別れた恋人から返金要求!デート代は返さないといけない?

身近な疑問・質問・お悩みを解決する『北野誠のズバリ』(CBCラジオ)の「ズバリ法律相談室」のコーナー。9月10日の放送では、「別れを告げたら尽くした分のお金を返せと言ってきた。返さないといけないの?」という相談が寄せられました。恋人同士の別れ話でデート代の返還を求められたケースについて、オリンピア法律事務所の原武之弁護士が回答しました。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く優しかった彼氏が一変
リスナーAさんから寄せられたのは、友人の恋愛トラブルについての相談です。
最初は優しかったという彼氏。車で1時間の距離を「俺が埋めるから気にしないで」と言ってマメに会いに来てくれ、デート代もすべて負担してくれたそうです。
しかし、彼女が腰痛で通っているマッサージの先生が男性だからとやきもちを焼いたり、友だちとの予定を入れると態度が激変するようになったのです。
「『こんなに尽くしているのに何も返さないくせに自己中心的すぎる。常識も思いやりもない。とても傷つく。反省して』とモラハラ的な発言で責め立てることが何度もあり、心が折れて別れを告げたといいます」(Aさん)
驚愕の返金要求
すると彼氏は驚くような要求をしてきました。「今までしてきたことが無駄になるから責任を取って」と要求し、同じように旅行に連れて行くか、全部計算してお金で返さないと別れないとLINEを送ってきたのです。
さらに深刻なのは、彼女の自宅にも予告なく来て、留守だと郵便受けに置き手紙を入れて行ったりすることです。
「ストーカーに発展しないか心配です」(Aさん)
デート代返還の義務は?
モラハラ的な発言について、原弁護士は慰謝料請求の可能性はあるものの、メールやLINEの内容、録音などの証拠を相当積み重ねる必要があると説明します。
一方、「別れるなら今までの分のお金を返せ」という要求については明確に否定しました。原弁護士によると、このようなトラブルは毎年数件はあるそうです。
付き合っている時のデート代やプレゼントは「贈与」として扱われます。借用書を書いていれば別ですが、今回はそういった証拠もありません。
「お金のことを気にしなくていいよ」という彼氏の発言は、ひとつの事情にすぎないといいます。
高額な出費は争点になることも
こういったケースで、実際に訴える人もいるそうです。
原弁護士「請求する側もあれば、請求される側もあります。別に特に珍しいとは思わないぐらいよくあります」
女性側から依頼を受けた場合は、「もらったので返せない」という贈与の主張をするそうです。
しかし裁判所は贈与の範囲について判断基準を持っています。飲食代や交通費程度であれば贈与として認められやすいものの、海外旅行費用など高額な出費については「本当に贈与なのか」が争点になることも。
デート以外の費用まで負担するのは普通のカップルではあることなのかという観点から、贈与ではないという主張が通ることもあるそうです。
法的には贈与として認められやすいものの、禍根を残すと紛争が続いてしまうため、一部返還による早期解決を図ることが多いといいます。
話し合う場合は第三者を入れて
この相談で特に危険なのは、男性のストーカー化です。原弁護士は、男性が自宅まで来ている状況から相当な未練があると判断し、話し合いをする際は必ず第三者を介すべきだと助言しました。
弁護士などの第三者から「ストーカー行為に該当する」と指摘されない限り、男性側は自分の行動を正当化してしまう可能性があります。また、本人同士で会うと興奮状態になりやすいという問題もあります。
原弁護士は、安全を最優先にした対応が必要だと強く勧めました。
(minto)
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