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これは朗報なのか?就職氷河期世代の教員を積極採用へ

これは朗報なのか?就職氷河期世代の教員を積極採用へ

文部科学省はバブル経済崩壊後のいわゆる「就職氷河期世代」で、公立学校の教員になれなかった社会人の採用を促進する取り組みを行なうことにしました。6月25日放送のCBCラジオ『つボイノリオの聞けば聞くほど』には、まさに「私のことだ!」というリスナーから投稿が。一見朗報かと思いきや、蓋を開けてみれば意外とそうでもない事情がさまざまあるようです。つボイノリオと小高直子アナウンサーが多角的な視点からこの話題を紐解いています。

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いまさら新人?

これは政府による氷河期世代の支援強化に向けた取り組みの一環で、深刻化する教員のなり手不足対策にもつなげたい考えのようです。

「就職氷河期で教員になれなかった、これはまさに私のことです。当時の倍率は25倍。
いまさら遅いぞ!いまごろ教員に採用してくれたって、同年代は教頭や校長になっています。かたや教頭校長、かたや初心者の研修の先生。本当に計画性がなさすぎますよ!」(Aさん)

つボイ「そこでヒラになって『すみません、校長先生』とか言うのも、同じ歳だし嫌ですよね」

氷河期世代は現在40~50歳代。これまで社会人として勤めあげてきたプライドもある中、同世代の下につくのは少々複雑です。他にはこんな投稿も。

「なんかいまさらながらと思いますが、都合が良すぎますね」(Bさん)

「あの頃はダメだったけど今ならいいよ」と言われても、手放しで喜べるほど単純な問題ではなさそうです。

キャリアを捨ててまで?

つボイ「教職員は不足しているんでしょうか?」

文科省の調査によると、2024年度の採用倍率は小学校で2.2倍、中学校で4倍と、いずれも過去最低に落ち込んでいる状況です。

小高「そことのマッチングの意味合いもあるんでしょうけど、いざ飛び込んでも、もう周囲とのキャリアが全然違う」

Aさんのように氷河期時代に先生を目指していても叶わなかった人は、実際に少なくないのでしょう。そのことをいまだに悔いている人も、もしかしたらいるかもしれません。

小高「とはいえ、ここまで働いてきたキャリアはそれぞれ皆さん持っているので、それを置いてでも教師になりたいという情熱のある人が果たしてどれほどいるのか、という問題はありますよね」

40、50代から一念発起して新たな世界に飛び込むのはなかなか勇気が必要です。

キャリアを生かして

思った以上に障壁が多そうな氷河期世代の教員採用ですが、それまでのキャリアが功を奏す場合もあるのでは、と考えたつボイ。

つボイ「例えば、今の職場でバリバリ働いていてAIとかパソコンとか使ってたとしたら、今は授業でもそういうの使いますからね」

心機一転教員になったとしても、それまでの社会人経験が強みになることもあるかもしれません。

小高「もちろん、自分の今までのスキルが夢だった教師になった時にも生かせるのであれば、やりたい人はいるでしょうし、そういう人たちに向けてはすごく朗報だと思います」

ただどうしても現実的には、いまさら…と感じてしまう人たちの方が多い現状が窺えます。

少子化問題は?

そしてつボイにはもうひとつ懸念点がありました。

つボイ「教員が不足しているのは現状そうなんでしょうけど、でも今って少子化とかで学校の統廃合も行なわれていますよね」

現段階では不足しているとされる教員ですが、ではその次の段階はどうなる?という所に思い至ります。氷河期を中心に積極採用したは良いけれど今度は少子化で学校が減り、かえって教員があふれてしまうなんて状況になることも考えられます。

小高「今後はこどもが減っていくだろうし、今は教員が少なくても我慢すればいいんじゃない?というと、じゃあいま教育を受けているこどもたちの環境は無視されるのか、という話にもなってしまいますからね」

今回の「氷河期世代の教員積極採用」は、それらの兼ね合いやバランスの均衡をとるのが非常に難しい中でのひとつの方法ではありますが、はたして功を奏すのでしょうか?
(吉村)
 

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