移籍組に頼りすぎ?ドラゴンズで若手が育たない理由とは?

8月16日放送のCBCラジオ『若狭敬一のスポ音』では、「セ・リーグ6球団の支配下内野手、外野手の外様確率を比較してみた」と題し、若狭敬一アナウンサーが中日ドラゴンズについて調べました。そこから浮かび上がったドラゴンズの問題点とは?
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この記事をradiko(ラジコ)で聴くリスナーの危惧
若狭が外様確率を調べるきっかけは、リスナーからの問題提起でした。
「チェイビス選手の加入は嬉しいのですが、ドラゴンズの出場選手登録の中で、外から移籍してきた選手が多すぎないかと気になっています」(Aさん)
補強は当然。新しい環境で頑張っている選手を応援するのも当然。しかし「ドラフトで獲得した選手はどうする?ドラゴンズの編成方針は場当たり的な気がする」とAさん。
若狭は、他球団からの移籍選手と外国人選手、一度出て行って戻ってきた選手を「外様」と定義。
一方、ドラフトから今まで一度も他球団を経験していない日本人選手を「生え抜き」と定義して、セ・リーグ6球団を比較しました。
比べてみると
一軍登録できる選手は最大29人ですが、各球団、外様選手はどれくらいいるのでしょうか?
ピッチャーとキャッチャー、育成選手を除いた支配下の内野手、外野手を調べた結果を若狭が発表します。
外様確率が低い順。生え抜き確率高い順では阪神タイガースが1位。外様率は12%で26人中3人だけ。逆に言うと26人中、23人が生え抜き選手です。
第2位、広島東洋カープ、29人中4人で14%。
第3位、横浜DeNAベイスターズ、25人中6人で24%。
第4位、読売ジャイアンツ、29人中8人で28%。
第5位、東京ヤクルトスワローズ、26人中8人で31%。
そして生え抜き確率が最も低く、外様確率が最も高い球団はドラゴンズでした。28人中12人で、43%です。
詳しく見てみると、内野手17人中、オルランド・カリステ選手、中田翔選手、マイケル・チェイビス選手、山本泰寛選手、板山祐太郎選手、佐藤龍世選手、クリスチャン・ロドリゲス選手の7人。
外野手11人中、ジェイソン・ボスラー選手、川越誠司選手、上林誠知選手、駿太選手、細川成也選手の5人。
リスナーAさんの印象通りの結果でした。ちなみに中田選手は15日、引退を表明しました。
プロに聞いてみた
この件についてドラゴンズで現役を終えたあるOBと中田宗男元スカウト部長に尋ねた若狭。
外国人を含め、外様選手の活躍についてふたりとも「素晴らしい」と評価。
外様選手が多い現状については、OBは「チームとして、正直異常事態だと思う」との答え。
中田さんは「それだけ期待したドラフトで取った若手が伸び悩んでいる証拠」とがっかりしていたそうです。
外様選手が多い理由についてふたりとも「若手選手の伸び悩みが理由」と明言。若手が伸び悩んでいる原因はいったい何でしょうか?
堂上直倫まで遡る
「単にバンテリンドームが広いから、長打力のあるバッターが育ちにくかった、で済ませてはいけないと思います」と中田さん。
なぜ若手の野手が、特に長打力を期待して獲得した選手が伸びていないのか、徹底的に分析する必要があると続け、「この問題、僕は堂上直倫まで遡る必要があると思います」と持論を展開。
堂上さんは、超高校級スラッガーとして注目され、2006年ドラフト会議でドラゴンズへ1位指名で入団。2023年に引退。16年間の通算ホームラン数は34本でした。
描いた選手に育っていない
その後も平田良介さん、高橋周平選手、石川昂弥選手と、その年で一番いいと思った長打が魅力の高校生を、競合覚悟で指名して獲得していきますが、「思うような形で成長させられなかった」とのこと。
「直倫、平田、周平の3人は頑張って守備は成長した。でも我々が描いていたのは、数年後、打撃のタイトルを取るような長距離バッターでした。石川昂弥も怪我があって一皮むけていません」と振り返る中田さん。
その間に他球団が長距離砲として獲得した高校卒の野手を見てみましょう。
巨人の岡本和真選手、ヤクルトの村上宗隆選手、DeNAの筒香嘉智選手。ドラゴンズに移籍してきた中田選手は、北海道日本ハムファイターズから1位指名され、長距離砲に成長しました。
若手を育てるには?
その一方でドラゴンズOBは、若手の伸び悩みの理由について「練習不足と怪我 」だと断言。
個人だけではなく、教育システムの問題も大きいとか。
「二軍はもっと球団主導で育成システムを作るべきで、コーチも最低5年くらいは同じ人がやって徹底的に基礎を教えるべきです」との意見。
一軍の首脳陣が変わっても、二軍は変えないシステムが理想だとのことですが、これは中田さんも同意見。日本ハムでは育成システムを確立しているそうです。
「ドラゴンズももっと球団が率先して、この選手はこう育てるとはっきりさせて、むしろ現場を納得させるくらいでいいかもしれませんね」と中田さんの話でした。
若狭の取材により浮き上がった中日ドラゴンズの課題。皆さん、どう感じたでしょうか?
(尾関)
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