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数字が証明する。中日の藤浪晋太郎投手対策、全て左打線が最善だった理由

数字が証明する。中日の藤浪晋太郎投手対策、全て左打線が最善だった理由

8月17日、バンテリンドームナゴヤで行なわれた中日ドラゴンズ対横浜DeNAベイスターズ戦で、先発の藤浪晋太郎投手対策として、中日・井上一樹監督は左バッターを並べました。30日放送のCBCラジオ『若狭敬一のスポ音』では、この藤浪投手対策について、若狭敬一アナウンサーがデータを突き合わせて検証しました。

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左バッター並べた問題

「藤浪投手、次もまた中日戦ですかねえ?若狭さんは左バッターだけを並べた打線をどう思いますか?」(Aさん)

同様の質問がたくさん寄せられていました。

「8月17日、日曜日。現地観戦していました。左バッターのみのスタメン発表に、球場はざわついていましたが、個人的には正解だと思います」(Bさん)

17日の横浜戦での中日のオーダーは以下の通りです(敬称略)。

一番センター岡林勇希、二番セカンド樋口正修、三番ライト上林誠知、四番ファーストジェイソン・ボスラー、五番サード板山祐太郎、六番レフト駿太、七番キャッチャー宇佐見真吾、八番ピッチャー松葉貴大、九番ショート土田龍空。

細川成也選手、田中幹也選手、マイケル・チェイビス選手、山本泰寛選手、石伊雄太捕手などの右バッターはベンチスタートでした。

他の試合と変わらない?

5回を終わって1対2。中日が1点ビハインドでした。
中日打線は、藤浪投手に対して5回5安打1得点。

その後、中日は4対2と逆転しましたが、8回に4対4に追いつかれ、12回に1点を勝ち越され、4対5で敗れました。

試合後、井上一樹監督は左バッターだけを並べた作戦について、「俺も怪我人は出したくない。ベストオーダーで望めない。その策しかない。右の細川らに万が一のことがあったらと思ったら、他の監督もそうするのでは?」とコメント。

若狭「この試合の直接的な敗因が、藤浪投手を打てなかったことと言われれば微妙だな、というのが正直な感想です」

藤浪投手は死球率高め?

若狭「この問題を考える上で、気になる数字がたくさんありましたので調べました」

藤浪投手に関するメジャーでの正確な数字は見つからなかったので、NPBにおける藤浪投手の数字を調べたという若狭。

まず日本での一軍の成績から。阪神タイガース時代と17日中日戦のDeNAでの結果、藤浪投手の通算デッドボールは55個。

通算でのべ4,336人と対戦して55個のデッドボールなので、79人に1人の割合でデッドボールを与えていました。
藤浪投手はデッドボールを出しやすい投手なのでしょうか?

右バッターに多い

次に、今シーズンのNPB全投手が与えたデッドボールを見てみました。

今シーズン、28日の木曜日時点のNPB、セ・パ、両リーグ全投手は51,540人のバッターに対して投げていました。デッドボールは463個。111人に1人の割合でデッドボールを与えていました。

若狭「NPB全ピッチャーは111人に1つのデッドボール。藤浪投手は79人に1つのデッドボール。藤浪投手はデッドボールを出す確率が高いと言えるのではないか?」

デッドボールを出す確率が高い藤浪投手、中でも右バッターに多くデッドボールを与えているのでしょうか?

通算55個のデッドボールの左右別で見ると、左バッターに13個。右バッターに42個。このことから藤浪投手は、右バッターにより多くのデッドボールを与えやすいと言えます。

若狭「通算で3つ食らっているバッターが3人いるんですよ。広島の會澤(翼)選手、カブスの鈴木誠也選手、横浜や巨人で活躍した村田(修一)選手。全員右バッターです」

藤浪投手は右バッターにデッドボールを当てやすい、ということがデータでもわかります。

左に打たれている

藤浪投手は左右どっちのバッターに打たれる確率が高いのでしょうか?
続いて通算対戦成績を打率だけで見ていきました。

藤浪投手から見て対左バッターには通算2割6分9厘打たれています。右バッターには2割9厘打たれています。

つまり右バッターより左バッターの方が、藤浪投手からヒットを打つ確率が高いわけです。

若狭「とは言え、中日の今いる一軍の選手がどんな成績なのか?これを見ることも非常に大事だと思いました。ここは中日にスポットを当ててみました」

中日のバッターは?

中日の今いる一軍野手に絞って、打率の高い方から見ていきました。

2打数1安打と対戦数は少ないものの、5割打っているのが板山選手。
8打数3安打で3割7分5厘が駿太選手と岡林選手。
3打数1安打で3割3分3厘の樋口選手。
61打数20安打で3割2分8厘の大島洋平選手。ここまで全員左バッターです。

他の左打者は、ボスラー選手が1の0、上林選手が2の0、宇佐見選手は2の0です。

一方右バッターの細川選手は2の0、加藤匠馬捕手は1の0。
その他の右バッターを見ると、田中、チェイビス、山本、クリスチャン・ロドリゲス、辻本倫太郎、ブライト健太、石伊は対戦なし。

現在二軍の土田選手(左バッター)が7打数2安打、木下拓哉捕手(右バッター)は10打数1安打です。

対藤浪投手の最善策

現在中日にいて、一軍二軍問わず、藤浪投手からヒットを打った右バッターは木下捕手の1本だけ。あとは全部左バッターでした。
また対戦なしの右バッターも多くいました。

整理すると、藤浪投手はデッドボールを特に右バッターに出しやすい。
左バッターから打たれやすい。中日から見ても左バッターの方が打ちやすい。

若狭「ということは、左オンリー打線はデッドボールのリスクを避け、ヒットが出る確率を高めた作戦と言えるんです」

左バッターを並べた打線、実は藤浪投手対策として理にかなっていたようです。 
(尾関)
 

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