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トヨタ紡織の駅伝男“羽生拓矢” 初のアンカーでゴールテープ切れるか

トヨタ紡織の駅伝男“羽生拓矢” 初のアンカーでゴールテープ切れるか
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「アンカーは嫌いです」。来る11月9日、実業団駅伝日本一を決めるニューイヤー駅伝の予選会「第65回中部・第55回北陸実業団駅伝」で、初めて最終区アンカーを任されたトヨタ紡織の羽生拓矢は、率直な気持ちを口にした。しかし、その言葉とは裏腹に、彼の瞳は静かな闘志に満ちている。過去、中部実業団駅伝では3度走り、3度とも区間賞を獲得。昨年はチームを3年ぶりの優勝に導く立役者となった男は、今年もまた、誰よりも強い輝きを放とうとしている。

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昨年の再現なるか?大会新で優勝の立役者が見せた圧巻の走り

2024年の中部実業団駅伝。トヨタ紡織は大会新記録で3年ぶりの王座に返り咲いた。その中心にいたのが、エース区間の4区を走った羽生拓矢だった。当時、トップを走るトヨタ自動車とは第3中継所時点で14秒の差があった。しかし、羽生は4.5キロ地点でライバルの吉居大和(トヨタ自動車)に並ぶ間もなく、あっという間に抜き去る。彼の勢いはとどまることを知らず、2位トヨタ自動車に約2分もの大差をつけ、堂々の区間賞を獲得した。
レース前のインタビューで昨年の走りを振り返った羽生は、「自分でも納得できる走りができましたし、イメージ通りの走りができたと思います」と静かに語る。その言葉には、絶対的なエースとしての自信が滲む。2020年の1区、2022年の5区、そして2024年の4区と、任された区間は違えども、常に最高のパフォーマンスでチームに貢献してきた。中部実業団駅伝では、出場したすべての大会で区間賞を獲得している「駅伝男」だ。

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「アンカーは嫌いです」初の最終区に抱く本音と責任

輝かしい実績を引っ提げ、今年は初めてチームの勝敗を決定づけるアンカーを任された。しかし、その大役について尋ねると、意外な答えが返ってきた。「嫌いです」。その理由を「個人的な理由ですけど、前半区間で走って、あとは純粋に駅伝を楽しみたいなっていう気持ちがあるんですけど、(アンカーは)ずっと緊張しっぱなしだと思うのであまり好きな空間ではないです」と明かす。
一方で、アンカーという役割の重要性は誰よりも理解している。「アンカーで全体の順位が決まるので、非常に重要かなと思います」。彼は駅伝を「個人の戦いであり、個人の責任」と捉えているが、アンカーだけは特別だと語る。「唯一アンカーだけはいろんな責任を背負ってるのかなと思います」。6人の襷が繋いできた想い、チームの順位、そのすべてが自分の両肩にかかってくる。その重圧こそが、彼が「嫌い」と表現するものの正体なのかもしれない。
監督からは、この配置について特別な意図は伝えられていないという。しかし、羽生はその起用に込められたメッセージを明確に受け取っていた。「監督からのメッセージとしてはもうトップでゴールしろっていう、してくれっていうことだと思うので。それは多分、チーム全員がそう思っていると思うので、その期待に応えられるような走りをしたいなと思います」。

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決して万全ではない状態。それでも背負う「トップでゴールしろ」という期待

しかし、今シーズンの羽生は決して順風満帆ではなかった。「今の状態はあまり決して去年と比べたら、いい状態ではないですけど」。そう正直に現在のコンディションを語る。今年の8月、9月はほとんど練習ができていなかったという。万全の状態とは言えない中で、チームの命運を託されるアンカーという大役を担うことになった。
それでも、彼の表情に悲観の色はない。「徐々にですね。日に日に調子が上がってきたかなって感じではあります」。レース当日に向けて、一歩ずつ着実に状態を上げている手応えがある。応援してくれる人々、スタッフ、チームメイト、関係者全員の願いはただ一つ、優勝だ。「誰もがトップでゴールすることを期待していると思いますし、それを願っていると思うので、それに応えられる走りをしたい」。

「誰よりも目立ちたい」矛盾を力に変えて狙うは4度目の区間賞と優勝のゴールテープ

「アンカーは嫌い」。そう言いながらも、羽生拓矢というアスリートの根底には、揺るぎない自己表現への渇望がある。インタビューの最後にカメラに向かって意気込みを問われると、彼は力強くこう宣言した。
「優勝のゴールテープを切れるように頑張ります。俺だけを見てほしい。誰よりも目立ちたい。誰よりも注目されたい」
初めてのアンカーという重圧を背負い、田原路を駆け抜ける。トヨタ紡織の駅伝男・羽生拓矢が、自らの走りですべての期待と責任に応え、喝采の中心で両手を突き上げる姿を見ることができるか。運命の号砲は、もうすぐ鳴り響く。

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