CBCラジオ「若狭敬一のスポ音」に1通のお便りが届いた。「他球団にはフェイスガード付きヘルメットを被った選手が多くいますが、ドラゴンズにはいません。なぜですか?」早速、取材を開始した。まずはリードオフマンから。京田陽太の回答は気持ち良いくらい淡白だった。「全く興味ないです。今後、付けるつもりもありません」実に潔い。次に直撃したのは堂上直倫。彼の意見に妙に納得した。「あれは強打者の証。ホームランバッターが似合う物。僕はキャラクターが違うので」なるほど。確かに外国人や長距離砲が多い。笑顔で汗をぬぐう堂上の横を福田永将が通った。「サンデードラゴンズ」に出演する福田永将選手(C)CBCテレビ「付けないです。元々ヘルメットがあまり合ってないんです。僕の頭は大きい上に四角。4つの点で支えている感じ。だから、空間もあってグラグラするんです。そこへフェイスガードを付けたら、重くなってもっと動いちゃう」笑いをこらえてしまった。申し訳ない。平田良介も予定なしだと言う。「今まで野球をしてきて、あごにボールを受けたことがないので、必要性を感じません」高橋周平も同様だった。「意味があれば付けるでしょうけど、別に」ソイロ・アルモンテにも尋ねた。中日ソイロ・アルモンテ選手(C)CBCテレビ「私は顔や頭への投球を深刻に考えたことがありません。ドミニカでも付けたことはありません。何より、ひげが隠れてしまう。トレードマークは見せておかないとね」ごもっとも。一瞬、穏やかな空気が流れた。では、ダヤン・ビシエドどうか。「怪我の防止になるとは思いますが、私は付けるつもりはありません。ただ」次の言葉が気になった。「チームが義務付ければ、従います」義務。かつて落合博満監督は各打者に自打球から足を守るためにレガース装着を命じた。今年、巨人の原辰徳監督は投手が打席に入る時にはフェイスガード付きヘルメットを着用するよう指示している。中日に義務化の流れはあるのか。村上隆行打撃コーチに問うた。デッドボールをよける練習「ありません。どちらかと言えば、よける練習をした方が良い。軸足に体重を残して球を見極めるステイバックにも繋がります。フェイスガードを付けてどんなボールも前のめりに打ちに行くと、打撃そのものを崩す危険性さえあります」実際、村上コーチは現役時代にデッドボールをよける練習をしたと言う。「ティーバッティングで時々頭に投げて、それをよけるんです。ティーはだんだん気持ち良くなって何も考えずに打ってしまう。集中力を切らさないためにも、投球から頭を守るためにも効果ありです」調査も終わりに近付いた頃、意外な選手が前向きな発言をした。「僕は去年のシーズン終盤から付けようと思っていました。逆にボールが見やすいと聞いたからです」大島洋平だ。しかし、今、その話はストップしている。「あれは自分で取り寄せて、自分で業者にお願いして付けてもらわないといけないし、規格外になるそうです。すると、補償適用外になるとか、ならないとか」プロは自己責任調べを進めると、フェイスガードの正式名称は「C-FLAP(シーフラップ)」と呼ばれるアメリカ製の防具。それを取り寄せ、耳あて部分に穴をあけ、ネジで固定する。つまり、既存のヘルメットを改造するのだ。ヘルメットは各球団がメーカーから購入しており、安全性を認証するSGマークが付いている。しかし、穴をあけた時点でSG基準を外れる。ここまでは大島の認識通り。ただ、補償については違っていた。メーカー担当者に聞いた。「SGマーク付きのヘルメットを被っていて、事故が起きた場合、そのヘルメットの欠陥と事故に関係性が認められれば、メーカー側は損害賠償を請求されます。ただ、それはアマチュアの世界の話なんです。プロ野球はそもそも損害賠償の適用外。補償はありません」さらに続けた。「石垣(雅海)君が沖縄キャンプで試しました。今のところ、中日では彼だけです」その石垣に聞いた。「僕は頭へのデッドボールを3回経験しているので、付けました。最初は少し視野が気になりましたが、もう大丈夫です。やはり安心感がありますね」現状、フェイスガード支持派はごくわずかであり、今後も増えそうにない。一方、改めて浮き彫りになったのが「プロは自己責任」という現実。もちろん、メーカーは安全性の高い製品を提供する。それを改造するもしないも選手次第。また、改造してもしなくても補償はない。18.44m。その空間に「生まれる興奮」と「潜む危険」。男たちはタフな仕事を続けている。【CBCアナウンサー若狭敬一CBCテレビ「サンデードラゴンズ(毎週日曜午後0時54分放送)」、CBCテレビ「スポーツLIVEHighFIVE!!(毎週日曜午後1時24分放送)」、CBCラジオ「若狭敬一のスポ音(毎週土曜午後0時20分放送)」、CBCラジオ「ドラ魂キング」(毎週金曜午後6時放送)ほか、テレビやラジオのスポーツ中継などを担当】