もいるのである。強力な先発ローテーション構築はもうそこまで、後は、一にも二にも打線の強化なのだ。課題は鮮明である。
金丸夢斗のプロ初勝利は、いずれやって来る。でもそれは、早ければ早いほどいい。まだまだ続く交流戦の間には、そんな歓喜が訪れてくれることを、心から期待している。
【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。CBCラジオ『ドラ魂キング』『#プラス!』出演中。