北海道斜里町の町立図書館が中高生の居場所づくりとして始めた掲示板「YAコミュ板」が話題を呼んでいます。中高生の来館増加につながり、今年3月には書籍化もされました。12月1日放送の『CBCラジオ#プラス!』では、斜里町立図書館館長の松井卓哉さんに、この取り組みについて詳しく伺いました。匿名だから言えることがある斜里町は北海道の道東地方、網走の近辺に位置する人口約1万人の町。そんな斜里の町立図書館には、中高生のための交流掲示板「YAコミュ板」があります。「YA」とは「ヤングアダルト」の略で、こどもから大人への転換期にあたる中高生世代を指します。仕組みはシンプルで、専用の用紙に学年・ニックネームと質問を書いて専用ポストに投函すると、図書館職員が回答して掲示板に貼り出すというもの。質問する中高生も回答する職員も、名前を明かさない形式です。松井さん「名前が分からないもの同士だから言えることがあるのかなと思って、そうしています」この取り組みは2023年7月にスタート。2年あまりで800通以上のやり取りが掲示板に貼り出され、今年3月に『図書館のゆるゆる人生質問箱』というタイトルで書籍化されました。恋愛相談から雑談まで寄せられる質問は本に関することだけではありません。学校の人間関係、恋愛相談、勉強に関すること、雑談まで、実に様々な内容が毎日投稿されています。恋愛相談では「どうしたら彼女ができますか」「好きな人を振り向かせるにはどうしたらいい」といった質問も届きます。回答は複数の職員で担当しており、質問の熱量に合わせることを意識しているそうです。松井さん「軽い質問には軽く答えるし、しっかりした悩みにはしっかり返すというイメージでしょうか」きっかけは岐阜の図書館この取り組みを始めたきっかけは、隣接する中学校からの利用が少ないという課題でした。職員で中高生の来館を増やすアイデアを出し合う中、岐阜中央図書館がある「みんなの森ぎふメディアコスモス」で同様の掲示板が行われているという話を、当時総合プロデューサーを務めていた吉成信夫さんから聞く機会がありました。「うちも面白いな、やってみようか」というのが最初のきっかけだったといいます。岐阜市では軌道に乗るまで2、3ヶ月かかったと聞いていました。斜里町は人口約1万人、中高生は250人程度しかいません。松井さんは「正直、そんなに来ないかなと思った」と振り返ります。それでも、始めてみると投稿は増えていきました。今の若い人はSNSでのやり取りが当たり前。紙に書いて、顔の見えない相手からきちんと返事をもらうという体験は珍しいことです。松井さん「手書きでやり取りをするという温かさが、逆に中高生には新鮮だったのかもしれないですね」全国に届けたい思いこの取り組みが書籍化され、全国の人々に共有できたことを松井さんは心から嬉しく思っているといいます。松井さん「学校ではひとつの質問にひとつの答えと教わることが多いけれど、社会に出ると答えが複数あることや、答えがないこともたくさんあると思うんですよね」図書館にはいろいろな本があり、いろいろな知識に触れられる。答えがひとつではない社会の中で、こどもたちが楽しく生きていける力をつけてほしいという願いがあるそうです。中高生の思いに寄り添う掲示板は、これからも続いていきます。(minto)