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文化大革命から60年。中国に今も残る毛沢東の影

文化大革命から60年。中国に今も残る毛沢東の影

5月16日で、中国の文化大革命の勃発から60年を迎えます。1966年に始まった文化大革命は10年に及んだ政治闘争で、その主役が中国建国の父、毛沢東でした。5月14日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、ジャーナリストの北辻利寿さんに、文化大革命とは何だったのか、そして今の中国にどのような影響を与えているのか伺いました。

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毛沢東という人物

文化大革命を主導した毛沢東は、長く中国の最高指導者だった人物です。

毛沢東は1893年(明治26年)に誕生しました。中国共産党を創立した党員のひとりで、日中戦争などを指導し、終戦の1945年には中国共産党の中央委員会の主席に就任。その4年後の1949年に中華人民共和国の建国を宣言します。

新しい憲法のもとで国家主席にも就任した毛沢東は、その後82歳で死去するまで中国のトップに君臨し続けました。

大躍進政策と大飢饉

国家主席就任後、最初は穏やかな改革を進めていたものの、その後急速に中国を社会主義へ導こうと舵を切ります。

中国共産党に批判的な知識人、大学の先生や文化人といった反対勢力を次々と粛清していったのです。

合わせて進めたのが「大躍進政策」です。農業を集団化してまとめて進めることで増産を目指しましたが、農家が猛反発し、農作物の生産をやめてしまいます。その結果、中国全土が大飢饉に陥り、2000万人が餓死したともいわれています。

毛沢東は就任から5年経った1959年に主席を辞任し、国家主席を劉少奇に譲りました。

文化大革命の始まり

次の国家主席だった劉少奇らが進める革命政策では、元々の革命精神が消えて資本主義が復活し始めました。ここで毛沢東が反撃に出ます。

中国共産党や国家に対して批判的だった学生などの若者を煽って政権打倒を目指したのです。

1966年5月16日、中国共産党内に「革命チーム」を組織し、資本主義を打倒せよ、ブルジョワ思想を取り締まれと指示します。

これが「プロレタリア文化革命」とも呼ばれる文化大革命の始まりでした。

紅衛兵と粛清

10代から参加した若い学生たちは「紅衛兵(こうえいへい)」と呼ばれ、過激な行動に走って学校や行政機関を攻撃しました。さらに、多くの政治家や知識人を反革命分子として迫害していきます。

粛清された人数は中国政府の公式統計で170万人。一方で、2000万人という説もあるそうです。

当時の国家主席だった劉少奇も逮捕後に死亡し、革命は成功します。毛沢東のリーダーシップはしばらく続きました。

革命の終焉

1970年代に入ると、内戦状態が長く続き、経済活動が停滞していきます。国内は疲弊し、革命の熱も冷めていきました。

ちょうどその頃、アメリカのリチャード・ニクソン大統領が北京を電撃訪問し、米中関係改善が実現します。

日本も中国と国交を正常化し、田中角栄首相の訪中が行なわれるなど、中国は国内外で大きな節目を迎えていました。

やがて毛沢東は体調を崩し、1976年に死去します。文化大革命が始まってちょうど10年後でした。

毛沢東の妻だった江青(こうせい)と、「四人組」と呼ばれたリーダーたちも逮捕され、10年以上に及んだ文化大革命は終わりを告げます。

「失敗」と総括

中国共産党は1981年の中央委員会総会の決議で、文化大革命は指導者が間違って引き起こしたもので、反革命グループに利用されて党と国家と人民に重大な災難をもたらした内乱と総括しています。

国の歴史上では完全な失敗だったという位置づけです。

ただし、リーダーだった毛沢東個人については、第一義的には功績があったと評価されています。間違いは第二義的なものとされ、批判の対象にはなっていません。

北辻「革命自体は失敗だったと。毛沢東の思想を含めては、ある種、批判の対象になってないということが、今日に結びついてきてるということですよね」

第二の毛沢東

現在の習近平国家主席は、「第二の毛沢東」を意識しているとの見方もあります。

習近平国家主席の父は中国共産党の幹部で、文化大革命の早い時期に毛沢東によって迫害を受け、粛清の対象となっていました。にもかかわらず、息子の習近平は毛沢東を政治の師と仰いで強く意識しているといいます。

北辻「毛沢東の思想は、そういう意味では根深いですよね」

中国をアメリカに対抗できる強い社会主義国家にするため、毛沢東の思想への回帰を重視しているのです。

一時期中国がとっていた集団指導体制ではなく、ひとりのリーダーが全てを握る権力集中を目指す姿勢が、第二の毛沢東を意識しているといわれるゆえんです。
 

米中首脳会談という節目

強い国を目指す姿勢は、台湾への圧力にも通じます。習近平国家主席が強い国を目指している限り、台湾は中国の支配下だという主張は変わらず、今後の動向は大きな焦点です。

実は10年前、文化大革命50年の節目には、中国は何の公式行事もなく静かに終えています。今回の60年の節目も、おそらく静かに終わるだろうと北辻さんは見ています。

ただし今回は、米中首脳会談と重なる節目です。

北辻「本当にどんなメッセージが発表されるのか含めて、まさにこのタイミングでの米中首脳会談っていうのは世界史の綾だなっていう風に思って見てます」

第二の毛沢東が今週迎える節目に、世界の関心が集まります。
(minto)
 

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