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従業員が離職!精神的なダメージで事業を手放した経営者

従業員が離職!精神的なダメージで事業を手放した経営者

少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者難が大きな経営課題となっています。そして、元気なうちに資産の管理や、次世代へのスムーズな承継について考えていく必要性も高まっています。CBCラジオ『北野誠のズバリ』「シサンのシュウカツにズバリ」では、事業承継と資産承継について専門家をゲストに学んでいきます。8月13日の放送では、「労務管理」が原因でM&A行うことになった整骨院について北野誠と松岡亜矢子が三井住友トラストグループ経営承継支援 植田駿一郎さんに伺いました。

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悩みは従業員の管理

今回植田さんは、都内で経営していた整骨院のM&Aについて紹介しました。どのような整骨院だったのでしょう?

植田「都内で4店舗を経営されており、売上は年間2億円。従業員さんは10名弱」

SNS戦略に強みを持っていたとのことで、予約は半年待ち、有名人も通うような店でした。

北野「整骨院で2億はすごいですね!そんな人気のお店が、なぜM&Aを?」

植田「従業員の管理が悩みでM&Aを検討されました」

北野が「従業員の管理」とは具体的にどのようなことか尋ねると、植田さんは「労務管理のこと」と回答。
ほとんどの中小企業経営者が「人の課題」を抱えていると考えられますが、この会社も同様だったとか。

労務管理不足

今回の売り手企業は知名度があったため、採用は順調に進んでいました。
ところが、自信と実績を積み上げた従業員の離職が後を絶たなくなったとのこと。

また、モチベーションが下がってしまった従業員を中心に、残業代の未払い請求を受けるという事態にまで発展してしまったとのこと。
1人の従業員から請求書が届き、社労士や弁護士に相談して支払いすると、また次の従業員からも請求書が。

植田「自分が手塩に掛けて育ててきた従業員から残業代を請求されてるというのは、精神的にダメージが大きかったようです」

北野「いま労務管理が問題になっていますからね。社長さんも管理が甘かったんですかね?」

売り手社長も管理不足があったことは自認していたとのこと。
植田さんが依頼を受けてからは、自身の管理不足を悔やみ、即座にタイムカードや業務日報、残業の際の申告承認制度等、制度設計を行ったそうです。

労務管理が原因の出費

まだ課題が残っている状況ですが、買い手は見つかったのでしょうか?

植田「買い手は(見つかり)、同業の整体整骨を全国展開している企業で売上は、100億円ほど」

未払残業代を支払うだけの体力がある会社とのこと。また、即座に労使関係で協議を行い和解ができたので、残業代を支払ったとしても売り手会社の収益性に大きな影響はなかったそうです。

植田「労使間で訴訟になってしまうことや、未払い残業代の清算が終わっていないとなるとM&Aも難しくなってしまう」

北野「過去にもそういったケースはありました?」

植田「ありました」

M&Aを行う前の調査段階で、未払い残業代が膨大であることを理由に破断になってしまうことや、未払い残業代という簿外債務(貸借対照表上に記載されていない債務のこと)を理由に大幅に減額になってしまうケースもあると植田さん。

また未払い残業を是正しようとすると人件費が膨大になってしまい、思ったような収益性が出なくなるという考え方もあるとのこと。

必ず対策、労務管理

今回の事例のポイントを北野が聞きました。

労務時間の管理というのは昨今非常に注目されているため、様々な策を講じている企業が多くなっているとのこと。

植田「特に労務管理が難しい業界においては、DXも活用の上、必ず対策しておくことがおすすめです」

また労務関係は、法律も複雑です。植田さんは、会社の規模に応じて専門家にアドバイスを求めて制度設計を行うなど、「問題が起きる前に対策を講じることが重要」だと促しました。
(野村)
 

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