鉄道計画が白紙に…静岡県にある未成線を活用した歩行者・自転車専用「夢のかけ橋」とは

ミキの昴生と亜生がMCを務める、全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』。今回は、ダムにまつわる道“ダム道”をこよなく愛する道マニア・エリさんが、静岡県浜松市にある“ダム道”を巡ります。
鉄道計画が白紙に… 転用された歩行者・自転車専用「夢のかけ橋」

番組初登場となるエリさんと一緒に旅をするのは、プロギャルのMAAACHIRIN(まーちりん)さん。2人は、浜松市天竜区を訪れます。
(道マニア・エリさん)
「ダムに架かる橋やダム建設によって生まれた道、役目を終えた道など、ダムにまつわる道が好き。その中から今日は、イチ推しの1つ『船明(ふなぎら)ダム』のダム湖に架かる道を紹介したい」
昭和52年(1977年)に完成した「船明ダム」は、天竜川水系の最も下流に位置し、標高の低い場所に存在。横幅は約220mで、横に長く低い姿が特徴的です。

そんな船明ダムの北側には、エリさんお気に入りの道があるとのこと。さっそく目的の場所へ徒歩で向かうと、船明ダム湖の両岸を結ぶ遊歩道「夢のかけ橋」が姿を現します。
(道マニア・エリさん)
「この道はダム(湖)の上を歩けるが、もともとそのために造られた場所ではない。本当は鉄道が通る予定だった。それが未完成のまま終わってしまって、遊歩道に転用された」

この「夢のかけ橋」は、赤と白のアーチが交互に配列された全長約473mの歩行者・自転車専用の橋。この場所にはかつて、現在の天竜二俣(ふたまた)駅とJR飯田線の中部天竜駅を結ぶ鉄道として、旧国鉄の「佐久間線」が計画されていました。
“暴れ天竜”と呼ばれた天竜川の急流や険しい山々に阻まれ、交通の便が限られていた地域を結び、人や木材を運ぶ鉄道として期待されていましたが、工事は凍結。道路網の整備が進んだことに加え、国鉄の経営悪化も重なり、昭和55年(1980年)に計画は白紙に。
その後、船明ダム湖には、未成線となった佐久間線の橋脚だけが約20年にわたって残されました。

そして、平成12年(2000年)にその橋脚は整備され、歩行者と自転車が対岸へ渡る「夢のかけ橋」として生まれ変わりました。
「一本の線路を通す予定だったので、車道にするには難しい幅だった」とエリさん。橋には、鉄道計画時の橋脚の跡が見られます。

また、船明ダム湖の北側に、線路を通すために建設された高架橋の遺構が今も残されています。
さらに周辺には、佐久間線の駅の予定地だった場所にダムカードが配布されている道の駅が整備されているほか、鉄道用の隧道を再利用したワインセラーも。安定した温度を生かすなど、各地で鉄道の遺構が有効活用されています。

近隣の方の話によると、夢のかけ橋は、天竜川の上流に位置する長野県飯田市の特産品で、祝儀袋などに使われる「水引(みずひき)」に由来した“赤”と“銀色”に配色されているとのこと。幻となった佐久間線の夢を受け継ぐ橋として、一般公募により「夢のかけ橋」と名付けられました。
トンネル内で道が分岐!?珍しい構造をした「西川隧道」

続いて2人は天竜川を北上し、天竜区龍山町(たつやまちょう)へ。
(道マニア・エリさん)
「次は、『秋葉(あきは)ダム』にまつわる、変わった造りをしているトンネルを案内したい」
船明ダムの北側にある「秋葉ダム」は、昭和33年(1958年)に完成。高さ約90mの本体に8門のローラーゲートを備える、静岡県内でも有数の規模を誇るダムです。戦後の電力不足や慢性的な洪水被害を解消するため、1950年代から天竜地区のダム開発が進められ建設されました。

その秋葉ダムのすぐ西側にある「西川(さいかわ)隧道」へ行ってみると…
(道マニア・エリさん)
「トンネルの中で道が分岐している」

トンネルの内部には交差点があり、道がYの字に分岐。全国的にも珍しい構造をしており、一方は秋葉ダムの上を通る道路に繋がっています。

トンネル内に三角形の交差点が設けられた理由の一つは、中央に岩盤の柱を残して天井を支え、落盤を防ぐため。さらに、南北どちらの方向からもダムへスムーズに進入できるよう、車両が安全に曲がれる角度にするため独特な形状になったとも考えられています。
CBCテレビ「道との遭遇」2026年10月6日(火)午後11時56分放送より










