働くほど損になる?年金の仕組みが改定へ

『北野誠のズバリ』(CBCラジオ)の1コーナー「ズバリマネー相談室」では、貯蓄、税金、保険、節約などお金にまつわる疑問や相談に対し、小宇佐・針田(こうさ・はりた)FP事務所のファイナンシャルプランナーさんが回答しています。9月22日の放送では「仕事をすると年金がどれぐらい減るのか?」との質問に、針田真吾さんが回答しました。聞き手はパーソナリティの北野誠と大橋麻美子です。
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今回取り上げた疑問は次のとおりです。
「もうちょっとで定年という歳になりました。職場の先輩たちの多くは、60歳定年以降も再雇用で働き続けています。
さらに会社は最近になって、65歳以降の希望者についても引き続き雇用してくれるそうです。
私も元気なうちは65歳と言わず、70歳やその先も可能な限り働きたいと考えてはいますが、仕事をしながら年金をもらうと年金が減ってしまいますよね。年金が減らないように働く時間を調整する必要があるとも聞きます。
どの程度の影響があるものなのか、教えてください」(Aさん)
在職老齢年金とは
定年後もどんどん働いてほしいと言う割に、働くほど損になるケースがあります。
場合によっては働く時間を減らした方が得というのは、何やらパートの103万の壁に似ている感じもあります。
実際にどれぐらい働くと損なのでしょうか?
針田さんが解説したのは、在職老齢年金に関するルール。
これは現役時代に会社員や公務員といった厚生年金に加入をして働いていた方が、老後に年金をもらいながら引き続き厚生年金に加入して働く場合、収入が一定のラインを超えると年金の一部や全部が支給停止となる仕組み。
ただ、基礎年金は減らないので、個人事業主に影響はありません。
この制度は意外と古く、1965年(昭和40年)に開始されています。
どれぐらい年金が減る?
ここで気になるのは年金が減る基準。
基本月額、つまり年金の1か月あたりの金額と、総報酬月額つまり直近1年間の給料とボーナスの合計を1か月あたりに換算した金額の合計が51万円を超えるかどうかです。
超えなければ年金は減りませんが、超えると超えた分の2分の1が減らされます。
例えば年収が480万円、年金を月17万円受給している場合、総報酬月額40万円+基本月額17万円で合計は57万円。
このケースだと6万円超えるので、年金が月3万円減らされることになります。
来年から上限が大幅アップされるも
厚生労働省と総務省によれば、2023年に65歳以上で働いている人の割合は53%。
65歳以上の年金受給者は現在308万人、そのうちの16%が在職老齢年金の停止対象になっているそうです。
さらに現役で働く人の3割以上は、年金が減らないように時間調整をしているそうです。
51万円という基準は時々見直しが行われますが、今年の6月、2026年から62万円に大幅増額すると発表されました。
この見直しにより、20万人の支給停止が解消されるという試算があるそうです。
一方、国は企業に賃上げを要求しているため、やがて支給停止に引っかかる人が増えることが予測されます。
年金に限らず、さまざまな制度で所得が何円以上の場合はといった条件がありますが、賃金の上昇に合わせて、その条件も変える必要がありそうです。
年金の支給停止を回避する方法
では、収入を増やしながらなんとか支給停止にならない方法はないのでしょうか?
針田さんは「可能かどうかわかりませんが」と前置きしつつ、65歳以降は業務委託で働くという方法を提案。
つまり個人事業主となることで厚生年金には加入しないため、在職老齢年金の対象にはならず、ラインには引っかからないことになります。
針田さんは「もともとそういうラインに引っかかってしまうような高収入の方は、それなりのスキルもおそらくあるでしょうし、会社としても貴重な人材でしょうから、そういったことを相談してみるというのもひとつかなと思います」とアドバイスしました。
(岡本)
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