「熱中症」予防に“汗活”…効果抜群!「ラグササイズ」とは?今からやるべき熱中症対策

身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは、日本医科大学 武蔵小杉病院 救命救急科 講師 医学博士 神田潤先生です。
今回のテーマは「〜今からやるべき熱中症対策!〜猛暑を乗り切る“汗活”」
汗をかかない生活をしている人は、夏に熱中症にかかるリスクが高くなるそうです。熱中症予防に大事なのは“暑熱順化”。暑熱順化とは、暑くなる前に汗をかき身体を暑さに慣れさせ、熱中症のリスクを下げる対策。その効果は注目されており、日本気象協会では2022年から暑熱順化を始めるべきタイミングを発表。それによると、今年はすでに全国でその時期を迎えています。そこで今回は、暑熱順化に大切な「汗活」について専門医に教えてもらいました。
今からやるべき熱中症対策

先生によると、熱中症の予防に大きな役割を果たしているのが「汗」。汗には蒸発することで身体から熱を逃がす「気化熱」という効果があり、身体が熱くなるのを防いでいるのだとか。そのため、暑くなる前に汗をかけるようになって身体を暑さに慣れさせる「暑熱順化」が大事だそうです。
汗の違いによる身体への影響
<暑熱順化による汗の違い(1)汗をかく早さ>
暑熱順化できているとすぐに汗をかくことができますが、暑熱順化できていないと汗をかきはじめるのが遅くなったり、暑さを感じられず汗が出なかったりするそうです。
<汗をかけない原因は?>
汗腺は、加齢とともに潰れたかのように萎縮し汗をかく機能が衰えてしまいます。また、汗をかかない生活によっても、汗をかく機能は衰えてしまうのだとか。ただし、汗腺を刺激し暑熱順化することで、衰えてしまった機能を再び蘇らせることが可能だそうです。
<暑熱順化による汗の違い(2)汗の量>
暑熱順化できていると、汗をかく早さに加えて汗の量も多くなりますが、暑熱順化できていないと汗の量が少なかったり、汗が出なかったりするそうです。
<暑熱順化による汗の違い(3)汗の状態>
暑熱順化できていると、無数の汗腺から汗が分泌し、皮ふ全体を湿らせ体温調節に向いた汗になります。一方、暑熱順化できていないと、汗を分泌できる汗腺がまばらで玉のような見た目の汗になってしまうそうです。すると、汗をかいても熱が逃げず、体温調節ができていない状態になるのだとか。この汗による体温調節機能の差が、夏の熱中症の危険度を左右するそうです。
<暑熱順化による汗の違い(4)汗の成分>
通常、汗腺から汗が分泌される際には、「導管」という部分で体内に必要な塩分が再吸収されます。ところが、汗腺の働きが鈍っていると、塩分の再吸収がうまくいかず、塩分濃度の高い汗になってしまうのだとか。実際、海外の実験では暑熱順化の前後で汗に含まれる塩分量に差があることが報告されています。先生によると、塩分濃度の高い汗をかくと、身体のミネラルバランスを崩し、脱水症状を引き起こす危険もあるそうです。
<暑熱順化できていない汗の特徴>
玉のような状態でベタベタしやすい塩分が多い汗の場合は、暑熱順化できていない可能性大。今のうちに暑熱順化をして熱中症を予防しましょう。
暑熱順化のための汗活ポイント
汗をかくための汗活ポイントを3つご紹介します。高齢でも無理のない範囲内で汗活を続けることで汗腺の機能は蘇ってくるそうです。
<汗をかくための汗活ポイント(1)運動習慣>
1つ目の汗活ポイントは、適度なスポーツや運動で汗腺を刺激し発汗すること。運動の目安としては、ウォーキングは30分、ジョギングは15分で週5回。サイクリングは30分を週3回。これを2週間続けると暑熱順化に効果的と言われているそうです。ただし、真夏の運動は熱中症のリスクが上がるため、本格的に暑くなる前までの期間に留めましょう。
<汗をかくための汗活ポイント(2)入浴>
暑くなるとつい湯船に入るのを避けがちですが、しっかりとお湯に浸かることで体温が上がり発汗を促す汗活になるそうです。先生オススメの入浴法は、41℃のお湯に10分間浸かること。これを2週間続けると汗をかきやすくなると言われているそうです。長時間の入浴は、のぼせや脱水の危険があるので注意してください。
<汗をかくための汗活ポイント(3)辛い物を食べる>
3つ目の汗活ポイントは辛い物を食べること。例えば、唐辛子のカプサイシンや生姜に含まれるジンゲロールなどは、摂取すると血流が促進し発汗するのでオススメだそうです。ただし、辛味の強さや食べる頻度、塩分摂取量に注意してください。
<汗をかくための汗活ポイント(4)睡眠>
先生によると、寝不足だと自律神経が乱れて汗が出にくくなるそうです。夏場は、寝苦しさから睡眠不足になりやすいため、エアコンなどをつけ快適な睡眠環境を作りましょう。
汗腺の機能を下げるダメ習慣

<ダメ習慣(1)日常的にアイスを食べる>
暑い日に冷たい物を食べ身体の熱を冷ますことは熱中症対策になりますが、冷たい物を日常的に食べる習慣は内臓を冷やし自律神経を乱す原因につながり、汗腺を鈍らせることもあるそうです。
<ダメ習慣(2)1日の水分補給の回数が少ない>
水分は1度に多く摂取しても尿として排出されてしまいます。そのため、小まめな水分補給を行わないと体内の水分量が減り、汗をかきにくくなる原因につながるのだとか。先生によると、1時間に1回ほどの水分補給を行うと良いそうです。
カンタンで効果抜群!3つの「ラグササイズ」
<ラグササイズとは?>
日本有数の暑い街・熊谷市で熱中症予防のために誕生したのが、ラグビーとエクササイズを掛け合わせた「ラグササイズ」。ラグササイズは、環境省後援の熱中症予防活動を表彰する「ひと涼みアワード」で最優秀賞を受賞した汗活法です。
<ラグササイズ(1)パスモーション>
▼後ろにパスするイメージで腰を左右にひねる
(腰を左右にひねる時は、腕の曲げ伸ばしも一緒に行う)
▼上記を30秒間行う
※周囲に注意しながら無理のない範囲で行いましょう
≪ポイント≫
ラグビーのパスの動きを取り入れているため、腰をひねるだけでなく腕の曲げ伸ばし運動も加わるのが特徴。お腹周り・腕・肩など様々な筋肉が同時に刺激され代謝アップにつながるそうです。
<ラグササイズ(2)ラインアウトリフト>
▼スクワットのような膝の曲げ伸ばしに合わせて腕も一緒に伸ばす
▼上記を30秒間行う
※周囲に注意しながら無理のない範囲で行いましょう
≪ポイント≫
スクワットは太ももの筋肉を刺激し効率よく汗がかける運動ですが、その分負担が大きいのが難点。その点ラインアウトリフトなら、腕の振り上げ動作により勢いがつき、高齢者でも無理なくスクワットができるそうです。
<ラグササイズ(3)ラインアウトスロー>
▼ボールを投げ入れる動作をしながらつま先立ちになりふくらはぎの筋肉を動かす
▼上記を30秒間行う
※周囲に注意しながら無理のない範囲で行いましょう
≪ポイント≫
身体をそらせることで腹筋や背筋のトレーニングになるだけでなく、ふくらはぎの曲げ伸ばしによるポンプ作用で全身の血流量がアップするそうです。
<ラグササイズをきっかけに運動を習慣にしましょう>
先生によると、ラグササイズは全身の筋肉を使っているので良い汗活法とのこと。ラグササイズをきっかけに全身運動をする習慣をつけていくと良いそうです。ただし、真夏の汗活は熱中症のリスクが上がるため、本格的に暑くなる前までの期間に留めましょう。
(2025年6月8日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)
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