全国民に通知開始!「改正戸籍法」で戸籍に初めて名前の読みを明記

戸籍法が改正され、名前の読み方も戸籍に記載されることになりました。これまで戸籍には漢字表記のみで読み方は記載されていませんでしたが、来週以降、すべての国民に名前の読み方を確認する通知が届きます。5月19日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が、これからどのような手続きが必要になるのか解説しました。
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実は、現在の戸籍には漢字での名前が書かれているだけで、読み方は記載されていません。
こどもが生まれた時に出生届にふりがなを書きますが、あれは事務処理の都合上書いているだけで、戸籍には載らないのです。
「だから、よくあるキラキラネームみたいな、本人しかわからないみたいな名前もあり得たということにもなるわけ」と石塚。
つまり「山崎」という名字も、「ヤマザキ」か「ヤマサキ」か、「中島」も「ナカジマ」か「ナカシマ」かは戸籍からは判断できません。
三浦優奈(ユウナ)は「ユナ」、光山(ミツヤマ)雄一朗アナウンサーは「ヒカリヤマ」「コウヤマ」と間違えられることも多いそうです。
しかし実際には「ユナ」さんや「コウヤマ」さんも存在するため、混乱の原因になっていました。
デジタル化に対応する狙い
戸籍に読み方を記載する最大の理由は、デジタル化を進めてデータベース化していくためです。
現在、金融機関のカードやパスポートなど、日常生活では読み方を登録しているものは多く存在していますが、戸籍同様、マイナンバーカードも実は漢字の登録のみです。
「マイナンバーカードと紐付けて、例えば給付金を銀行口座に振り込む時など、読み方が違うとトラブルになることがある。お互いに読み方がわかっていれば、そういったトラブルは少なくなるだろう」と石塚。
デジタル化に伴い、行政手続きをスムーズに処理できるようにする狙いがあります。
確認通知と猶予期間
改正された法律が施行されるのは5月26日から。戸籍の読み方を確認する通知が、全国民に届きます。
役所側は読み方を推測して通知を送るため、もし違っていれば正しい読み方を届け出る必要があります。
読み方が合っている場合は何もしなくても問題はありません。異なる場合の猶予期間は1年間で、来年の今頃までに確認または修正の手続きを行なう必要があります。
また、これからこどもが生まれる場合や外国の方が帰化する場合は、新しく戸籍が作られる際に読み方もきちんと届け出ることになります。
読み方には一定のルールも
法務省は今年2月に通達を出しており、原則として「一般的な読み方」にするよう求めています。
例えば「高」と書いて「ヒクシ」と読ませたり、「太郎」と書いて「マイケル」と読ませたりする極端なケースは認められません。
ただし、これまでいわゆるキラキラネームで生きてきた人については、パスポートや銀行口座などの証明書類を提示して、実際にその読み方で生活してきたことを証明できれば、認められる方針です。
この機会に読み方を変えたいと思う人もいるかもしれませんが、石塚は「もうすでに銀行などに届け出ている読み方と整合性がなくなる。ややこしくなるので、冷静に。嬉しがって名前を変えたりしない方がいい」と忠告しました。
修正の申告忘れに注意
読み方の確認通知が届いても、間違っていることに気づかなかったり、申告を忘れたりする可能性も考えられます。
1年間の猶予期間中であれば簡単に修正できますが、期間を過ぎると家庭裁判所を通さなければなりません。そのため、通知が届いたらなるべく早めに確認する必要があります。
また、今回の改正戸籍法に関する課題として、石塚は「一般的な読み方」という基準の曖昧さを挙げます。
判断するのは各自治体の担当者であるため、ある自治体では認められない読み方が別の自治体では認められるといった違いが生じる可能性もあるというのです。
石塚は、漢字文化の奥深さについても触れます。たとえば「乱」は「みだれる」と読みますが、歴史的には「おさめる」という読み方もあるため、「オサム」と読ませてはいけない
のか、という議論もありえます。
論語の中に「武王曰く『予に乱臣十人有り』」という一節がありますが、この「乱臣」は悪い人という意味ではなく、国を治めるのに優秀な家臣という意味で使われているそうです。
詐欺に注意!
そして、絶対に気を付けなければならないのは「詐欺」と石塚は語気を強めました。
こういった制度変更の際には、「手数料が必要」「期限が過ぎそう」などと偽って金銭を要求する詐欺が発生することがあります。法務省も国も自治体も、この手続きでお金を取ることは絶対にないため、もし金銭を要求されても応じないよう注意が必要です。
戸籍に読み方が記載されるという大きな変更。来週から届く通知をしっかり確認し、必要に応じて正確な読み方を届け出ましょう。
(minto)
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