開幕スタメン遊撃手の座は誰に?井上ドラゴンズ最大のテーマいよいよ決着へ
ペナントレースの開幕が迫ってきた。4位からの逆襲をめざす2年目の井上ドラゴンズにとって、とても重要なポジション、それがショートである。開幕戦でベンチから二遊間に真っ先に走る選手は誰になるのだろうか?(敬称略)
決まらない遊撃手
沖縄での春季キャンプが始まった時も、そして打ち上げの時も、この選手だと決まっていなかったポジション。それがショート(遊撃手)である。実は、2026年(令和8年)シーズンだけではない。井上一樹監督が初めてチームを率いた昨季も、さらに前任の立浪和義監督時代も、レギュラーが決まっていない。実に悩ましく、難しいポジション。それが竜のショートストップである。
球団史の名ショートたち
球団創設90周年を迎えたドラゴンズには、過去に名ショートと言われた選手が数多(あまた)いた。初の日本一に輝いた1954年(昭和29年)には、エース杉下茂のバックを牧野茂が守った。その後、セカンドの名手、高木守道(※「高」は「はしごだか」)と二遊間を組んだ一枝修平。それに続いたのが広瀬宰と正岡真二だった。
ドラゴンズ在籍期間のホームラン334本は今なお球団トップである宇野勝は大型の遊撃手。1984年(昭和59年)にはホームラン王にも輝いた。そして、星野仙一監督が、高卒ルーキーながら開幕スタメン「2番・ショート」で抜擢した立浪和義は、球団史を彩る名ショートだった。
京田のトレードに思う
そんな立浪だからこそ、ショートというポジションの重要性を理解し、監督就任からずっと「二遊間の確立」をテーマに掲げてきた。ドラフト会議では毎年のように、内野手を過剰なほど数多く獲得した。しかし、そんな立浪監督の下でも、レギュラーが固定されることがなかった。
思えば、立浪監督就任前のショートには京田陽太(現・横浜DeNAベイスターズ)がいた。トレードによってドラゴンズを去ったが、選手会長も務めていた京田がもしチームに残っていたら、ショート事情も変わっていたのではないかとも思う。
ただ、12球団を見ても、多くの球団が二遊間の構築に苦しんでいる。だからこそ、井上ドラゴンズは早めに、このポジションを落ち着かせたい。
辻本は元気に売り出し中

オープン戦が佳境に入った中、目立っているのは3年目の辻本倫太郎である。WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)を前にした日本代表との強化試合で、バンテリンドームに新設されたホームランウイングに打ち込んだホームランは強烈な印象を残した。その後もコンスタントに打ち続けている。井上監督をして「彼はベンチに置いておきたい」と口にさせた好調さだ。仙台大学野球部のキャプテンとしてチームを引っ張ってきただけに、ドラゴンズでも、そんなリーダーシップを発揮できるかどうか。
村松は“明治魂”見せるか

大学野球部のキャプテンと言えば、辻本の1期先輩である村松開人。こちらは東京六大学の明治大学でチームを率いた主将だ。しかし、プロ入りしての3年間、けがをしたこともあったが、今ひとつ脱皮できていない。春季キャンプも1軍で完走したが、バッティングにもまだ好不調の波が見られる。村松も4年目のシーズンを迎え、今季こそ活躍しなければ、1軍の立場すら危うくなっていくだろう。ドラゴンズに多くの先輩がいる“明治魂”の意地に注目したい。
山本は着々と準備中

忘れてならない存在は、山本泰寛である。昨シーズンの開幕戦は「2番・セカンド」でスタメン出場した。ショートを守る選手に決め手がない中、堅実な守備と勝負強いバッティングで、その後はショートを中心に、自己最多のシーズン112試合に出場した。今季も元気である。しかし、32歳の山本がスタメンで出続けるようでは、チームの活性化はできない。山本ほどの巧者が“バイプレーヤー”として控えにいてこそ、強いチームなのだ。
土田は打撃がポイント

土田龍空にも期待したい。もともと守備力には定評があったが、立浪監督1年目の2022年(令和4年)、監督の誕生日に放ったサヨナラヒットは強烈な印象だった。翌年から「龍空」と登録名を変えたが、なかなか空に飛び立てないでいる。昨季から再び「土田」と戻して心機一転を図っている。沖縄キャンプを手伝いに来ていた地元の大学野球部員のひとりが「打撃フォームを変えて、とても力強くなった。注目です」と話していた。早や6年目のシーズン、チャンスをつかめるか。
「群雄割拠」と言うには、どうも決め手に欠けてきた竜のショート争い。オープン戦で勝ち抜いて、開幕スタメンの座を勝ち取るのは誰なのか。まもなく決まるその選手が、2年目井上竜のカギを握ることになる。
【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)ほか。











