ストーリー
#7 「普通の恋愛」
一良は周弥とは付き合えないこと、そしてひとつだけ謝りたいことがあると伝える。それは過去に、周弥が家を空けたほんのわずかな時間に、自分が突然姿を消したことだった。その日、周弥の家で帰りを待っていた一良は、帰宅の遅さを心配して駅に向かった。そこで、周弥が本命の男・豊と揉めている場面に出くわしてしまう。豊から一良との関係を問われる周弥。一良はその会話を最後まで聞いていられず、その場を去ったのだった。
なぜあの日に一良がいなくなったのか、理由が分からなかったと語る周弥。初めてその理由を知り、「自分と別れて正解だった」と自嘲する。周弥は最後に「別れてくれ」と言ってほしいと願い、一良はその想いに応える。過去を清算し、店から去ろうとする一良を呼び止める周弥。その時、店の奥から慶伊が姿を現し――。
#6 「過去と未来」
会社の前で一良と周弥が対峙しているところに居合わせた慶伊。ただ一良と話がしたいという周弥に対し詰め寄る慶伊だったが、一良は自分で対処すると慶伊を帰らせる。
周弥の店に案内された一良は、「早く慶伊のところに戻りたい」と手短にするよう伝えるも、周弥から不意に「好きだ」と告白され動揺してしまう。帰宅後、その事実を知った慶伊は、一良には考える時間が必要だと判断し、同棲中の部屋を出て姉・彩矢の家へ。そこには未来も来ていた。
過去の出来事を詳しくは知らないものの、周弥が一良のことをまた傷つけるのではないかと心配する慶伊は、「あいつ、嫌いだ」と呟く。普段は感情を表に出さない彼の言葉に、彩矢と未来は驚く。未来は、以前に一良から紹介してもらったサチコママの店に慶伊を案内する。サチコから語られる、一良と周弥の過去とは――。
#5 「普通のデート?」
同棲を始めて2週間。新居にやってきた未来から水族館に行こうと誘われ、一良は一瞬表情を曇らせる。周囲に心配されるも「水族館は好きだ」と答える一良。結局、彩矢も加わった4人で出かけることになる。
現地では彩矢の計らいもあり、一良と慶伊はふたりきりで館内を回ることに。この水族館に初めてきた慶伊は、一良から「自分も初めてだ」と聞き、嬉しさから自然と手を繋ぐ。周囲の人の目を気にして、人前で手を繋げなかった一良は、ここでも思わず手を離してしまうが「慶伊と一緒なら大丈夫だ」と思えるようになり、自分の中での確実な変化を感じていた。
しかし、彩矢たちと合流した矢先、ある男が一良に声をかける。「ここ、初めてイチがデートに誘ってくれた場所だろ」と話すその男は、一良のかつての恋人・周弥(しゅうや)だった――。
#4 「恋愛の自由」
慶伊の幼馴染が一良に会いたがっているという。初対面の人とプライベートで会うのは苦手な一良だったが、周囲に関係性を理解してもらった方が今後のためになると考え、快諾する。自分の素行をチェックされるのではないかと緊張する一良だったが、待ち合わせ場所に現れた柊沢未来(ひいらぎざわ みく)にそんな様子は全くなかった。他人に無関心な慶伊が1年も付き合い、同棲まで考えている相手に会ってみたかったのだという。
居酒屋で、高校時代の慶伊の写真を見せてもらうなどして盛り上がる3人。一良はすっかり安堵して一旦席を離れるが、戻り際に未来が「本当に文原さんが好きなの?」と慶伊に問いただす場面に偶然出くわしてしまう。やはり彼は、自分と慶伊の交際に引っかかるものがあるのだろうか。気になった一良は、未来に直接その真意を確かめようとする。幼馴染が放った言葉の裏にある、本当の意図とは――。
#3 「同性の同棲?」
勢いで物事を進めたくない一良は、慶伊からの「同棲」の申し出に反対する。同性カップルだからこそ生じる現実の厳しさを危惧する一良に対して、慶伊は自分が何も考えていないように思われた事に苛立ちを見せる。気まずい空気が流れる中、慶伊が風邪で会社を休んでしまう。
慶伊は姉と同居している。ふたりの関係を知らない姉と会えば、慶伊に迷惑がかかるかもしれないと、お見舞いを躊躇する一良。しかし、どうしても心配な気持ちを抑えられず、家を訪れると、そこには看病もされず一人で苦しんでいる慶伊の姿があった。一良の看病によって熱が下がり始める慶伊。ホッと胸を撫でおろした一良は、慶伊の部屋で、”ある意外なもの”を見つける。その矢先、慶伊の姉・彩矢(あや)が突然の帰宅。弁解の余地もない状況で鉢合わせをしてしまい――。
#2 「恋人って何?」
一良に「本当に『恋人』として好きなのか」と問われ、即答できなかった慶伊。一良から「別れたほうが良い」と切り出され、慶伊は過去の事を思い出す。
社会人として一良を尊敬していた慶伊は、映画という共通の趣味を通して一良の素顔を知り、親しくなれた事を純粋に喜んでいた。ただ、男同士でそれ以上の関係になることは想像もしていなかった。一良から告白された時も特別な感情があったわけではなかったが、「断ったらこの人を失ってしまう」という一心で交際を決めたのだ。異性愛者である自分が同性を愛する事ができるのか?と葛藤する慶伊。
そんな中、一良の急な出張により、ふたりは離れて過ごすことになる。たった数日会えないだけだったが、その間に自分の気持ちを見つめ直す慶伊。ふたりの関係に、慶伊が出した答えとは――。
#1 「普通って何?」
上司と部下の関係である36歳の文原一良(ふみはら いちろう)と24歳の東慶伊(ひがし けい)は、実は密かに付き合っている。映画館での偶然の出会いをきっかけに、趣味の合う友人となったふたり。ある日、同性愛を描いた映画を観た帰りの居酒屋で、一良は酒の勢いを借りて自身が同性愛者であることを告白する。拒絶される覚悟の一良だったが、慶伊は真っ直ぐにその思いを受け入れ、ふたりは付き合うことに。
しかし、交際から1年経とうとする今も、ふたりはキスすらしたことがない。一良は男性と付き合うのが初めての慶伊に、決して無理をさせたくなかったのだ。「なぜ、12歳も年上で、さらに同性の自分が付き合えるのか」「本当に恋人として自分のことを好きなのか」と思い詰める一良。行きつけの店のママ・サチコから背中を押された一良は、交際1年の記念日、ついに慶伊に、その本心を確かめようとするが……。
