慢性的な人不足で苦しむ介護事業者がM&Aに成功した理由
 
					昨今、少子高齢化で中小企業・小規模事業者の後継者難が大きな経営課題の一つとなっています。「人生100年時代」の今だからこそ、元気なうちに資産の管理やスムーズな承継について考えていく必要性が高まっているのです。CBCラジオ『北野誠のズバリ』「シサンのシュウカツにズバリ」では、事業承継と資産承継について専門家をゲストに学んでいきます。10月8日の放送では、「介護保険事業者のM&A」について北野誠と松岡亜矢子が三井住友トラストグループ株式会社 経営承継支援 植田 駿一郎さんに伺いました。
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今回は岐阜県で介護業をされていた会社の成約事例について。
北野「どんな会社さんだったんですか?」
植田「売り手企業さんは年商はおよそ4000万、従業員さんは10名、デイサービスを1施設運営されていました。社長さんが40代の時に脱サラをして設立された会社です」
M&Aをされた理由は、社長さんが70歳近くになり高齢であったこと、そして何よりも業績が低迷していたことを理由にM&Aを決意されました。
介護業は今ニーズが高い業界ですが、やはり厳しいんでしょうか?
植田「介護業は高齢化社会に伴って需要が高まっている一方で、慢性的な人手不足問題があり、経営が厳しい会社は少なくありません。特にコロナ以降、業績が戻らない会社が多く、今回の売り手企業さんも社長さんが会社にお金を入れながらなんとか経営をされていました」
厳しい経営状況を取引金融機関が察知し、植田さんの弊社と一緒に活動をすることになったのです。
一刻の猶予もない
買い手企業さんは、同じエリアにある介護事業者。ちょうどデイサービス事業者を探しており、金融機関が買い手企業さんのニーズをヒアリングしていました。
北野「M&Aはスムーズに行ったんですか?」
植田「とにかく業績が厳しく、会社の現預金は100万円を切っていました。常に社長が会社へお金を貸し付けて、ギリギリの経営状況であったため、早期に買手探しをする必要がありました。」
厳しい経営状況であったため、植田さんもなんとなく売り手の会社社長さんも元気がないように感じていたそうです。
赤字企業でも買い手がつくケース
かなり切羽詰まっていた売り手企業さんですが、一方で買い手さん探しはどうだったのでしょうか?
植田「なんとかいいお相手を探そうと思い、紹介元の銀行と協力して買手探索を実施しまして、それぞれで合計200社近くに声をかけていき何とか興味を持ってくれる会社が2社現れました。急いで2社とトップ面談を実施したんです」
興味を持ってくれた2社のうち、相性の良かった1社と話が進んで成約にたどり着くことができました。買い手企業さんも売り手企業さんの経営事情を理解してくれたことで、早期にM&A実行に向けて動いてくださったそうです。おかげで、買い手企業さんが見つかってからはスムーズに運んでいきました。
北野「よかったですね~。植田さん、今回のポイントは?」
植田「今回の会社のように仮に業績が悪かったとしても、不動産(今回でいうと介護施設)や従業員、既存のお客様等の経営基盤に興味を持っていただける可能性があります」
まだまだ自分は元気だし、「事業継承なんてまだいいや」と思っている経営者も多いとかもしれませんが、何かあってからでは手遅れになってしまいます。最悪の場合は会社の倒産・廃業という恐れも…。元気なうちに、早めに着手をすることが大事です。
「心当たりのある方は、ぜひ一度連絡して欲しい」と呼びかける北野でした。
 
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