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工藤新監督が語った強き“言葉の力”、竜党として読み解く7つのメッセージ

工藤新監督が語った強き“言葉の力”、竜党として読み解く7つのメッセージ
工藤公康新監督(C)CBCテレビ

次々と発せられる言葉たちに魅了された。中日ドラゴンズの新監督に就任した工藤公康さんが、記者会見で、そしてナゴヤ球場で選手たちを前にして、語った言葉の中から、ドラゴンズファンの心に刺さった7つのメッセージを読み解いてみる。(敬称略)

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「私は名古屋出身、一番に名古屋のファンの皆様に喜んでもらえるような野球をする」

工藤公康新監督(C)CBCテレビ

正直驚いた。2026年(令和8年)10月15日、名古屋市内のホテルで就任記者会見に臨んだ工藤新監督は、冒頭の挨拶で度々「名古屋」という言葉を口にした。ドラゴンズの本拠地、名古屋市の出身ではある。しかし、プロに入ってからそんな“地元色”はなかった印象だった。リップサービスなのかもしれない。それでも竜党としては素直に嬉しかった。「お帰りなさい!」と言いたくなった。

「当たり前を、当たり前にできるかどうか」

工藤公康新監督(C)CBCテレビ

工藤監督が来季から率いるチームは弱い。過去5年間で4度も最下位である。クライマックスシリーズからは14年も、リーグ優勝からは15年も、遠ざかっている。記者会見で「強いチームの共通点」として、工藤監督が語ったのが、この言葉だった。「当たり前のことを、当たり前にできるかどうか」。まさに40回もの逆転負けがあった今季のドラゴンズの現状を射抜いている。工藤監督はこうも語った。「足りないものは身につけてもらうしかない」。まさにその通りなのである。

「24時間365日、選手のことを考え、選手のことを思い、勝つために何をすればいいかをしっかり考えていきたい」

工藤公康新監督(C)CBCテレビ

工藤監督は、こう抱負を述べた。また「自分が死力を尽くす」とも決意を語った。しかし、この言葉は、背景に重い意味を持っている。それ自体は監督本人の抱負でもあるのだが、返す刀で選手たちに向けられている。「24時間365日、野球のことを考えろ」という指示なのだ。かつて、星野仙一さんが39歳でドラゴンズの監督に就任した時、選手たちへのメッセージを問われ「覚悟しとけ」という名文句を口にしたが、工藤監督の「24時間365日」発言は、それと同等の厳しい意味を持つはずだ。

「『監督も変わりましたよね』と選手に言ってもらったこと、優勝の胴上げよりも、日本一よりも、その言葉の方が嬉しかった」

工藤公康新監督(C)CBCテレビ

7年間の監督生活で5度の日本一、福岡ソフトバンクホークスを常勝球団に育てた過去の経験に触れて、工藤監督はこんな思いを吐露した。就任早々にリーグ優勝し、日本一になった後に訪れた挫折。著書の中でも「独りよがり」と自らをふり返っているが、チーム内で浮いた存在になった時があった。あらためて、その苦い思い出を口にした工藤監督。

「自分が監督をやっている時の失敗が原点」として、選手やコーチとのコミュニケーションの大切さを強調した。自らの失敗と向き合えること、それは辛いけれど素晴らしいことであり、新たな強さを得ることになる。そして続けた。「その失敗は二度とくり返さない」。

就任会見を終えた工藤監督は、秋季練習が行われているナゴヤ球場で、選手たちと初めて対面した。選手たちの手元には『プロとしての“自覚”と“覚悟”』というタイトルの工藤監督によるメッセージ文が配られていた。選手とスタッフの円陣をより近くへ引き寄せて、語られた第一声には驚いた。

「決して監督って偉くないんです。偉いということは思わないで下さい」

記者会見で語った「監督としての過去の失敗」からの文脈であることは、想像に難くない。「自分は皆さんのために来たと思って下さい」とも語った。井上一樹前監督が「俺の好きな選手になってほしい」と語ったことを、ふと思い出した。工藤監督の言葉の真意は、選手にはプロ野球の世界で1年でも長くやってほしいという思いと、それをアシストするのが監督でありコーチであるという“哲学”がある。しかし、実は「俺の好きな選手になってほしい」という言葉よりも厳しい真意があることを、多くの選手たちは察知したはずである。

「一生懸命やる人は好きです。一生懸命やらない人は好きでないです」

工藤公康新監督(C)CBCテレビ

心に残るフレーズだった。選手たちには淡々と語ったが、この言葉こそが、ドラゴンズ再生にとって最も肝となるメッセージだろう。弱いチームは練習するしかない、それも、上位のチームを上回る努力をするしかない。昨今のドラゴンズは、それができていなかった。工藤監督はこうも語った。

「(シーズン)オフっていうのは、休むためにあるのではない。自分を鍛えるためにある」。

就任会見でも「春のキャンプが大事なのではない。大事じゃない時は一時もない」と語ったように、「24時間365日」の“野球漬け”の日々が、ドラゴンズでスタートした。

「夢を語って下さい」

工藤公康新監督(C)CBCテレビ

これが工藤公康の監督としての“志”なのだろう。選手を思い、選手を大切にし、選手に夢を語るように促す。

「自分はこんな選手になって、こうやって活躍したいという夢を語って下さい」。

星野仙一氏の色紙「夢」:筆者撮影

長きにわたる低迷の中、ドラゴンズの選手たちは「夢」を忘れていたのではないだろうか。かくいう私たちドラゴンズファンも、「夢」がすぐに消えてしまう歳月を過ごしてきた。星野仙一監督が生前、色紙に好んで描いた一文字を思い出した。それは「夢」だった。

ドラゴンズファンへのメッセージとして、工藤監督はこう語った。

「工藤が監督になってよかったと思ってもらうよう日々精進します」。

この力強いメッセージを信じて、ようやく訪れそうな“竜の春”を心待ちにしたい。

【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)ほか。

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