「オーディションは100本受けて1本」元SKE48若林倫香が、名古屋の“温室”を捨てて見つけた自分の居場所
アイドルとして活動していた名古屋から、東京の“新人”へ。
華やかなステージを降りた彼女を待っていたのは、掃除から始まる泥臭い小劇場の現場でした。
見えてきたのは、「守られる場所」と「試される場所」の違い。
名古屋出身の若林倫香さんに、新天地へ旅立った当時の心境を伺いました。
名古屋での決断 “守られていた場所”を離れるということ
「隣の女性」のリアルな本音を伝え、「今」を生きる女性たちを応援したい――。 そんな思いからCBCテレビが立ち上げたのが、「me:tone編集部」です。
地元の名古屋が大好きだと公言していた若林さん。
アイドルを卒業する選択は、外から見れば前向きな一歩に映りますが、本人にとっては決して軽い決断ではありませんでした。
me:tone編集部:「アイドルを卒業することへの不安はありましたか?」
若林さん:「不安はありました。アイドルとして全力でやってきた分、そうではない自分が想像できなくて、アイドルじゃなくなる自分に、どんな価値があるんだろうと、そればかり考えていました」
周囲からは「もったいない」「続けたほうがいい」という声も多く寄せられていました。それでも彼女は、自分の中にある違和感と向き合い続けました。
若林さん:「このままでいいのかなと考えたときに、学業やこれからの人生のことも含めて、卒業という選択をしました」
意外だったのは、グループのメンバーたちの反応。止めるのではなく、その選択を尊重してくれたといいます。
若林さん:「やっぱり同じ立場を経験しているからこそ、気持ちを一番理解してくれていたと思います」
一方で、家族や友人の方が「もったいない」と感じていたそう。キラキラして見える場所だからこそ、そこを離れる決断は周囲には理解されにくいもの。それでも彼女は、“守られていた場所”を離れる道を選びました。

名古屋と東京のあいだで揺れた気持ち
拠点を東京へ移し、活動を始めた中で一番不安だったのは「人とのつながり」だったと打ち明けます。
若林さん:「新しい環境で一から人間関係を作っていくことに、不安もありました。でもその分、新しい出会いは新鮮で楽しかったです」
知り合いの少ない土地での生活は、孤独を感じる瞬間もありました。そんな彼女を支えたのは、やはり名古屋の存在。SKE48のメンバーが仕事で上京した際に、お茶をしながら「最近どう?」と近況を報告し合う何気ない時間が、心の拠り所になっていました。
me:tone編集部:「名古屋と東京の感覚は、変化しましたか?」
若林さん:「上京して3年ほど経った頃、実家に帰ったときに『戻る』ではなく『実家に帰ってきた』と感じたんです。」
この感覚の変化こそが“自立”を自覚した瞬間だと語ります。

名古屋の「元SKE48」が通用しない場所で
名古屋と東京――。同じ仕事でも、その環境は大きく異なっていました。
名古屋では「SKE48」という看板があり、すでに自分を知っている人たちの中で仕事ができました。最初から“受け入れられている”状態。一方、東京は違いました。
若林さん:「東京では、自分をゼロから伝えていくところから始まりました」
肩書きがまったく通用しないわけではありませんが、それだけで評価されることはありません。
若林さん:「卒業したグループは、肩書きというより“出身校”のような感覚。知っている人とは話が広がりますが、知らない人にはあまり関係のないことなんです」
名古屋は“守られている場所”。東京は“試される場所”。
その環境の差が、若林さんの働き方や意識を大きく変えていきました。
“アイドル出身“を超えられるか。東京で学んだ現実
東京で強く意識したのは、「アイドル出身」という先入観を超えることでした。
若林さん:「アイドルだからできない”と思われるのが嫌で、ワークショップや舞台の現場でも、誰よりも掃除や片づけを率先してやっていました。どんな現場でも、自分にできることはきちんとやろうと。その姿勢はアイドル時代に学んだものだと思います」
目立つためではなく、信頼を積み重ねるための地道な行動。
次第に「頑張り屋だね」と声がかかるようになり、少しずつ“自分自身”を見てもらえるようになったと感じたそうです。肩書きではなく、一人の人間として評価される。その実感を、東京で初めて得ることができたのです。

試され続ける日々の中で見つけた“自分の表現”
東京での活動は、決して順風満帆ではありませんでした。特に声優の世界は、想像以上に厳しい現実に直面したと振り返ります。

me:tone編集部:「オーディションはすぐに受かりましたか?」
若林さん:「最初は落ちるのが当たり前でした。“100本に1本受かればいい”と言われるような世界。落ちるたびにへこみますが、あとから聞き返すと『もっとこうできたな』と気づくことも多かったです」
失敗を積み重ねながら、自分なりの表現を模索する日々。さらに、アイドルと声優では“表現のあり方”も根本から違っていました。
me:tone編集部:「アイドルと声優の違いはなんですか?」
若林さん:「アイドルは自分を120%出す仕事。声優は役や作品を120%届ける仕事だと感じています」

コロナ禍で仕事が止まり、続ける意味を見失いかけた時期もありましたが、若林さんを支えたのは「求められている」という感覚でした。
若林さん:「ひとつでもお仕事で選んでいただけると、“必要としてもらえているんだ”って思えて、それがすごく支えになっていました」
名古屋から東京へ。環境が変わったことで、彼女は“守られる側”から“試される側”へと立場を変えました。その中で見つけたのは、肩書きに頼らず、自分の力で立つという覚悟。
現在は声優の経験を経て、YouTuber「モフモフモー」のととちゃんとして活躍の場を広げています。
変化に向き合い続けることだけが、自分の居場所をつくる唯一の方法なのだと、彼女の言葉から改めて実感させられました。

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