週に100時間VRゴーグルをつけて仮想空間に 生活が一変する可能性を秘めたメタバースの世界とその住人たち

週に100時間VRゴーグルをつけて仮想空間に 生活が一変する可能性を秘めたメタバースの世界とその住人たち

最近話題となっている言葉「メタバース」をご存じでしょうか。インターネット上に作られた仮想空間のことを指しますが、いま、このメタバースが私たちの暮らしを根本から変えるかもしれないと大きな注目を集めています。買い物から恋愛に至るまで、生活を一変させる可能性を秘めているメタバースの世界の実態に迫りました。

無限の可能性を秘めた“もう一つの世界”

VRゴーグルを装着すると、視界いっぱいにリアルな街が広がり、インターネット上に作られた仮想空間、「メタバース」に入ります。ここでは、自分の分身=アバターを使いジェットコースターに乗ったり、絶景の星空を楽しんだり、まるでそこに生活しているかのような、さまざまな体験ができます。VR法人HIKKY  大河原あゆみさんにメタバースの可能性について聞きました。

(VR法人HIKKY  大河原あゆみさん)
「メタバースというのは無限の可能性を秘めた空間です。海外では行政の手続きや、医療機関の簡単な診療、教育機関でも使われることも多い」

2021年10月には、アメリカのSNS大手Facebook社がメタバースに力を入れようと、社名を“Meta”(メタ)に変更することを発表しました。SNSに代わるサービスになるのか?と、一気に世間の注目を集めました。

日本企業も続々と参入するメタバース

日本でもすでに多くの企業がメタバースへ参入しています。例えば、2018年から開催される世界最大級のイベント「バーチャルマーケット」では、メタバースの中に作られた街で買い物などを楽しむことができますが、2021年冬の開催期間中には世界中から100万人以上が訪れました。

仮想空間上に作られたリアルな渋谷センター街を歩いていると、リアルではあり得ない位置に大丸松坂屋が現れます。店内に入ると、食品やデザートなど商品がズラリ。試しにワインを手に取ってみると、裏のラベルまでしっかりと書かれていました。気に入った商品は、ウェブサイトを通じて購入することができます。

メタバースに出店している大丸松坂屋百貨店ギフト企画運営担当の田中直毅さんに、今後について聞きました。

(大丸松坂屋百貨店ギフト 企画運営担当 田中直毅さん)
「社内には北海道物産展のバイヤーなど、有名なスタッフも結構いる。こういった人間がアバターでお客さんと接客できていけば、時空を超えてサービス展開できるかなと」

また、人気のアパレルショップBEAMSでも店員のアバターが接客をしてくれます。洋服のデザインを細かく見て頂くことができ、実際に注文したいときは「BUY」というボタンを押せば実物が家に届くシステムです。

週100時間以上メタバースで生活する大学生

1日の大半をメタバースで過ごしている人もいます。京都市に住む大学4年生、内村修斗さん21歳。メタバースで知り合った友人と、シェアハウスで暮らしています。

(内村さん)
「1日の中で(VRゴーグルを)外している時間が3~5時間。私にとってスマホみたいなもの。スマホがないとみんな困ると思うんですけど、そんな感覚です」

週に100時間以上、VRゴーグルをつけて生活しています。

午前11時過ぎ、目が覚めたらすぐにVRゴーグルを着けて、メタバースにいる友人とあいさつを交わし、雑談。立ち上がってゲームをしたり、寝転んで友人と話したり、日常生活を送るのと変わりない感覚です。

およそ4時間後、この日初めてゴーグルを外します。午後3時過ぎ、友人と遅めの朝食をとります。食べ終わると再びメタバースへ。内村さんは、学業以外にネットメディアの運営をしています。メタバースに関する記事などを執筆。仕事もメタバースの中で完結させます。

午後7時過ぎ、夕食の時間に内村さんは冷蔵庫からお酒を取り出しました。現実では友人と2人でただ食卓を囲んでいるだけですが、メタバースの中では4人の友人と、本当に焼肉を食べているかのように、盛り上がっています。

恋人とのデートもメタバース上で

メタバースにどっぷりつかった生活になったきっかけはコロナ禍でした。

(内村さん)
「大学2年生以降はすべてオンライン授業。コロナ禍で広げられなかった友人関係や人付き合いって部分がメタバース上でできるようになった。新しい知り合いがどんどん増えていって、仮想空間上で過ごす時間が長くなった」

メタバース飲み会がひと段落したころ、このあと恋人とデートの予定があるとのことで部屋に戻って準備を始めました。しかし、直接会うのではなく恋人とのデートもメタバースです。

内村さんから告白し、一緒に指輪をつけて現実空間と同じようにふるまっています。現実では、なかなか見られない絶景の星空を楽しみました。もうメタバースがない生活は考えられないと感じています。

(内村さん)
「もし自分が80歳や90歳になって寝た切りになっても、メタバースの中では色んな活動ができる。そんな風になったら素晴らしいと思います」

暮らしの常識を覆すメタバースの世界。SNSのように世界中に浸透するサービスになるのか、今後に注目です。CBCテレビ「チャント!」5月18日の放送より。

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