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“大学発”のベンチャー企業が続々誕生 がん検査や半導体関連まで… 研究成果がビジネスに 「社会への還元が注目を浴びている」

“大学発”のベンチャー企業が続々誕生 がん検査や半導体関連まで… 研究成果がビジネスに 「社会への還元が注目を浴びている」

大学発ベンチャーの最前線。上場を果たした「ティアフォー」のように名古屋大学は今、研究を利益につなげるベンチャー企業の育成に力を入れています。その狙いとは。

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【動画】尿を送るだけで10種類のがんリスクを判定!検査キットを生んだ名大発ベンチャーのラボがこちら【1分10秒~】

名古屋市内のドラッグストアに並ぶ、がん検査キットの「マイシグナル」。一度は目にしたことがあるかもしれません。

(クライフ中部検査センター 坪井智子センター長)
「すい臓がんなど10種類を、がん種別にリスクを判定できる」

自宅で尿を採取し冷蔵の宅配便で送るだけで、10種類のがんができているかどうかのリスクを3段階で判定。費用は1回8万円ほどかかりますが、採血の必要はなく手軽に受けられるがん検査として、注目を集めています。

4年前の発売から、いまやドラッグストアや量販店など、取り扱い店舗は4500店舗以上。全国2500以上の医療機関でも導入されています。

名古屋大学発のベンチャー企業が開発

マイシグナルを開発したのは、バイオAIベンチャーの「Craif(クライフ)」。実は、名古屋大学発の企業です。今も拠点の一つは大学に。

(クライフ中部検査センター 坪井智子センター長)
「去年(ラボを)拡張して、2.2倍の広さに。処理検体数も3倍まで上がった」

ラボで研究開発されたのは、尿の中の物質を測定して、がんのリスクを判定する技術。細胞内にある遺伝情報の破片「マイクロRNA」を検出し、がん特有のパターンを読み取る技術を実用化しました。

(クライフ 小野瀨隆一CEO)
「名古屋大学は非常に優れた基礎研究の蓄積がある。名古屋から出てきたものを応援しようというのは、すごく感じた」

がんを「治療」→「予防・早期発見」へ

共同創業者でもある小野瀨CEOは、名大発ベンチャーの強みをこう強調します。

(クライフ 小野瀨隆一CEO)
「いま医療の中心は治療。(がんの)予防・早期発見の社会に変える 大きなシフトを起こす。我々がそういう社会モデルを構築していく」

今はアメリカ進出も目指し、世界にビジネスを広げようとしているクライフ。

名古屋大学は、こうした学内ベンチャーの支援に力を入れていて、大学内にある拠点施設には、工学部や経済学部の学生が設立した企業が実に30社以上もあります。

(東海国立大学機構スタートアップ統括室 加藤幹也特任教授)
「名古屋大学が進めてきた起業(支援)を、しっかりやるという成果が少しずつ出ている」

名古屋大学発のベンチャー企業 2025年10月時点で267社に

大学がベンチャー支援に本腰を入れ始めたのは、3年ほど前。岐阜大学との統合で生まれた「東海国立大学機構」の中に、資金を調達する投資会社と連携した相談窓口を設置。さらに2025年、ベンチャー支援を一括して担う専門の部署を置きました。

名大発のベンチャーは、2025年10月時点で267社。昨年度だけで114社増え、増加数は東京大学に次いで2位になりました。

研究成果がビジネスにつながれば、「社会貢献」という国立大学の存在意義を示すとともに、技術の特許料が大学に入ります。

(東海国立大学機構スタートアップ統括室 加藤幹也特任教授)
「国立大学として税金で運営している以上、研究成果をいかに社会に還元していくか。スタートアップを通じた社会への還元が注目を浴びているので、さらに強化していく」

国内最大のベンチャー支援拠点と連携 研究機器を最大8割引きで使用可能に

2024年、名古屋で作られた国内最大のベンチャー支援拠点「STATION Ai」との連携も進めています。

X線回析装置や電子顕微鏡など、大学が所有する最先端の研究用機器600台以上を割安で解放。

国内に10台ほどしかないタンパク質などを解析する質量分析装置は、一般企業が借りる際には1回10万円以上かかりますが、名大発ベンチャーの場合は最大8割引きの料金で使用できます。

7年前に学生ら3人で創業… 今は従業員40人以上に

クライフ同様、学内ベンチャーで成果を上げているのが、ものづくりの製造工程をAIで最適化するサービスの「アイクリスタル」。2019年、半導体素材を研究する学生ら3人で創業して以来、今や従業員40人以上を抱えるれっきとした企業です。

(アイクリスタル 石川祥士執行役員)
「いまは熟練技術者の経験 勘やコツで製造温度などが決められている。我々の技術で最適化すれば、短時間でコストが安く作れる」

そして、2025年創業の「ThermieL(サミエル)」。半導体などにレーザーを当て、熱がどう伝わるかを可視化する技術が強みです。

(サミエル 藤田涼平CEO)
「半導体は小さいエリアから大きく発熱。放熱材料の需要が非常に大きくなっている」

大学発ベンチャー企業のメリットは?

半導体の高性能化で問題なのは、発生する熱。サミエルの技術は、熱を効率よく取り除く素材の開発に活用されます。

事業化のきっかけとなった研究室の技術は、JAXAの探査機「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星「リュウグウ」の石の分析でも使われました。

CEOを務める藤田さんは、大手航空会社を経て大学の研究室に戻り、サミエルを起業。現在は開発の最終段階で、販売を視野に入れるまでにこぎ着けました。

(サミエル 藤田涼平CEO)
「コミュニティー自体を作ってもらえる。(他の企業と)つないでもらえるのもメリット。このインキュベーション施設でも、横のつながりで新たなビジネスが生まれている」

老舗の大企業が多く、「ベンチャー不毛の地」と言われてきた愛知県ですが、あのトヨタ自動車もいわばベンチャーの先駆け。

新たな産業を生み出す種が、静かに確実に育っています。

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