この春急増の証券口座乗っ取り。現状は?

この春、証券口座を乗っ取られ不正に株取引される被害が急増していると話題になり、5月3日放送『北野誠のズバリサタデー』(CBCラジオ)でも、その手口や巨大な被害額について報じました。最近このニュースを聞かなくなりましたが、現在はどうなっているのでしょうか?そこで、9月8日放送の『北野誠のズバリ』(CBCラジオ)では、「証券口座が乗っ取られる被害は少なくなっているのか?」という疑問に対し、小宇佐・針田(こうさ・はりた)FP事務所のファイナンシャルプランナー・伊藤勝啓さんが回答しました。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く被害額は半年だけで5700億!
被害額は金融庁が報告を受けている分だけでも、2025年1月から6月までの間で不正な取引は7,139件、5,710億円にものぼり、日本の株式市場全体を揺るがすレベルになりました。
典型的な手口はフィッシングで、証券会社を騙ったメールから偽サイトにアクセスさせ、そこで入力したIDとパスワードを盗み出すというもの。
乗っ取られた後は勝手に株を売却され、それで得た資金を元に特定の銘柄を大量に購入し、株価が釣り上げます。
そこであらかじめ買っておいた同じ銘柄の株を一気に売り抜けて利益を得るというわけです。
これは相場操縦型の詐欺と呼ばれ、短時間で数十億円の被害が出てしまうこともあります。
被害が減ってきている理由
ただ、このニュースも4~5月をピークに、最近はあまり聞かなくなりましたが、実際に被害は減っているのでしょうか?
金融庁の要請で証券会社が2段階認証を強化したり、モニタリングを強化した結果、被害の伸びは鈍化してきているそうです。
証券口座を持たれている方は、ここ数か月の間に「2段階認証の設定を行ってください。何月何日までに設定しなければ取引を制限します」との連絡があったのではないでしょうか。
一方、ウェルスナビ株式会社が行なった調査によりますと、証券口座の不正利用を不安に思う人は84.7%とかなり高いものの、実際にセキュリティ強化の行動に移した人は半数以下といわれています。
具体的には多要素認証を設定した人が約49%、何もしていない人が21.5%。
伊藤さんは「怖いと思っているものの動いていないというギャップが浮き彫りになっている」とまとめました。
被害を防ぐためには
対策により被害は減っているものの、利用者は「行政や証券会社が対応してくれるだろう」とは考えず、セキュリティ対策を自分も意識することが大事です。
最も簡単な対策は、証券会社からメールが来ても安易に本文のURLをクリックせず、いつもブックマークなどに設定している証券会社の公式サイトからログインすること。
その他にはスマホの認証アプリを併用すると、証券会社のサイトのIDとパスワードが万が一漏れても、他の人はログインすることはできません。
また、パスワードを複雑にして定期的に変えるのも大事ですが、忘れるからといってそれを付箋に書いてスマホに貼っていては意味がありません。
そして、取引履歴をこまめにチェックして、自分が取引した覚えのない記録がないか確認するのも大事です。
パソコンやスマホのOS更新やセキュリティパッチの最新化もお忘れなく。
(岡本)
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