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勝てない!立浪ドラゴンズの“現在地”を東京ドーム観戦で目撃した

勝てない!立浪ドラゴンズの“現在地”を東京ドーム観戦で目撃した
「サンデードラゴンズ」より立浪和義監督(C)CBCテレビ

東京ドームのレフトスタンドには、試合前ずいぶん早くから、ドラゴンズブルーのユニホームを着たファンが詰めかけた。2023年5月20日の土曜午後デーゲーム。公式ファンクラブがチケット販売してくれたこともあって、3塁側の内野席が購入できて、応援に駆けつけた。本拠地の名古屋で連敗を続けた後、讀賣ジャイアンツとの2連戦に臨む立浪ドラゴンズに、応援席からこんな合唱コールが送られた「気合いを入れろ!ドラゴンズ」。

目撃談①~エラーが多すぎる

「サンデードラゴンズ」より龍空選手(C)CBCテレビ

またもエラーだった。今季31個目の失策は、2回裏に出た。1死1、3塁で、先発の小笠原慎之介投手は、7番のアダム・ウォーカー選手をショートゴロに打ち取った、はずだった。龍空選手がボールを取り損ねて、3塁ランナーはホームイン。ダブルプレーでチェンジのはずが、先制点が入った上で、1死1、2塁のピンチが続くという最悪の結果になった。それにしても、エラーが多すぎる。

12球団で最も多い32失策(成績は2023年5月21日現在)。ここまで守備の乱れが出るドラゴンズは、これまであまりお目にかかっていない。

目撃談②~四球からの失点

与えるフォアボールの数も多い。この日のマウンドは小笠原投手だけに、決して多くはないのだが、5回裏に4番の岡本和真選手に四球を出してランナーが満塁になった。その直後、続く5番の大城卓三選手が試合を決定づけるホームランで、一挙4点。このところ、ドラゴンズ投手陣による「四球の後の失点」を何度見てきたことだろう。

春季キャンプでは、落合英二ヘッド兼投手コーチによって、ブルペンでストライク数を競うユニークな試みがあったはずだが、肝心の実戦でストライクが入らないことには意味がない。

目撃談③~あと1本が出ない

「サンデードラゴンズ」より石川昂弥選手(C)CBCテレビ

ドラゴンズファンが沸いたのは、4番・石川昂弥選手のホームランが飛び出した6回表だった。2ベースで出塁した細川成也選手をおいて、左翼バルコニー席まで飛ぶ特大の一発。内野スタンドにいながら、一瞬ボールを見失うほどの弾道だった。

しかし、これも6点差がついた後のホームラン。同じように細川選手が2ベースを打った後の打席は、4回表にもあった。この時はまだ2点差だった。6点差で打つ2ランホームランと、2点差で打つ2ランホームランは、その意味合いはまったく違う。小笠原投手の投球にも影響があったはずだ。4番打者には、そんな一発を期待したい。結局、得点は2点だけ。この日も「あと1本」が出なかった。

目撃談④~落ち着かない打順

立浪和義監督は、この試合でまたまた打順を入れ替えた。大島洋平選手を6番に置く打順は、おそらくシーズン前の構想のひとつにあったのだろう。今季2000安打をめざし、1打席でも多く打席数がほしい大島選手だが、「6番・大島」は悪くない打順だろう。しかし、大島選手本人が、かつて打順が毎試合のように変わっていた与田剛監督時代に語っていた言葉を思い出す。「打順にはそれぞれ役割がある。ある程度は固定してほしい」。1番打者と2番打者では明らかに違うのである。ましてやクリーンアップの後を打つ6番。

今季のドラゴンズは、開幕以来、打順がよく変わる。打線と言われるように、それは「線」であるべきだ。今季チーム打率が良くても、得点数が少なすぎるチームの一因ではないのだろうか。少し落ち着いた打線を見てみたい。

目撃談⑤~若き希望の光たち

「サンデードラゴンズ」より細川成也選手(C)CBCテレビ

それでも、起用されている若竜たちに、スタンドから熱い声援を送り続けた。石川選手、細川選手に加えて、ルーキーの福永裕基選手と村松開人選手。痛いエラーはしたけれど龍空選手らに、竜党の声援は惜しみなく続いた。そして、もうひとり、この日ゲーム前の打撃練習での鵜飼航丞選手。打ち返す打球は、次々と左中間スタンドに飛び込んだ。別格の飛距離を目の当たりにした。ドラゴンズファンだけでなく、ジャイアンツファンからも、どよめきが起きていた。

打ち終わった時、東京ドーム全体から、大きな拍手が鵜飼選手に送られていた。細川、石川、そして鵜飼、いつかはこんなクリーンアップも見てみたい。希望の光は確実にある。ただ、その成長はヒリヒリするようなペナントレースの中でこそ、さらに磨きがかかるはずだ。最下位に甘んじているチームでは、若い力の成長も加速しない。

今季の負け越し14は、立浪ドラゴンズ1年目のワーストに並んだ。期待の2年目だっただけに「まさか」の思いがある。勝てないチームが何をするべきか。弱いチームが何をするべきか。まだシーズンは100試合以上も残っている。応援を続けるファンのためにも、中日ドラゴンズという球団は、監督、コーチ、選手、そしてフロント含めて、プロとしての意地を見せてほしい。最下位がいつまでも“現在地”であってはならない。                        
  
【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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