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侍ジャパンとの“戦(いくさ)”で見えた!立浪ドラゴンズ2023開幕オーダーの姿

侍ジャパンとの“戦(いくさ)”で見えた!立浪ドラゴンズ2023開幕オーダーの姿
「サンデードラゴンズ」より立浪和義監督(C)CBCテレビ

春の名古屋が熱狂に包まれた。WBC開幕を前にした壮行試合のために、日本代表チーム「侍ジャパン」が上陸。地元スポーツ紙ですら、連日1面トップは中日ドラゴンズではなく、大谷翔平投手やダルビッシュ有投手ら国際的なスター選手が占める。しかし、「日の丸もいいけれど、ドラゴンズブルーも大切」と2年目を迎える立浪ドラゴンズの戦いへ、竜党の目はペナントレース開幕を見据える。

開幕投手決まる!小笠原慎之介

「サンデードラゴンズ」より小笠原慎之介投手(C)CBCテレビ

この時期に最も注目されるのは、開幕投手である。ドラゴンズでは、大野雄大、柳裕也、小笠原慎之介、髙橋宏斗、そして松葉貴大の5人の投手が名乗りを挙げていた。そんな中から、今回の侍ジャパンとの試合で好投によって、8年目のシーズンを迎える小笠原投手が飛び出した。立浪和義監督によって、正式に開幕投手を伝えられた。

3月3日、先発での投球は素晴らしい内容だった。マウンドに立った時から醸し出す空気が違っていた。それは2022年シーズン途中から、芽生えた“自覚”と“自信”だろうか。日本代表相手に、まったく臆することもなく、むしろ見下ろしていた感もあった。先頭の山田哲人選手、2番の近藤健介選手を連続三振に取り、完全に波に乗った。予定されていた5回を3安打1失点に抑えて、ベンチに戻る時の笑顔、いつもの無邪気な表情に戻っていたが、堂々たる“開幕投手”ぶりだった。自身2度目の大役に挑む。

ルーキー田中のスピードに酔う

沖縄での春季キャンプを前に、「2」「4」「20」の数字に注目していた。それらは、すべて背番号ではなく、「2」は「セカンド(2塁手)に誰が入るか?」、「4」は「課題の打線の中で4番には誰が入るか?」、そんな理由だった。背番号ではないつもりだったのだが、侍ジャパンとの試合によって、「2」という数字は、ポジションと共に、背番号にも合致し始めた。ルーキー田中幹也選手である。ドラフト6位ながら、背番号「2」を背負う。期待の表れだ。

立浪監督自らが大学時代のプレーを評価しての指名だったが、沖縄でのキャンプを1軍で完走した。グラウンドでの動きはとにかくキレがいい。守備そして走塁、そこには目を見張るスピードがある。課題と言われていたバッティングも、力強く的確であり、3月3日の試合では、2安打に2盗塁と、日本代表相手に暴れまくった。どうやら開幕スタメン最有力である。もっとも、ドラフト2位で同じセカンドを守る村松開人選手も手をこまねいてはいないだろう。開幕に向けて目が離せない。

アキーノに期待する新4番の座

「サンデードラゴンズ」よりアリスティデス・アキーノ選手(C)CBCテレビ

もうひとつの数字「4」、これも収穫があった。新しく加わったアリスティデス・アキーノ選手である。4番のダヤン・ビシエド選手に続く5番に座ったが、2試合共にホームランを放った。それも、打った瞬間にそれと分かる力強い当たりであった。これでアキーノ選手は、対外試合で3試合連続のホームランとなった。

ホームラン数62本と、リーグでも圧倒的な最下位だった2022年シーズン。東京ヤクルトスワローズの村上宗隆選手が56本塁打だから、ドラゴンズというチーム全体で、村上選手ほぼ1人分というホームラン数の少なさは悲しい。ホームランはゲームに刺激を与え、花を添える。そして、それを打つことが4番の仕事である。アキーノ選手がこのまま打ち続ければ、その先にはファンも待望の新「4番」の座が待っている。

エース背番号へファンの憧憬

残る数字「20」だけは背番号である。本拠地のマウンドに、ドラゴンズのエースナンバー「20」が久しぶりに帰ってきた。東北楽天ゴールデンイーグルスから移籍してきた涌井秀章投手。ドラゴンズファンにとって、その背番号を目の当たりにすることは何とも言えない喜びがある。

わすか1イニングだけの登板だったが、移籍後の初マウンドは無失点の上々の出来だった。沖縄の北谷キャンプでの1軍ブルペンでも、その投球練習には1球1球に意味が込められていたように感じた。そんな涌井投手には、開幕ローテーションが待っている。数字の「2」「4」そして「20」が、開幕に向けて力強く動き出した。

最年少“侍”髙橋宏斗も躍動

「サンデードラゴンズ」より髙橋宏斗投手(C)CBCテレビ

侍ジャパンとの戦いで忘れてはいけないのが、ドラゴンズから唯一、代表チームに選ばれた髙橋宏斗投手である。3月4日に3人目として登板し、同僚を相手に圧巻の投球を見せた。2イニングを投げて、4者連続三振など無失点。本拠地バンテリンドームでは自己最速となる157キロも記録した。ドラゴンズの選手が抑えられるのはどんな時でもつらいのだが、相手が髙橋投手ならば、まったく問題なし。むしろ、頼もしい限りである。WBCが終われば、竜のマウンドに立つのだから。

最下位からの逆襲をめざす立浪ドラゴンズ。侍ジャパンとの対戦成績は1勝1敗だったが、名古屋の、そして全国の竜党にとって、開幕への明るい希望と手応えを感じた2日間の壮行試合だった。日本代表にはWBCでの世界一を、そしてドラゴンズにはリーグ優勝と日本一を、そんな夢につい勢いよく浸ってしまった。                            

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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