離婚後に必要な年金の分割手続き。「合意分割」と「3号分割」って何?

離婚すると今の生活はもちろん、老後の生活は大丈夫なのかと気になる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は年金は分割して受給されるということはご存知でしょうか?ただしさまざまな条件があるため、注意が必要です。8月25日放送『北野誠のズバリ』(CBCラジオ)では、小宇佐・針田(こうさ・はりた)FP事務所のファイナンシャルプランナー、針田真吾さんが離婚の年金分割について解説しました。
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離婚に関する年金の分割とはそもそも何なのか、針田さんが解説しました。
これは婚姻期間中に関する厚生年金の記録を離婚する際に分割するという制度です。
公務員や会社員の年金はよく「2階建て」といわれますが、1階部分は国民年金などすべての人が入っている基礎年金部分ですので、2階部分が分割の対象となります。
人によってはさらに企業年金や確定拠出年金、個人年金に入っているケースもありますが、これは分割の対象にはならず、離婚時の財産分与で分けるものです。
令和5年の厚労省調査によれば、離婚した組数は18万3千808組ですが、そのうち年金分割をしたのは3万2千642組とわずか18%ほど。
若くして離婚をする人も含まれている数字ではありますが、意外と少ないようです。
合意分割と3号分割
年金の分割には2種類あり、「合意分割」と呼ばれるものが66%ほどで、残り34%程度の人が選んでいるのが「3号分割」。
「合意分割」はお互いが合意していようが、調停訴訟など裁判所を通じて分割していようが同じです。
一方の「3号分割」とは、会社員などの扶養に入っている「第3号被保険者」である人が利用できる制度で、こちらは自分ひとりで手続きができ、強制的に2分の1を対象にできる制度です。
なお、3号分割は平成20年4月1日以降の婚姻期間中の記録しか対象にならないため、いくら長く結婚していても17年ほどの分しか計算されない点に注意が必要です。
2年の時効に要注意!
年金を分割すると、離婚しない場合と比べてどれぐらい年金額に変動があるのでしょうか?
合意分割であれば年間で37~39万円、3号分割だと8~9万円ぐらいと、かなり少なくなるようです。
これは厚生年金の部分だけが分割対象になるということ、そして3号分割では前述のように計算期間が短いことが原因。
そのため、婚姻期間が長い方は3号分割よりも調停審判を通じて合意分割にしたほうが良いとのことです。
もし夫側が合意分割を拒否すると、どうなるのでしょうか?
最終的には裁判所が出てきて2分の1に決まるのですが、年金分割は離婚の翌日から2年以内に年金事務所で手続きをしなければ時効となります。
また、離婚後に再婚したとしても過去の年金分割の権利が消滅するわけではありません。
手続きは年金事務所で行なうことになりますが、合意できない場合は家庭裁判所で争うことになります。
(岡本)
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