CBC web | 中部日本放送株式会社 / CBCテレビ / CBCラジオ

MENU

中学時代まさかの卓球部!現役引退を決めたドラゴンズ祖父江大輔投手を語ろう

中学時代まさかの卓球部!現役引退を決めたドラゴンズ祖父江大輔投手を語ろう
祖父江大輔投手(C)CBCテレビ

またひとり、竜の名物投手がドラゴンズブルーのユニホームを脱ぐ。祖父江大輔投手38歳。球団の生え抜きとしては5人目となる通算500試合を投げてきた右腕は、同僚にもファンにも愛された好漢だった。

関連リンク

【動画】祖父江投手「今までで一番しんどかったことは"朝倉コーチのノック"」!? 野球からプライベートまで徹底質問!【10分19秒~】

実は卓球部だった!

一度だけ祖父江投手に会ったことがある。シーズンオフの私服姿だった。マウンドでの鋭い眼光とはまったく違い、その目はとても優しい。野球帽をくるりと180度反転させて被った“明るい兄ちゃん”という印象だった。筆者は、祖父江投手と同じ名古屋市中川区の生まれで、出身中学校はどこだったかという話題になった。祖父江投手の口から出た中学校名が、わが卓球部時代のライバル校だったので、それを告げると「実はボクも卓球部でした」。世代は違うので、卓球の試合で対戦したことはないが、一気に親しみが増した。

打たれた場面ばかりが・・・

祖父江投手には申し訳ないのだが、マウンドでの思い出の姿は“打たれた”場面ばかりが浮かんでくる。真っ先に思い出すのは、2022年(令和4年)5月の東京ドームでの讀賣ジャイアンツ戦。先発の高橋宏斗投手(※「高」は「はしごだか」)が好投した後を受けてリリーフ登板したが、3点リードの7回裏に、現在は同僚である中田翔選手に、逆転満塁ホームランを浴びた。さらに、2024年(令和6年)東京ヤクルトスワローズ戦でも、ホセ・オスナ選手に満塁ホームランを打たれた。同じ年、元・同僚である横浜DeNAベイスターズの京田陽太選手にもホームランを許した。

500試合登板の金字塔

祖父江大輔投手(C)CBCテレビ

祖父江投手は、現役引退を発表するまでに509試合で投げてきた(成績は2025年9月7日現在)。通算で500試合に登板しているのは、ドラゴンズ生え抜きでは、星野仙一さん、鈴木孝政さん、山本昌さん、そして岩瀬仁紀さんに続く5人目、そうそうたる顔ぶれである。それだけの数の試合を投げているということは、それだけ“抑えている”ということの証しなのだ。打たれたシーンが印象に残っているということは、むしろそれが“珍しい”ということの裏返しなのだろう。

26歳で飛び込んだプロ野球

祖父江大輔投手(C)CBCテレビ

本人も「オールドルーキー」と口にしていたが、26歳で飛び込んだプロ野球の世界、12年間で、17勝、153ホールドと12セーブを挙げた。2020年(令和2年)には、最優秀中継ぎ投手のタイトルも手にしている。見事な選手生活だった。引退会見で、球団から来季は「構想外」と言われたことを明らかにした上で、「最後は中日(ドラゴンズ)で終わりたかった」と微笑んだ。その潔い姿に、竜党は心からの拍手を送る。

笑顔あふれた引退会見

(左から)大野雄大投手、祖父江大輔投手、柳裕也投手(C)CBCテレビ

その引退会見には、チームメートが花束を持って駆けつけた。最も仲の良いという大野雄大投手が自ら「本日の主役」と書かれたタスキをかけて、柳裕也投手から代わりに花束を受け取るという、会見場が大爆笑の演出もあった。そういうことが許される空気感、それこそが、祖父江投手がドラゴンズのチームの中で醸し出してきたものだった。いかに仲間から愛されているのか、瞬時に誰もが理解できる素敵な記者会見だった。もちろん、そこに涙はなかった。「目薬を忘れた」と笑う祖父江投手がそこにいた。

クライマックスシリーズを知らない

残念なのは、祖父江投手が入団した2014年(平成26年)からここまで、ドラゴンズは一度もクライマックスシリーズに出場していないことだ。日本シリーズにまで続くポストシーズンを経験できなかったことは、祖父江投手にとっても悔いが残っているはずだ。その気持ちに報いるためにも、ドラゴンズは残り18試合を、必死に戦わなければいけない。残された時間はわずかである。

祖父江投手がここまで登板した509試合、実はすべて中継ぎである。熾烈なクライマックスシリーズ出場をかけた戦いも佳境だが、もし状況が許すならば、生涯最初で最後の先発マウンドを、登場曲『宙船』と共に観てみたい。井上一樹監督、いかがでしょうか?
                          
  
【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

この記事の画像を見る

オススメ関連コンテンツ

PAGE TOP