「腰痛」ほとんどの原因を特定…あなたの「腰痛」はどのタイプ?4つの腰痛タイプ原因&改善法

身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは、山口大学大学院医学系研究科 整形外科学 准教授 医学博士 鈴木秀典先生です。
今回のテーマは「〜あなたの腰痛はどのタイプ?〜4つのタイプ別原因&改善法」
現在日本で腰痛に悩む人は、推定1200万人以上。人生で誰もが一度は腰痛を経験すると言われています。原因が分からないまま放置している人も多く、実際ヘルニアなど原因がはっきりしている腰痛はわずか15%。長年にわたり8割以上の腰痛が原因不明とされてきました。しかし、近年そのほとんどの原因を突き止め、腰痛を4つのタイプに分けることが出来るようになったそうです。そこで今回は、4つの腰痛タイプとそれぞれの改善法を専門医に教えてもらいました。
腰痛の基礎知識

<腰痛の原因が特定できなかったのはなぜ?>
これまでは「ヘルニア」や「腰部脊柱管狭窄症」など、X線・MRIで画像診断できる“見える腰痛”は原因が特定できましたが、原因が主に神経や筋肉にあり画像でわからない“見えない腰痛”は特定ができなかったそうです。しかし、近年研究が進み、ほとんどの原因を特定。整形外科医が腰痛診断に用いるガイドラインも7年ぶりに改訂され、これまで腰痛の85%は原因が特定できないと記載されていましたが、最新版の2019年のガイドラインでは8割程度の腰痛は原因が特定できると記載されるようになったそうです。
<見えない腰痛は4タイプ>
これまで原因不明と思われていた“見えない腰痛”は4つのタイプに分けることができるそうです。しかも、自分がどのタイプかを知り、それにあった対策を行うことで痛みを改善できるのだとか。ただし、当てはまるタイプは1つとは限らず、原因が複数重なることもあるそうです。
腰痛タイプ(1)上体を反らすと痛む「椎間関節性腰痛」
<「椎間関節性腰痛」とは?>
椎間関節性腰痛は、加齢や腰に負担のかかる動き・姿勢により、椎間関節と呼ばれる部分が変形し、関節同士がこすれて痛みが生じる腰痛だそうです。
<「椎間関節性腰痛」の簡単セルフチェック>
□座った姿勢から立ち上がる時に痛みを感じる
□上体を後ろに反らすと痛みがある
□仰向け姿勢で寝るのが辛い
□仕事や趣味で重い物を持つことが多い
上記の項目は、椎間関節に負担をかける代表的な動作。椎間関節性腰痛の原因は、椎間関節の変形なので、これらに当てはまる場合は椎間関節性腰痛の可能性があるそうです。
<椎間関節性腰痛の改善法「猫のポーズ」>
▼四つん這いになり 息を吐きながら腰と背中を丸める
▼息を吸いながらゆっくりと腰を反らす
(※無理のない範囲で行なってください)
≪ポイント≫
ポイントは、椎間関節を広げるイメージで行うこと。1日10回でOK!このストレッチにより、関節同士が広がってこすれにくくなるそうです。
腰痛タイプ(2)前屈みで痛む「椎間板性腰痛」
<「椎間板性腰痛」とは?>
「椎間板」は、骨と骨の間にありクッションの役割をしています。椎間板性腰痛は、椎間板の機能が低下することで、特に前屈みになった時に神経に触れたり椎間板自体に炎症が生じたりして、痛みを引き起こすのだとか。主な原因は、加齢・肥満によって椎間板に負担がかかり変性することだそうです。
<「椎間板性腰痛」の簡単セルフチェック>
□上体を反らすと痛みが楽になる
□洗面台など前屈みの姿勢になると辛い
□柔らかいソファに座るのが苦手
□10年前に比べて10kg以上太った
上記の項目はいずれも椎間板に負担をかける動作。これらに当てはまる場合は、椎間板性腰痛の可能性があるそうです。
<椎間板性腰痛の改善法「マッケンジー体操」>
▼うつ伏せで両手を肩幅の位置につける
▼そのまま海老反りのような形でゆっくりと上体を起こす
▼痛気持ちいいところで2秒キープし元に戻す
(※無理のない範囲で行なってください)
≪ポイント≫
この体操は、機能低下した椎間板への圧力を分散させて腰痛を軽減させる効果が期待できるそうです。10回を目安に無理のない範囲で行いましょう。
腰痛タイプ(3)ぎっくり腰をよくする「筋筋膜性腰痛」

<「筋筋膜性腰痛」とは?>
筋筋膜性腰痛とは、背中から腰にかけての筋肉が硬くなる、いわゆる“コリ”が原因で痛みが出てくる腰痛。触ると筋肉が硬くなっている部分があったり、骨盤付近の筋肉の付着部に痛みが出たりすることがあるそうです。
<「筋筋膜性腰痛」の簡単セルフチェック>
□腰をひねると痛みを感じる
□痛い部分を押すと痛みを感じる
□長時間のデスクワークをよくする
□ぎっくり腰をよく経験する
上記の項目に当てはまる場合は、筋筋膜性腰痛の可能性があるそうです。
<筋筋膜性腰痛にぎっくり腰が多い理由>
腰を支えている腹筋や背筋の筋力が低下すると、腰の筋肉の緊張を引き起こし腰痛につながります。加えて、腰をしっかり支えられていないため、ぎっくり腰を起こしやすくなるそうです。
<筋筋膜性腰痛の改善法「テニスボール」>
▼床に仰向けに寝る
▼痛みやコリを感じる部分にテニスボールを置く
▼少し体重をかけて 痛気持ちいい程度に動かす
(※無理のない範囲で行なってください)
≪ポイント≫
コリのある部分は血流が滞り、筋肉が硬くなっています。その部分の血流を良くして硬さを取ると、筋肉が柔らかくなり腰痛の改善につながるそうです。痛みが強くて難しい場合は、硬くなっている部分を拳でトントンと叩くだけでもOK!どちらも1日1回30秒を目安に行いましょう。
腰痛タイプ(4)お尻を押すと痛む「仙腸関節性腰痛」
<「仙腸関節性腰痛」とは?>
先生によると、仙腸関節性腰痛の原因は股関節の動きの低下。仙腸関節は、骨盤の仙骨と腸骨をつなぐ関節。股関節の可動性が低下すると、仙腸関節を安定させようと筋肉や靭帯に負担がかかり、炎症が起きて痛みにつながるそうです。
<「仙腸関節性腰痛」の簡単セルフチェック>
□お尻のあたりを押すと痛みを感じる
□あぐらの姿勢をとるのが辛い
□ベッドで片足を垂らし 逆足を抱えるとお尻が痛い
□無意識に痛いほうのお尻を浮かせて座っている
上記の項目に当てはまる場合は、仙腸関節性腰痛の可能性があるそうです。女性に多い腰痛で、出産・妊娠により骨盤が開き、そこに負荷がかかると痛みが出るのだとか。また、痛みの場所が比較的分かりやすく、座った時にちょうど当たる場所に痛みが出やすいそうです。
<仙腸関節性腰痛の改善法>
▼仰向けに寝て片方のひざを抱え 太ももを胸にゆっくり寄せる
(※無理のない範囲で行なってください)
≪ポイント≫
ポイントは、上げている方と逆の脚をしっかり伸ばすこと。仙腸関節性腰痛は、お尻の筋肉や内転筋が硬くなっていることが多いので、この体操により筋肉を緩めることで仙腸関節の負担を減らす効果が期待できるそうです。
腰痛の原因は複数重なっている場合も
4つのタイプの腰痛をご紹介しましたが、当てはまるタイプは1つとは限らず、原因が複数重なっていることも多いそうです。例えば、セルフチェックで当てはまる項目が1つの腰痛タイプは、その要素は少ないものの、何%かは他の原因と混ざっていることも考えられるのだとか。そのため、原因を1つと決めつけずに対処していくことが大切だそうです。毎日5分からでも改善法を実践して、腰痛を改善していきましょう。
(2025年7月27日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)
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