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落合博満監督の衝撃指令!川上憲伸が語る「スタメン決めてくれ」の真意

落合博満監督の衝撃指令!川上憲伸が語る「スタメン決めてくれ」の真意

CBCラジオ『ドラ魂キング』。「川上憲伸、挑戦のキセキ」は、野球解説者の川上憲伸さんが、自身のプロ野球人生を「挑戦」という視点から振り返るコーナーです。4月30日の放送では、落合監督初年度の2004年シーズンに「野手のスタメンを決めてみろ」と命じられたエピソードと、その体験から学んだ勝利への哲学について伺いました。聞き手は宮部和裕アナウンサーです。

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甲子園で突然の指令

前回の放送では、落合博満監督から自分の登板日を決めるように言われたという強烈なエピソードを披露した川上さん。今回はさらに衝撃的な出来事を振り返りました。

阪神タイガース戦の直前に、落合監督から野手のスタメンを決めるよう指示されたというのです。

川上「忘れもしないです。甲子園のマッサージルームに急に入ってきて、『今日のスタメン決めてくれー』と言われて」

「いえいえいえ」と困惑する川上さんに落合監督は選択肢を与えながら質問を投げかけました。

「じゃあ、〇〇と△△どっち使う?」と選手の名前を挙げ、川上さんの意見でスタメンを決めたといいます。

試合戦略を考えさせる深い意図

川上さんはこの出来事を通じて、「この1試合をどういう風な形で勝ちにしていきたいか」という試合全体の戦略を考えるようになったと明かしました。

当時の阪神には、“JFK”と呼ばれる強力な中継ぎトリオ(ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之)の存在があり、それを前提に、井川慶投手以外の先発投手は5~6回で交代する傾向があったのです。

川上「最初から守りの野球で行くのか、ちょっと点が取れて守備固めに行くのかっていうのを考えるんですよ」

相手投手の特徴も加味し、自分たちのチーム編成を考えたそうです。

川上「今日の相手ピッチャー、タイガースは下柳(剛投手)だ。最近だと1.5イニングで1点しか取れていない。伊良部(秀輝投手)は3点取れてる。アレックスを使うのか、英智を使うのか。ファーストは渡邉(博幸)でいくのか、リナレスでいくのか」

勝ち方を考える野球へ

結局、川上さんは守備固めで臨む戦略を選択。この判断に対して落合監督は「1点取られたら今日は勝てねえ。そういう野球だ」と言い残して去っていったといいます。

川上「『1点はいいか』とか、『ピンチを作ってなんとか凌いでいけばいいわ』とかじゃなくて。守備固めにした以上は、『最初から全力でいっておかないとダメだぞ』という」

落合監督は、言葉は少ないものの、勉強させられることが多かったと振り返る川上さん。この経験が川上さんの投球マインドにも変化をもたらしました。

川上「末っ子野球をずっとしてたわけじゃないですか。甘えながら、『行けるところまで行け!』みたいな感じの」

負けを意識しながら、点を取られることを意識しながらマウンドにいることはそれまでなかったそうです。

川上「7回に2対1で勝っているけど、この回にひとりでもランナーを出すと、誰々に9回にまわるとか。4番の怖いバッターに2回まわるとか、いろいろ考える。たかがヒット1本はOKじゃなくて、終盤に厄介なことが起きるな、とか考えるようになりましたね」

落合監督のやり方で、より戦略的な視点を持つようになったといいます。

勝利への逆算思考

川上「監督によっては『80勝するぞ』とかよく言うじゃないですか。落合監督は逆でしたね。『何敗まではできる』。最初に負けるのか、後で負けるのかの違いじゃないかという感じでしたよね」

宮部「3連勝は難しいけど、2勝1敗。ひとつは負けていいという逆算があってのことかもしれないですね」

川上「元々3連勝やるぞという雰囲気はないですよ、当時のドラゴンズは」

8年間すべてAクラス入り、5度の日本シリーズ出場、2007年の日本一、そして2010年、2011年の球団史上初のセ・リーグ連覇。これらの実績の裏側に、落合監督ならではの野球哲学があったことがうかがえます。

次回は2005年、落合政権2年目のシーズンについてのお話です。
(minto)
 

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