背中に「悪」のインパクト!悪石島のTシャツ「悪T」が全国で話題に
鹿児島県トカラ列島の悪石島で、今年6月から7月にかけて発生した群発地震の際、多くの島民が着用していたTシャツ「悪T」が全国的な話題となっています。背中に「悪」と書いてある、インパクトのあるTシャツです。10月30日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、悪石島の売店店長のふうかさんに、島民に愛される「悪T」の魅力について伺いました。
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トカラ列島近海を震源とする群発地震は6月21日に始まり、7月3日には悪石島で最大震度6弱を記録しました。今月27日に久々に震度2の地震があったものの、ほぼ地震の揺れを感じることはなくなってきたそうです。
当時の様子についてふうかさんは、「地震に対しての恐怖を常に感じていて、島民全員、心身共に疲れて睡眠不足になっていました」と振り返ります。しかし、十島村役場の職員や本土の警察官、災害派遣看護師、そして島内の消防団の存在が心強かったといいます。
売店への大きな被害はなかったものの、商品が散乱して床に倒れるなどの混乱はあったそうです。
島名に隠された伝説
悪石島という特徴的な名前の由来には諸説ありますが、そのひとつに興味深い説が伝わっています。
悪石島が属する十島村には宝島という島があり、そこには宝が埋まっているという昔話があります。しかし実際には、その宝は悪石島に埋まっているとされ、人を近づけないためにわざと悪い名前をつけたというのです。
宝島という名前では人が集まってしまうため、あえて「悪石島」と名付けて人を遠ざけようとしたというわけです。
「悪T」誕生秘話
群発地震の際にマスコミの取材で注目を集めた「悪T」は、背中に大きく「悪」の文字が書かれたTシャツです。
前面には、悪石島の仮面神「ボゼ」が描かれています。ボゼは大きな口と目のある仮面をかぶって悪霊を追い払う神様で、島の伝統文化を象徴する存在です。
このTシャツは2009年に悪石島小中学校の教頭先生が個人的に作ったものが始まりで、次の教頭先生が書道経験者に頼んで現在のデザインが完成したそうです。
1人5枚以上所有の人気ぶり
驚くべきことに、島民は少なくともひとりあたり5枚以上の「悪T」を持っているそうです。
今のように流行る前から、「今日、あの人は赤色の悪Tだな」「今日は黒か」という具合に、日常的に着用されていたといいます。
カラーバリエーションも豊富で、黒、ネイビー、紫、赤、グレー、白の6種類が展開されています。
地震報道をきっかけに、島内で購入してくれるお客さんが増加。全国から問い合わせが殺到し、電話が鳴りっぱなしという時もあったといいます。
「本当に何よりも悪石島を応援したいんだっていう気持ちを抱いて、悪Tシャツを購入してくださるっていう方がたくさんいらっしゃるっていう事実は、本当にありがたくて嬉しいですね」と、ふうかさん。
全国から寄せられる応援の声
悪石島は、人口89人の小さな島。釣り人が来島することが多く、自然豊かなところももちろんおすすめだといいます。しかし、ふうかさんが語る一番の魅力は、島民が心優しいところだそうです。
観光客に対しても島民自ら笑顔で「悪石島の旅を楽しんでね」と声をかける方も多く、売店に来店された方々から「悪石島って優しい人が多いね」と言われることが多いそうです。
島には宿も4つあり、食事では特に刺身がおすすめだと言います。ふうかさんは「島で刺身を食べたら、スーパーで刺身は買えない」と、その新鮮さと美味しさを強調しました。
群発地震という困難を乗り越え、全国からの応援を受けながら、悪石島の人々は今日も「悪T」を着て、島の日常を過ごしています。
(minto)
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