「大野雄大がいない…誰が引っ張っていくんだ?」先発陣を任された柳裕也の決意

「大野雄大がいない…誰が引っ張っていくんだ?」先発陣を任された柳裕也の決意

「とある妄想しがちなファンのドラゴンズ見聞録」
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)を見たコラム

2ヶ月勝ち星なし 選手会長としての苦悩

「サンデードラゴンズ」より柳裕也投手©CBCテレビ

柳裕也投手は、選手会長として皆を引っ張っていかなくてはならない立場で、今シーズンに臨んだ。2桁勝利を記録した年も過去2回あった。そんな過去の実績がありながらも、開幕から2ヶ月勝ち星がつくことはなかった。

柳投手「粘りきれなかったり、勝てるピッチャーのピッチングというのができていなかった。先制点を与えないとか、点をとってもらった後抑えるとか、リズムだとか、色々な要素があると思いますけど。自分自身、守りの投球というかフォアボールがすごく多かった」

不振の理由は、フォアボールにあった。2桁勝利を挙げた2019年、2021年は年間で40個前後だったが、2023年は前半戦だけで約1.5倍の30個を記録している。

柳投手「コントロールにあまり苦手意識はないので、でもフォアボールが多いということはもっと大胆にいっていいのかなと。慎重になりすぎた結果フォアボールが多くて、とにかくストライクゾーンに投げる、ストライクゾーンで勝負することを意識しています」

その意識が実を結んだのが、5月25日のカープ戦。ストライクゾーンでの勝負を徹底した結果、フォアボールを1つしか与えず今シーズンの初勝利を掴んだ。その後のライオンズ戦でも1年2ヶ月ぶりの無四球完投勝利を挙げた。

柳投手「(今季初勝利は)ヤッターって感じでしたね。ヒットを嫌がるんじゃなくて勝負した結果ヒットなら次に集中していける。ストライク先行した方が打者も嫌がるし、球数もどんどん減ってイニングも長く投げられると実感したので」

「イニングを投げてチームを引っ張る」投球回に対する思い

「サンデードラゴンズ」より柳裕也投手©CBCテレビ

初勝利前は7試合を投げ8回のマウンドを踏めたのは1度だけで、イニングを稼げないことも多かった。前述の通りフォアボールによって球数が嵩んでしまう影響もあったのだろう。しかし、初勝利後は長いイニングも投げられるようになっている。そんな投球回についてのこだわりが柳投手にはあった。

柳投手「毎年、毎試合、長いイニングを投げたいと思っていますけど、そのキッカケは大野雄大投手が沢村賞を取った年に6連続完投をしたときがあって、それを間近で見てイニングをどんどん投げたい気持ちが強くなった。今年は大野雄さんいないですし」

憧れる大野雄大投手がシーズン途中で戦線を離れてしまい、柳投手の心境にある変化が。

「サンデードラゴンズ」より柳裕也投手©CBCテレビ

柳投手「大野さんが投げられないってなって、誰が引っ張っていくんだとなったら、だいたい言われなくてもわかるじゃないですか。大野さんの気持ちっていうのもわかっているつもり。大野さんがいない分もっと頑張らなくちゃいけないなと。イニングをしっかり投げてチームを引っ張っていけるようにしたい」

今年から選手会長に就任したことも柳投手の背中を押している。後半戦の巻き返しに向けての意気込みは。

柳投手「正直低迷していますし、このままじゃいけないと思いますし、個人的にはまだまだ数字を伸ばしていきたいので、暑い夏が始まっていますけど、それに負けないぐらいの投球をしたいと思っています」

柳投手の大学の先輩である川上憲伸氏から今シーズンのピッチングについて評価してもらうと。

川上氏「本人も苦労していると言っていましたけど、特に今シーズンはシュートボールを投げたりだとか。シュートボールは、右打者に大胆に攻めなきゃいけないんですけど。最初はそのシュートボールをコースにきっちり投げすぎていたと思うんですよね。シュートボールの特徴としては『甘め』ってところだと思いますね」

ボールの力を信じて投げ切ることをアドバイスする川上氏。実力は十分ある選手なだけに、結果が出ない局面をどうやって乗り越えて成長するかに期待がかかる。苦しい時期が続くがこれを乗り越えて更なる高みを目指してほしい。

筆者の感想まとめ

「サンデードラゴンズ」より柳裕也投手©CBCテレビ

川上氏が指摘するように、シュートボールをあえて甘めに投げ込むことだったり、コースを狙うこと以外の投球の幅を活かすことも今の柳投手にとって重要なことかもしれない。それに伴って、フォアボールの数が減っていけば投球回の増加や、勝ち星にもつながっていくだろう。打線の援護とうまく噛み合わないことも多いが、投球回が増えることで少しでも逆転の確率は上がるのではないだろうか。

トレードなどでレギュラー陣を大幅に入れ替えた為、安定した得点をすることはまだ難しい状態にある。柳投手は今シーズン序盤での失点が多いため、得点機会を活かせず、ゲームの主導権を握れず負けてしまうことが多かった。

だが、大野雄大投手の離脱に、先発としての託された任務を負って、慎重に確実な部分から改善しようとしている姿勢は頼もしい。実力のある選手なだけに、何か一つのきっかけで上向く可能性は大いにある。暑い夏を一皮むけた柳投手に先導してもらいたい。

澤村桃

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