「連覇」か「リベンジ」か?―中部・北陸実業団駅伝レース展望
ニューイヤー駅伝の切符をかけた戦い、第65回中部・第55回北陸実業団駅伝が11月9日に愛知県田原市で開催される。2024年大会では中部地区でトヨタ紡織が大会新記録で優勝、北陸地区ではYKKが圧倒的な強さで33連覇を達成した。
今大会も熱戦が繰り広げられることが予想される。
大会新記録のトヨタ紡織、連覇への挑戦
2024年の中部地区を制したトヨタ紡織は、3時間51分03秒という大会新記録で優勝を飾った。服部大暉、羽生拓矢、西澤侑真がそれぞれ区間賞を獲得し、圧倒的なチーム力を見せつけた。
この勝利により、トヨタ紡織はニューイヤー駅伝への出場権を獲得。今シーズンはその勢いをどう継続させるかが注目される。

トヨタ自動車、王座奪還の野望
1分09秒差で2位に甘んじたトヨタ自動車は、雪辱に燃えている。サムエル・キバティが第2区で区間賞を獲得したものの、4区吉居大和がブレーキとなり、1位トヨタ紡織に差をつけられてしまった。その後、太田智樹が第6区で区間賞、内田隼太が区間新記録の走りで追い上げるも1位の背中は遠かった。
2020年には3時間51分19秒という大会記録を樹立したトヨタ自動車にとって、2024年の2位は想定外の結果だったに違いない。ニューイヤー駅伝でも実業団トップクラスの実力を持つチームだけに、今年の巻き返しが期待される。

北陸の絶対王者YKK、34連覇なるか
北陸地区では、YKKが3時間54分37秒の大会新記録で優勝し、驚異の33連覇を達成した。森山真伍、ロロット・アンドリュー、綱島辰弥、細森大輔、山森龍暁が区間新記録を樹立し、7区間中6区間で区間賞を獲得するという圧倒的なパフォーマンスだった。
特筆すべきは、この記録が2021年に自らが作った3時間59分10秒という大会記録を大きく更新したことだ。YKKの強さは年々増しており、もはや北陸地区で対抗できるチームは見当たらない。
セキノ興産、YKK包囲網の突破口を探る
2024年の北陸地区で2位に入ったセキノ興産は、3時間59分45秒でフィニッシュ。YKKとは5分以上の差をつけられたが、第6区で佐藤広夢が区間賞を獲得するなど、部分的には対抗できる力を示した。
ジェームズ・ムオキ、木本大地といった実力者を擁するセキノ興産にとって、YKKの牙城を崩すことが最大の目標となる。
中部地区、3位以下の激戦
トーエネックが3位、愛知製鋼が4位、NTNが5位と、中部地区の3位から5位までは1分8秒差という僅差だった。愛三工業は6位、中央発條は7位で、この7チームすべてがニューイヤー駅伝への出場権を獲得した。
特にトーエネックは河合拓巳が第7区で34分11秒という好記録を出し、表彰台を確保。愛知製鋼は後半区間にかけて順位を上げ、NTNはエース区間を任された菊地の走りが光った。
ニューイヤー駅伝への道のり
この中部・北陸実業団駅伝は、毎年1月1日に実業団王者を決めるニューイヤー駅伝の重要な予選会として位置づけられている。2024年は中部地区から7チーム、北陸地区から2チーム、計9チームがニューイヤー駅伝への切符を手にした。
今年も激戦が予想される中、トヨタ紡織は連覇への執念を、トヨタ自動車は王座奪還の野心を、YKKは圧倒的な強さの継続を、そして他のチームはニューイヤー駅伝への挑戦権獲得を目指す。
11月9日の田原市で繰り広げられる戦いは、単なる地区予選ではなく、日本実業団陸上界の頂点を目指す第一歩となる。はなとき通りを舞台にした80.5キロの戦いから、目が離せない。


