竜のホームランウイングで目撃!頭上を通過するサノーの来日初本塁打に歓喜
それは別世界の体験だった。バンテリンドームに今季お目見えしたホームランウイング。チケット抽選に当たった竜党仲間からお誘いがあり、本拠地での開幕ゲームを“新たな視線”で観戦する機会を得た。(敬称略)
ホームランウイングとは?

ドラゴンズ球団創設90周年という記念イヤー、2026年(令和8年)シーズンから、バンテリンドームに新設されたホームランウイング。本塁から外野フェンスまでの距離も、最大で116メートルから110メートルへ6メートル縮まり、フェンスの高さも1.2メートル低くなった。ホームランの数が増えることは、すでにオープン戦で実証済みである。ライト側とレフト側、それぞれに128席ずつあり、グラウンド目線で野球を楽しむことができる。
ウイングへの道は長い?

この日はレフト側の「東邦ガス 未来のまんなかホームランウイング」での観戦だった。席へたどり着くまでのルートも初体験だった。いつも内野席などに入場する2階フロアの通路に、ホームランウイング用の入場口があった。係員からチケットのチェックを受けた後、階段を下りる。そして、通路を前へ進む。

そこを抜けるとドーム内の天井が見えた。今度は、両側にまるで“絶壁”のようなフェンスがある狭い通路を歩く。壁には、ドラゴンズ歴代名選手のパネル写真が飾られていた。最後に、ウイング席への短い階段を上り終えると、目の前に新しいシートが現れた。なかなか長い“旅路”だった。
快適なシートに感激

驚いたのは、観客席の充実ぶりである。それぞれの席には目の前にテーブルがある。飲食するにはとても便利だ。座ってみると、シートのクッションは柔らかく、長時間の観戦でも疲れないだろう。さらに席の前後の空間には余裕があり、トイレに立つ際もいちいち横の人に立ってもらわなくても通ることができる。これはありがたい。
ここでようやく、グランドへ視線を向ける余裕ができた。1997年(平成9年)の開場以来、このドームのほとんどの席を利用してきたが、外野の低い位置からの眺めは初めてである。新鮮だ。
すぐ目の前に細川がいる!

本拠地開幕戦のセレモニーが始まった。90周年を記念して、過去9度のリーグ優勝と2度の日本一、栄光の歴史映像が大型ビジョンに映し出された。次々と登場する思い出の選手たちのプレー、それを見ていてなぜか涙腺が緩んできた。強き竜に、早く復活してほしい。

ゲームが始まっての第一印象は、外野手がすぐ目の前に立っていることだった。声をかければ振り向いてくれそうな距離であり、かつて、外野席から声援やヤジが飛び交ったナゴヤ球場の記憶が蘇った。ドラゴンズの細川成也も、相手の讀賣ジャイアンツのトレイ・キャベッジも、その大きな背中を目の当たりにできた。また、スタンドの声援が、真上から降ってくる。これも初めての体験だった。
頭上を通過したホームラン

感動は2回裏に訪れた。ドラゴンズ、今季の初ホームランは3月最終日のこの日、新しい助っ人、ミゲル・サノーによるものだった。開幕3連戦でノーヒットだったサノーだが、打った瞬間にホームランだと分かったボールは、我々のホームランウイングを越えて、レフトスタンドに飛び込んだ。
頭上を通過するホームランの打球。「ボールの縫い目が見えた」とは言わないまでも、まるで夢のような感覚だった。ホームランウイングには、打球を自分の手で取ろうとグラブ持参の観客も多かったが、残念がる以上に、新大砲の来日初ホームランに歓喜だった。
ゲームは残念な結果・・・
さて、この夜のゲームである。先発は2年目の金丸夢斗。抜群の立ち上がりで、5回までジャイアンツ打線を無失点に封じ込めた。試合後には、金丸とサノーのお立ち台姿を見ることができると思い描いた夢は、9回表、代打・丸佳浩の逆転3点2ベースで雲散霧消した。
本塁憤死によって追加点が取れなかったこと、終盤の代走のタイミング、投手リレーの順番、フォアボールの多さ、そして外野守備の拙さなど、井上竜の敗因はいろいろ挙げられるが、開幕4連敗は紛れもない現実である。同じく開幕3連敗だった北海道日本ハムファイターズが、ノーヒットノーランという派手なゲームで連敗をストップしたニュースが、とにかく羨ましい。
本拠地のホームランウイングは、これから新しい竜の歴史を刻んでいく。数々の名場面が生まれることだろう。そのためにも、開幕早々に背負った“借金”を、チーム一丸となって早期返済してほしい。
【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)ほか。











